子供にとって、自分を産んだ親から虐待を受けることほど辛いことはありません。実の親に虐待されて児童福祉施設に預けられる子供が、日本でも欧米でも年々増加の一途を辿っています。

施設に預けられた子供は、里親が見つかれば里親の下へ引き取られて行きます。でも、後親は養子縁組ではないので、いわば腰かけ状態で終わってしまうケースも少なくありません。

更には、この里親からも虐待を受けてしまうというケースも存在するのです。日本では施設にいる子供より里親の下での虐待の比率が約3倍と高く、ネグレクト(育児放棄)や性的虐待、身体的虐待、そして最悪の場合は虐待死をも引き起こします。

子供にとってはどこに行ってもトラウマに…

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実の母親にも虐待を受け、見放され、預けられた里親の下でもビクビクしながら暮らしている子供には未来の明るい光はありません。毎日が虐待の日々という子供も決して少なくないからです。

まして、里親の虐待は一旦施設から離れてしまうために監視が甘くなり、日常的に虐待が行われていても児童から通報を受けない限りはわかりにくいという難点があるのです。

心の拠り所であるはずの「家」がない

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里親に虐待を受けている子供は、そこしか行くあてもないものの決して「家」とは呼べない状況です。日本の場合は里親になると国からの援助金が出るそうですが、その公費をもらってでも子供を虐待する里親がいるのです。これは明らかに詐欺といえるのではないでしょうか。

イギリスでは約7万人の児童が施設暮らし

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人口が日本の約半分といわれるイギリス。6千4百万人の人口のうちの約7万人の子供が現在イギリスでは児童福祉施設に預けられています。その中で、1歳未満は5%、10歳~15歳までの児童の比率が一番高く38%となっています。

里親に預けられている子供たちは約3千人ほど

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新しく里親を希望する家がある一方で、児童福祉施設スタッフにとってはその家を当然厳しく審査するわけですが、子供を施設から離して里親に託すということは日本同様、大きな変化の一つとなるわけです。

そのため、子供にとってまず第一に安全性が確かでないと里親には預けられません。少し大げさと思われるほど、里親の子供たちへの対応に敏感に反応するイギリスの施設スタッフ。このほども、「そんなことで?」というような出来事が起こり一人の男児児童が里親の下から施設へと戻ることになったのです。

「朝、起きろといって布団を剥がされた」

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児童福祉施設スタッフが、児童と面会をしたところその男児から「里親が朝、布団を剥ぎ取る」と報告を受けました。なかなか起きない児童に対し、里親がまず布団を剥ぎ男児の腕を掴んでベッドから出るように促したそうなのですが、スタッフはすぐさまこの男児をその里親の下から引き離しました。

「子供の安全上、良くない行為が見受けられる」という里親は去年、イギリスでは192件の報告があったそう。今回の件はそのうちの1件に過ぎないのですが、早い段階で児童を里親から引き離さないと、こういう行為が虐待に繋がっていくケースが後を絶たないと施設スタッフは言います。

里親の下から逃げ出す子供も…

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ある程度の年齢になると児童は里親の下から逃げ出すようになります。里親として十分な面倒を見ないケースは色々ですが、子供の具合が悪い時に処方された薬を与えなかったり、勉強などを見てやることもなくネグレクトしたり、殴って性的虐待をしたりというのがやはりイギリスでも一番多いようです。

また、実は里親がドラッグ常習者だった、ということも後になって判明するケースもあるのです。厳しい審査をしているはずが、どこかしら抜けていることによって子供たちへの被害が拡大するのです。

イギリスの2014年のデータでは、養子縁組をした子供は約5,300人。年齢層は1歳~4歳までの子供が76%(4,050人)と一番高かった様子。養子縁組となると、引き取った家庭で一生育てられるためにほとんどの家庭が幼い子供を希望するのです。10歳以上の子供を養子縁組にする確率は1%にも満たないというから驚きです。

子供たちの孤独が癒される時がくるのだろうか…

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養子縁組される子供と里親に引き取られる子供では、幸せの度合いが異なるという事実が悲しく感じます。子供は既に実の親のことがトラウマになっているにも関わらず、引き取られた先で酷い扱いを受ければ、更にトラウマに。

家族と呼べない、まして家でもない単なる預かり所である里親の下は下手すれば施設よりも孤独を感じている子供が多いのかも知れません。

どんなに辛くて泣いたって、慰めてくれる温かい胸もなければ子供にとってそれがどれほど孤独かは想像しただけで胸が痛みます。帰る場所もなく求められてもいない存在というのは、子供ながらにこれ以上ない深い傷を残し成長過程に大きな影響を与えます。

児童福祉施設はこうした子供を一人でも減らすように監視を強め、里親への責任を強いています。年々増えているといわれる里親の虐待。親から見放された子供たちが、心から愛されていると感じることができる日は来るのでしょうか。今、この瞬間も孤独に泣いている子供がいると思うとやりきれません。

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公式プラチナライター。イギリス在住22年目。いつも読んで下さる皆さんに感謝。Twitterアカウントは@mayonesque18です。よろしくお願いします。

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