「油断は禁物」。各地で起こるテロ事件により、そんな思いがきっとアメリカ人ならず世界の人が抱いていることでしょう。特に飛行機などの密室では、セキュリティが厳格とはいえどもすり抜けて搭乗するテロリストは後を絶ちません。

今回も「もしかして…」という疑惑を抱いた一人の女性の乗客により、ある男性が身柄を拘束され尋問を受けるといった出来事が起こりました。でもそれはとんだ勘違いだったのです。

離陸待ちのアメリカン・イーグル航空で事件は起こった

N954LR - Bombardier CRJ-900LR - American Eagle (Mesa Airlines)
by col29071962

その時、フィラデルフィア空港からNY州シュラキース行きのアメリカンイーグル航空に乗り込んだ乗客たちは離陸の時を待っていました。一人の30代女性が隣の人物にふと目を留めると、その男性は一心不乱にノートになにやらメモを取っています。

横顔をそっと盗み見れば、オリーブ色の肌に縮れた毛。「シュラキースにお住まいですか?」と女性が尋ねてもそっけない返事をしただけ。その瞬間、女性は恐怖に慄いたのです。「きっと彼はテロリストだわ!」

男は夢中で暗号らしきものを書きなぐっている…

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話しかけても上の空のなんだか怪しい雰囲気の男…。女性は「どうしても気分が悪い」と客室乗務員に告げ、こっそりとメモを渡したそう。「隣の男はもしかしたらテロリストかも知れない。」そこからは、女性の疑惑により航空会社によって通報されたFBIが現れるという騒動に。

不審者と思われたこちらの男性、実は…

出典 http://web-facstaff.sas.upenn.edu

パイロットに飛行機を降りるように言われ、その後FBIからの尋問を受ける羽目になったのはこちらの男性。彼はイタリア人グイド・メンツィオさん(40歳)。マクロ経済学者の彼は現在ペンシルベニアで准教授をしており、怪しいと思われた暗号のようなものは講義で使う微分の方程式だったのです。

隣の女性に声をかけられた時も、方程式を解くことに全神経を集中していたメンツィオさん。ついついそっけない態度を取ってしまったことでまさか自分が「テロリスト」だと誤解されるとは…。

飛行機は2時間以上遅れて離陸

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by redlegsfan21

とんだ誤解とわかったために、飛行機は2時間以上遅れたものの無事にフィラデルフィア空港を離陸。メンツィオさんを「怪しい」と訴えた隣の席の女性は最終的に別の便で目的地へ向かったそうです。

FBI捜査官に方程式のメモを見せたメンツィオさん。実は母国イタリアでは名が知られており、最も優秀な数学者として過去にメダルも受賞しているほど。そんなメンツィオさんの方程式は難易度が高すぎて、ほぼ誰も理解することはできなかったとか。

勘違いということで、メンツィオさんにしてみれば甚だ迷惑な話ですが「セキュリティの質問は厳しく硬い雰囲気だったけれども終始、リスペクトした態度で接してもらえた」と、後日に自身のFacebookで綴っています。

人を見た目で判断してはいけないとはいうものの、見た目で判断できないのがテロリストなのでますます私たちを困惑させ不安に陥れるばかり。訴えた女性にしてもこれから飛行機が離陸するということで、神経質になっていたのでしょう。彼女の勘違いは今の世の中、責められるべきことではないのではないでしょうか。

誰しも遭遇したくはないテロリスト。特にアメリカ国民にとってはあの2001年の9.11事件以来非常に敏感になっていることでしょう。今回のとんだ騒動は、メンツィオさんには迷惑だったものの、ただの勘違いで本当に良かったと言わざるを得ません。

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公式プラチナライター。イギリス在住22年目。いつも読んで下さる皆さんに感謝。Twitterアカウントは@mayonesque18です。よろしくお願いします。

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