女という性に生まれたからには逃れられない美醜問題。
美しくあらねばならない、そんな感情が性格をも歪ませてしまう。
”美”への執着から解放されるのは、いつなのか―――。

今回ご紹介するのはそんな”美醜”を題材にした名作漫画たちです。

累-かさね- 松浦だるま

マンガ大賞2015にも選ばれた大人気漫画。
主人公はこの世の者とは思えない醜悪な容姿の女性「累(かさね)」。
彼女はそんな容姿ゆえ、日々ひどいイジメをう受ける。そんなある日、彼女は亡き母が残した一本口紅を手に入れる。
なんと、その口紅は塗ってから美少女とキスをすればその顔を奪うことができるという不思議な口紅だった。
口紅によって累は変身し、美しくなっていくが…。

出典 http://konin-todoke.com

「美しくなりたい」という願望、欲望。ひるがえって「醜いものは価値がない」という暗然たる想いは老若男女の区別なく、諸説ありますが童話『シンデレラ』起源の一つが紀元前1世紀ごろギリシャで著されたことをみれば、いかに「美醜」という価値観が人間の根っこに深く刻まれているか、思い知らされます。
 作者・松浦だるま氏は本作を2013年より『イブニング』誌上で連載開始し、同誌新人賞も獲得しました。キャリアとしてはまだ新人作家といえますが、骨太な「美醜」というテーマに読者を引き込む脚本力、ほどよくケレン味を含ませフックを散りばめる演出力は、すでに新人作家の域ではありません。

出典 http://otakei.otakuma.net

醜い容姿でありながら、とある能力を活用して持前の演技力を光らせていく女性の物語。
なかなか重く暗い内容ですが、どう展開していくのか気になって読み進めてしまいます。

ヘルタースケルター 岡崎京子

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女優、沢尻エリカさんが主演を務め実写化されたことでも有名の「ヘルタースケルター」。第8回手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞しているこの漫画、人気モデルのりりこが主人公。このりりこ、実は全身を整形によって作り変えている秘密を持っている。整形のおかげでトップスターに上り詰めるりりこ。しかし、彼女に待ち受けているのは過度な整形による薬の副作用とストレス…。
美を手に入れて夢を掴んだ女性ですが、代償も大きかったのでしょう。美しさは求めれば求める程、キリがない、魔境です。

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主人公は美しい時代の寵児。その美は全身整形で手に入れたものだが、事務所の社長しか知らない。
主人公はよく解っている。大衆が酷く飽きっぽいことを。自分が消耗品であることを。
いつかはゴミ箱に捨てられるポートレートであり、話題から消え去るゴシップであることを。

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痩せたい、可愛くなりたい、褒められたい…私は美に対する色んな願望を抱いている。けれど、それはなんて中途半端で甘いものだったのだろうと思わされた。
りりこには妥協がない。迷いもない。美を極限まで追求した一つのかたちとしてりりこの人生はあるのだと思う。
栄光と引き替えに彼女は多くのものを切り捨てている。人気者でありながら孤独を抱える哀しさがりりこにはあるはずなのに、それにひるまないりりこの激しさと強さがまぶしい。

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岡崎先生の絵柄が独特で、美に執着した女性の人生を余計に恐ろしいものとして感じさせます。
その迫力の強さから、読後はしばらく余韻を引きずります。

脂肪と言う名の服を着て 安野モヨコ

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主人公のOLの「のこ」には彼氏がいた。しかし、その彼氏を職場の同僚のマユミに寝取られるところから物語は始まる…。
食べることでストレスを発散させていた「のこ」のスタイルはとてもいいとは言えるものではなかった。
しかし、恋人を失ったことにより「痩せたら綺麗になれる、痩せれば幸せになれる」と信じ込むのこ。
そんな時、謎の老人と知り合う。その老人からもらった大金でエステに通い始める。
これで幸せになれると思った矢先、仕事で失敗を自分のせいにされた挙げ句パワハラに悩み、恋人だった彼との関係も悪化してしまう。
食べては吐きの繰り返し。気付は過食嘔吐になっていて痩せたものの、病的な細さとなったのこは…。

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ダイエットに挫折しかかっている時、に読む。『あ~こうなっちゃたら
ヤバイなぁ・・・。』って思える。現実にありそうで、なさそうな
感じがすごくスキ。
この主人公に比べれば、まだ私は望みがあるなって勇気付けられたり、
負けてんなーって思うこともあり。
きっとこの本は嫁に行くときゃ持っていく、と思った1冊。
人間のいいとこ、悪いとこ、可能性なんかが感じられるかな。
何百回も読み返しました。

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のこには体の脂肪ではなく、心に脂肪がついている…。
美醜は他人に判断を委ねがちなものですが、自分の中で納得がいかないとダイエットや整形を繰り返し、人生を壊してしまいます。

宇宙を駆けるよだか 川端志季

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かわいくて素直な性格のあゆみは大好きな人と恋人同士になったばかり。だが、初デートに向かう途中で同じクラスの然子の自殺を目撃し、意識を失ってしまう。目が覚めると、あゆみは醜い容姿の然子と身体が入れ替わっていて…。 容姿も性格もまったく違うふたりの運命が、奇妙にねじれながら交錯していく――。

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作者が意識して描き分けたかどうかは不明ですが、あゆみの身体で生きる然子は、あゆみの身体のあゆみや、然子の身体のあゆみよりも、表情が豊かで魅力的に見えました。あゆみの身体を手に入れたおかげで好きな人の隣を歩ける喜びを得た然子は、同時に、好きな人に見放される不安、嫌われても好きでいさせて欲しいとすがりつくみじめなまでの一途さ、恵まれた環境で“きれいごと”を言う人たちへの憎しみなども表出させていきます。いずれも然子がいままで押し殺し、無視され続けてきた感情が、あゆみの身体という美しい器を手に入れたことによって、勢いよく溢れ出したのです。長く抑圧されてきた感情を思うがままに解放してぶつける然子の姿は生命力に満ちて、清らかな心の美少女・あゆみよりも、ずっと美しいのです。美しい容姿によって醜い心が輝いている、と言って良いのかもしれません。

出典 http://mess-y.com

テーマは重いですが、絵柄が可愛くて読みやすい漫画。
話のテンポもよく、引きも強いのですらすらと読めてしまいますよ。

鏡の前で会いましょう 坂井恵理

出典 http://be-love.jp

「可愛い」とは正反対、不動明王似の明子。それでもそれなりに楽しく生きてきたが、親友で美人のまなちゃんとしこたま飲んだ翌朝目が覚めると、ビックリすることが起こっていて…?

出典 http://be-love.jp

ここまで聞くと、よくある"入れ替わりモノ"、ブスな女の子が美人になって大騒動を起こしつつもめでたしめでたし......的なストーリーを想像するだろう。しかし、それで終わらせないのが、男性が妊娠する世界を描いて話題を呼んだ『ヒヤマケンタロウの妊娠』を始め数々の作品で性やジェンダーの問題を扱ってきた坂井恵理の手腕だ。美女を取り巻く世界を知ったことで、そして自分の容姿を"他人"として直視したことで、明子のコンプレックスはさらに深まっていく。

出典 http://trendnews.yahoo.co.jp

美人であろうが不美人であろうが中途半端であろうが、容姿に関わる「モヤモヤ」とした「生き難さ」を見事に描いていて何度も読み返した。
絵が可愛いく丁寧なので、深刻になりすぎず読めるのも良い(^^)
容姿の問題にとどまらず、「恋愛至上主義」の価値観の押し付けや、母の過干渉についても重要なテーマとして扱われていて、友達同士の身体の入れ替わりという「完全なフィクション」でありながらも、絡み合う様々な問題を疑似体験できるストーリーはリアリティがあり、続きが待ち遠しい。

出典 http://www.amazon.co.jp

いかがでしたか?

美しいことが有利な世界。
先天的に与えられ、選ぶことのできない容姿に心を病ませる私たち。
美醜をテーマにした名作漫画に想いを馳せてみませんか?

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26歳 都内で働くワーママライター。

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