大きな災害や犯罪事件はあれど、日本は今「戦争」が起こっていません。それが私たちにとってどれだけ恵まれていることかということに、普段なかなか気付きにくいもの。

筆者の住むイギリスも先進国ゆえ、シリアや他諸国から難民を受け入れてはいるものの、どこまで本当にその「地獄」を理解しているかというときっとほとんどの人にとっては「対岸の火事」的な感覚ではないかと思うのです。

引き続き、難民受け入れにどう対応するかということに関してイギリス政府は対策を練っています。ヨーロッパ先進国では溢れかえるほどの難民が流れ込み、様々な事件や性犯罪なども起こっています。それに対し嫌悪感を示す国民がいるのも正直なところ。かといって、少数の犯罪者と多くの難民を比較することなどできません。

救わなければいけない、救うべき命があるならば、私たちは全力でそれに努めるべきではないでしょうか。今、他の国で起こっていることは将来自分の住んでいる国で起こらないとは限らないのです。そして自分の国で起こっていないからといって、他の国も同じという状況では全くないということを私たちは知るべきではないでしょうか。

メディアで知ることはできても、日本はヨーロッパから離れた島国であるために、なかなか実際には悲惨な現実が伝わってこないというのが現状だと思います。命の危険に晒され母国から脱するも、受け入れ先では仕事も見つからずすっかりお荷物状態になっている難民がヨーロッパには驚くほど溢れています。

私たちにできることは何でしょうか。遠く離れた日本からでは形のある支援というのは難しいこと。でも、現実を知りそれを伝え広めていくこと、また現状に思いを巡らすことも「支援」の第一歩ではないかと思う筆者。

このほど、「Save The Children」という児童支援団体が2014年に続きある動画を公開し、再び話題になっています。その動画は、イギリス人を難民に置き換えたもの。シリアというあまり親しみのない国よりも、身近な先進国イギリスに置き換えることで私たちの難民に対する意識が変わるという非常に影響力の大きい動画に仕上がっています。

どこにでもある少女の誕生日を祝う光景

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この見慣れた光景が壊れる時が来るなど、きっと私たちは想像もしていないでしょう。あらゆる物に恵まれ便利に生きている自国で、普通に生活することを当たり前のように生きている私たち。日本もイギリスも例外ではありません。このイギリス人の少女も、家族や友人に誕生日を祝ってもらい幸せそう。

「キャンドルを吹き消したらお願い事をしてね。リリーのお願い事はなにかしら?」みんなが尋ねます。

日常の平凡な暮らしを続ける少女

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友達と思いっきり公園で遊んで笑ったり、疲れて心地のいいベッドでぐっすり眠ったり。そんな一つ一つのことを「あぁ、有難いな。今日も無事に過ごせた」と思うよりも、当たり前のように受け入れる毎日。少女だってそう。そして私たちだって、それは同じ。

ところが…イギリスで内戦が起こり、少女の表情に変化が。テレビでひっきりなしに流れる内戦情報。近くで空爆が起こり、今度いつ自分の家が空爆の被害に遭うかわからなくなってきたのです。

内戦はますます酷くなっていく…

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家族は「このまま残るか、去るか」を決断しなければならない状況に迫られ、家を去ることにした少女の家族。あちこちで空爆が起こり、心には恐怖と不安しか生まれない状態に。

少女の頬を伝う涙…

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「どうしてこんなことになっちゃったんだろう」きっと難民の子供のほとんどは理由もわからず逃げ回る日々を強いられています。戦争の犠牲になるというのはこういうこと。平凡な日々から一気に地獄の日々へ…。

難民キャンプに辿り着いた少女と母

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ここからが先日公開された動画。難民キャンプに辿り着くまでに父親と離れてしまった少女。それでも母親とキャンプ場で暮らし始めます。1年が過ぎ、少女の誕生日がやって来ました。「誕生日、おめでとう」の言葉に微笑む少女。

難民キャンプでの暮らしは想像以上にハードなもの

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限られた食事、限られた空間という全てが限られた生活を強いられる難民キャンプ場。周りが少女と同じ難民だからといって決して油断はできません。いつ、誰に襲われるかもわからない危険があるのです。

そして何より、家を去ってここに辿り着いて、この先いったいどこへ向かうのか…キャンプ場にいる人たちには明日のことさえもわからないままなのです。

離れ離れになってしまった父の行方を探す少女

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子供が親と離れ離れになることほど、孤独を感じることはありません。こんな過酷な状況で、もし自分の子供と離れてしまったらあなたはどんな気持ちになるでしょう。この動画は、現実に起こっていることを直視せずにはいられないほどシーンの一つ一つが鋭く胸に突き刺さって来ます。

難民キャンプ先でも銃による恐怖が襲う

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このままここで殺されてしまうのか。そんな思いを抱きながら難民キャンプで暮らす少女。ここで立ち止まっていても未来はない。そう思った母子は国を出る決心をします。

平和だったイギリスのあちこちで爆発音が

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美しく平和な国であったはずなのに、いつのまにか爆発音と叫び声しか聞こえなくなってしまった…。絶望が心を取り巻くことでしょう。それでも難民たちは逃げるところまで逃げるしかないのです。

「ママと一緒じゃなきゃ嫌だよ!」

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ところが、ここにも厳しい現実が。ボートに乗れるのはあと一人だと言われ母親は娘に「きっと探し出すからあんただけでも行くのよ」と背中を押します。少女は「いや!ママと一緒じゃないと行かない!」と拒否。でもここにいるより、海を越えた方がきっと安全だから。そう母に説得されて泣く泣くボートに乗りこむ少女。

そして嵐で船が沈没…

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海に放り投げられた少女。このままここで息絶えるのか…そうして意識をなくしていきます。この時、少女の心にはどんな思いがあるのでしょうか。

幸運にも救いの手が差し伸べられた

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海岸に打ち上げられ、意識を失っていたところを救助された少女。病院へ運ばれて同じく両親とはぐれてしまった幼い男児に出会います。

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両親が海で溺れ死にしてしまった幼い男児と手を取り合うように生きて行く少女。「ママとパパに会いたい…」そんな言葉を男児が漏らしても、年上の少女は黙って聞いているだけ。少女だって同じ思い。だけど強くならなきゃ。そんな思いがきっとあるに違いありません。

「私はお腹空いてないからいいよ。」

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わずかな食べ物も男児に食べさせる少女。海に落ちた時に携帯電話が使えなくなったために、母親との連絡手段は絶えてしまいました。少女に寄り添ってくれるのはこの幼い男児しかいないのです。

助け合いながら必死で生きて行く二人

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ところが、難民受け入れ施設で暮らしていた男児の里親が決まってしまいます。「あの子が私の唯一の家族なのに…」両親ともはぐれ、ようやく弟のような存在と頑張って生きて行こうと思った矢先にまた一人ぼっちになってしまった少女。

施設スタッフの質問される少女

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あの子がどこかへ連れて行かれたように、また私もここから知らないどこかへ連れて行かれるのだろうか…いったいいつまでこんなことが続くのだろう…。きっとそんな思いが少女の心に渦巻いているに違いありません。

「名前は何?生年月日は?お父さん、お母さんはどうしたの?」質問してくるスタッフ。そして「あら、今日はあなたの誕生日なのね」と言われて初めて気付く自分の誕生日。

きっと少女の願い事はたった一つ…

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「おめでとう。どんなお願い事をするのかな?」そうスタッフに言われて空を見つめる少女。きっと今の少女の願い事はたった一つだけ…「戦争がなくなってほしい」

数年前の誕生日には思いもしていなかった願い事。でも今はこれが現実。何もいらない。家族と一緒にいたい。そう願う難民の子供がどれほど多いことか。戦争は私たちから大切な全てを奪います。国も、家も、教育も、家族も、そして心さえも。

この動画を見ると、今私たちが生きている社会がどれほど恵まれたものかということを実感せざるを得ません。既に数えきれない人たちが自国から逃げる途中で命を落としています。この動画は既に難民を多く受け入れていっぱいいっぱいになってしまったイギリス政府の、更なる難民への支援を躊躇するキャメロン首相の心をも動かしました。

誰かを救うことに、限度などないのです。現実にこのような子供たちがいる限り児童支援団体「Save The Children」も全力で子供たちをサポートしています。現在、「戦争」は遠くの出来事ではなく、いつ私達にもふりかかってくるかわからない状況になっています。

だからどうか、日々多忙な生活をしていても、ほんの少しでも、この少女のように現実に難民たちが悲惨な人生を送っているということを忘れないあなたでいてください。ふっと思う出すだけでもいいのです。現実から目を反らさないこと、知ること。それが一番大切なのではないでしょうか。

5,300万回以上の閲覧回数の動画はインパクト大

出典 YouTube

「Save The Children」により2014年に公開された動画です。

出典 YouTube

こちらが先日公開された第2弾になっています。

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公式プラチナライター。イギリス在住22年目。いつも読んで下さる皆さんに感謝。Twitterアカウントは@mayonesque18です。よろしくお願いします。

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