キャバクラ通いは真剣勝負でした。

出典私の撮影とイラスト

20代前半、職場の先輩とたまたま行ったキャバクラ。そこのキャバ嬢に惚れこみ、数回通った後の私の告白に・・・・

「こんな私でいいの?」


という彼女の得意の営業トークで返されて、運がいいのか悪いのか、彼氏だという設定の椅子をゲットした私。当時の私にとってキャバクラとは・・・

愛する彼女に会いに行く場所なのでした。

「あ・・・あかん。緊張してトイレに行きたくなった」大好きなキャバ嬢が勤めるお店に近づくごとに心臓の鼓動は高まり、緊張感がマックスになりました。


お酒を飲まなかった私は車で片道1時間半かけて通いつめました。今から思えば1時間半はとても長い道のりです。しかし当時の私にとって・・・・

車で出発した時からドキドキが始まっていたのです。

Licensed by gettyimages ®

もてない不遇の時代をすごしてきた私は、キャバクラが疑似恋愛の場所ぐらいは分かっていました。彼氏の椅子をゲットしても、その椅子は疑わしいものでした。

しかし、濃密な時間がその椅子を強固なものに出来ると信じたのです。

私にとってキャバクラ通いの最大の目的はズバリ、彼女との愛を深めるということでした。一回一回が真剣勝負なのです。なので車で出発した瞬間からドキドキは始まっていたのです。そのドキドキはまさに・・・

巌流島に向かう宮本武蔵の様な心境でした。

Licensed by gettyimages ®

巌流島(キャバクラ)に向かう片道1時間半はあっという間の時間に感じました。なぜなら、その車中で、真剣勝負の戦い(彼女との会話)をシュミレーションしていたからでした。なぜなら、あらかじめ頭の中に会話のストックがないと・・・

口下手な私は目的を達成出来ないからです。

その目的とは・・・・

全ての努力はこの一言を引き出すためでした。

私のイラスト


「あなたと話をしていたら仕事を忘れるよ」

「あなたといると誰よりも楽しいよ」

そのような言葉を引き出せたら、その日は私にとって勝ちなのでした。

そして、勝ちの余韻がさめる前に、彼女はこう言うのです。

「楽しい時間はあっという間だね。もっと一緒に居てほしいよ。だから延長してね」

完全無欠の営業トークに毎回ノックアウトされた私でした。

彼女のことをもっと知りたいと思った私に・・・

出典私のイラスト

「私って本気で愛されたことがないの」

彼女はバツ2で二人の子供がいることを付き合いだしてから知りましたが、もっと深く彼女のことを知りたいという私に、彼女はどんどん誰にも言わなかったという過去を教えてくれるようになりました。

「私ね、お母さんに愛されてなくてね。中学の時に見たの。私のお母さんが隣の家のおじさんと・・・・以下自粛」

「それでね、16歳の時に家出をして風俗で働いて社長の愛人にさせられて・・・・以下自粛」

「それでね、地元のお祭りの時に帰った時なんか知り合いの男3人に神社の裏に連れて行かれてね・・・以下自粛」

「最初に結婚した時に家に帰ったら旦那が昔からの私の友達と・・・・以下自粛」

「2番目の旦那はキャバクラのボーイだったんだけど、『客と関係を持ってでもお金を稼いで来い、そうでないと・・・・・以下自粛』と言ってきたの」

彼女はこの様なことを会うたびに、小出しに話してきました。そのたびに私はかつてないほどのやり場のないような怒りを覚えました。話を聞きながらブルブルと体を震わせる私に・・・・・

「ごめんね。ごめんね。こんなこと話して、でも熊君にしか話できないの。イヤな気持ちにさせてごめんね」

そして・・・・ここまで自分をさらけ出されたら本気になるしかありませんでした。壮絶な過去で彼女は心に大きな傷を負っている。

そして男性恐怖症になってしまったそうなのです。

「あーーあ、私って男運がないんだわ」「私は本気で愛されたことのない女なんだわ」

こんな言葉を聞くと、「何をいってるんだ。俺がいるじゃないかー」と言う気持ちになったのでした。

さらに、俺も同じだ。愛されたことのない人間だ。だから、これは運命だと思うようになったのです。そして彼女が一日でも早くキャバクラから足を洗えるようにせっせと通い詰めるようになったのでした。

しかし・・・

「ごめんね、3カ月だけ店を辞めることになったの」

出典私のイラスト

どういうことか聞きました。すると彼女は・・・

「トラブルに巻き込まれたの。詳しくは店から口止めされてるの。でも、3カ月したら必ず戻ってくるよ」

「え?それって3カ月会えなくなるの?」

「大丈夫だよ。だって彼氏なんだから、店とは関係なく会えるよ」

そして実際に彼女が店を一旦辞めていた3カ月の間に何度か会うことが出来ました。もちろん同伴とかも一切なしです。しかし、今思い出してみるとそれは・・・

3ヶ月後に店に戻った後の大事な客を逃すまいとする行為だったように感じるのです

そして、彼女は約束通り3カ月した後、店にキャバ嬢として復活しました。

その謎の3カ月の休暇からしばらくして、彼女は自分からその謎を話してきました。それだけ私に気を許してくれたのでしょうか?嬉しいものですが・・・

「店を辞めろとうるさく言う人がいたの」

出典私のイラスト

彼女の謎の3カ月の休みの理由です。

彼女のお客さんで、毎回毎回しつこく「店を辞めろ」と言う人がいてて、うんざりしていたそうです。しかし、いっぱいお金を使ってくれる上客だった人なので我慢して接客をしていたそうです。

しかし、彼女だけでなく店の店長を呼びだして、「彼女を辞めさせろ。いくらなら辞めさせられるんだよ」と言ってきたそうです。

よし、そう言うことならと店の判断で・・・

500万円で彼女は店を辞めれると言う話になったのでした。するとお客さんは・・・

本当に用意をしてきたのです。

Licensed by gettyimages ®

そんなことして大丈夫なの?

私の心配に彼女は、「大丈夫よ。でも、さずがにそこまでされて店を辞めなければ詐欺になっちゃうからね。だから一旦辞めたということにしたの」

「それでね、やっぱり辞めたけど、別の借金の問題が出てきたからと理由をつけて戻ってきたの」

「私の取り分は250万円。店が半分もって行っちゃったのは、ちょっと納得できないんだけど、後のトラブルのことを考えると仕方がなかったのかな?」

当時、彼女はそのお客さんのことを、「資産家だから大丈夫」と言っていたのですが、今思い出して感じるのは・・・

500万円を出すのはいくら資産家とはいっても何かがあるのではないか?と言うことです。

彼女は、そのお客さんとは男女の関係にはなっていないと言っていましたが、500万円という金額を考えると疑わしいものです。

恐らく、お客さんは彼女の壮絶な過去に同情し、500万円を出したのは、「店を辞めろ」と言う意味だけでなく「俺のところに来い」と言う意味があったのではないかと思われるのです。

疑似恋愛の場で相手に同情し、冷静な判断を失うと、とても大きな火傷を負うことがある。

過去を思い出し、つくづく思うのでした。

この記事を書いたユーザー

ロバート・熊 このユーザーの他の記事を見る

spotlight公式プラチナライター。食品スーパーの店員ならではの記事を楽しんでいただければと思います。

権利侵害申告はこちら

Spotlightのライターなら1記事最大3000円もらえる!日本最大級メディアでライターデビューのチャンス