ベルギーのチョコレート・ハウスの老舗「ノイハウス」Chocolaterie Neuhaus

写真はベルギーのチョコレート・ハウスの老舗「ノイハウス」Chocolaterie Neuhaus。1926年、ブリュッセルで

【ブルボン朝歴代王が好んだチョコレート】

チョコレートは1615年、ルイ13世とアンヌ・ドートリッシュが結婚した際、初めてフランスに紹介されたと伝えられますが、それは砕いてお湯に溶き、砂糖を混ぜて飲むというカカオの塊だけでした。でもそれが宮廷でのチョコレートの普及の要因となり、その後、ルイ14世がブルボン朝宮廷でのチョコレートの流行に一役買ったと伝えられます。

《ルイ14世の王妃はショコラティエを伴ってルイ14世に輿入れ♫》

ルイ14世は1661年、チョコレート好きのスペイン王女マリア・テレサと結婚します。その折り、王女はチョコレートを飲む道具一式と、チョコレート専門の料理人(今で言うショコラティエ)を連れて輿入れしたのです。そして、その飲み物は冬の寒い時期に身体を温めるために貢献し、また、栄養価の高い飲み物として疲労回復剤として、王妃はもちろん、ルイ14世が率先して飲用したことで宮廷内で人気沸騰。その後、王族はじめ、貴族などの上流階級にチョコレートが広まってゆきました。

その後、ルイ14世はチョコレートがこの先、人気の製品となることを予測し、1659年、ダヴィッドという宮廷お抱えの商人ににフランス国内のチョコレートの製造・販売の29年間の独占権を与えました。ですからチョコレートは約30年間に渡り一般に出回ることはなかったのですが、1693年に国内におけるカカオ取引やチョコレートの販売が自由化されたことで、市民層にも普及して行くことになります。

フォション

《ポンパドゥール夫人やデュ・バリー夫人もチョコレートの虜に》

また、ルイ14世の貢献とは異なり、チョコレートの愛好家として知られたのがルイ14世の後に王座に就いたルイ15世でした。王の小居室の厨房で自ら飲み物作り、ポンパドゥール夫人やデュ・バリー夫人を含め、ルイ15世の寵愛を受けた愛妾たちもこのエキゾチックな飲み物の虜になったのです。その頃です。フランスでも最初のチョコレート製造機械が開発され、パリにはいくつかの専門工場が建ちます。

また、1655年にジャマイカ島をスペインから奪取した英国は、カカオはその頃自国に持ち込まれ、ロンドンに最初のチョコレートハウスが1657年、開店しています。

ベルギー・ブリュッセルのグランプラスの一角に建つ1926年創業王室御用達の“ゴディヴァ第1号店”

《マリー・アントワネットもチョコレート職人を連れてお輿入れ》

マリー・アントワネットも1770年のルイ16世との婚礼の際には、ヴェルサイユの宮廷に「王妃のショコラティエ」という肩書を持ったチョコレート職人を連れてきましたが、このショコラティエはオレンジの花やスイートアーモンドなどをチョコレートと組み合わせたりして新しい調理方法を生み出しりしています。フランスでのチョコレートの歴史はこうして始まるのですが、原料が高価なここともあり、大衆に普及するのは19世紀になってからでした。

ちなみにベルギーの老舗ゴディヴァは、1926年、マスターショコラティエだったドラップス氏がブリュッセルの自宅の地下室を使いチョコレート会社を始めたことを起源とし、その後、1956年、地下室のチョコレート会社「ショコラトリー・ドラップス」を「ゴディバ」と改名して、ブリュッセルのグランプラス広場に「ゴディバ」第1号店をオープン。その年を創業時としています。

《日本にチョコレートが伝わったのは江戸時代の鎖国の頃》

「寛政9(1797年)3月の大晦日、長崎の遊女大和路が“しょくらあと六つ”を貰い請ける」と唯一外国との交易の窓口であった長崎の出島の『寄合町諸事書上控帳』に記録されています。これだけではなく遊女たちがもらい受けても、記録に記載されていないこともありますが、この頃、既にチョコレートが日本人の口に入っていたことを証明するものかと思います。

《徳川慶喜の弟昭武はフランスのシェルブールのホテルでココアを味わいます》

1867年のパリ万国博に参加した江戸幕府の代表15代将軍徳川慶喜の弟の水戸藩主徳川昭武は、シェルブールのホテルにて“朝8時、ココアを喫んだ後、海軍工廠を訪ねる”と記しています。徳川昭武は母国日本での大政奉還という事件で兄慶喜が勧める留学を断念して帰国しますが、フランスでの見聞は、このチョコレートを食したものも含め、貴重な経験を重ねて帰国します。

《註:文中の歴史や年代などは各街の観光局サイト、取材時に入手したその他の資料、ウィキペディアなど参考にさせて頂いています》

(旅行ジャーナリスト・作家 市川昭子著)

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★旅行ジャーナリストとして長い間、公私共に海外の国々を訪れ取材し滞在。美術館巡りが好きで「ヨーロッパの美術館」など著書も出版。海外ガイドブック30冊以上(フランス、イタリア、イギリス、ベルギー、オランダ、スペイン、ポルトガル、ギリシャ、ハワイ、アメリカ、香港、韓国、グアム、サイパンなどなど十数カ国のガイドブック)を取材し出版。★小説【あなたが生きた街】を出版。

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