実は、江戸時代は徹底したリサイクル…、『エコ生活』の見本のような時代だったのです。

そして、その江戸時代に生まれた「ブランド品」は、今では考えられないもので、尚且つ争奪戦まで繰り広げられていたのだそうです。

「なぜ、ブランド品になったのでしょうか?」

当時戸籍がなかったので推定ですが、元禄時代の江戸の町は、120万人の人口を抱える世界有数の都市だったのだそうです。

(因みに、当時のロンドンの人口は90万人。パリは60万人だったといわれています。このことからも、江戸の人口の多さが世界規模であったことがわかります。)

その人口の多さからも、江戸の人々の食卓にのぼる野菜の量が、ものすごい量で消費がされていたことは想像出来ます。
そして、近郊農村は米作りよりもむしろ、野菜作りに力を入れたのだそうです。

このことから、野菜作りに必要な肥料としての糞尿がブランド品となり、やがてはそのブランド品である糞尿争奪戦が起きるのです

「特上から下等まであったランク分け」

そして、江戸市民の糞尿は、食べ物に贅沢をしている分=優秀で一種の「ブランド品」として扱われるようになりました。

なんと、江戸の糞尿ブランドにはランクがあって、特上から下等まであったのです。


まずは、『特上
特上にあたる「きんばん」とは、幕府や大名屋敷の勤番者の糞尿です。
勤番者の糞尿なので「きんばん」と呼ばれていたのでしょうが、身分の高さがブランド品としての価値(値段)に反映されているところに…ここでも身分がと驚かされます。

次に『上等
上等にあたる「辻肥」とは、街角にある、今でいうところの公衆トイレからくみ取られた糞尿です。

次に『中等
中等にあたる「町肥」とは、長屋などの町民が使うトイレからくみ取られた糞尿です。

次に『下等
下等にあたる「たれこみ」とは、糞の量が少なくて、尿の量が多いために肥料としての価値が低いものをいいまいた。

同じく下等にあたる「お屋敷」とは、牢獄や留置場からくみ取られたもので、罪を犯した者の糞尿は価値が低いとされていたからです。





けれども、ここに出てこないブランド品の「特上」の上をいく、“特上中の特上ランク”の糞尿は、役者や高級遊女たちのトイレからでた糞尿です。

それは、なぜか?

それは朝から晩まで、彼ら、彼女らはご馳走を食べていたからです


つまり、糞尿のランクは、食べる物の違いから、肥料としての効き目具合も違ってからではないでしょうか。それが、今では考えられない「ブランド品」として扱われる糞尿を生み出したのかもしれません。


※因みに、今の青山、赤坂、麹町辺りにお家の糞尿を畑にまくと、渋谷辺りのお家の糞尿よりも効果があったので、値段が高かったそうです。
江戸時代の青山、赤坂、麹町辺りのお家の人は、ご馳走をたべていたのでしょうか?

「大奥は、中身と値段が不釣り合い?!」

大奥の糞尿は、高い値段で買い取られていたのだそうですが、糞尿の質としてはあまり良いものではなかったようです。

どうしてでしょうか?
毎日、贅沢な食生活をおくっていたのではないと思われるのに、なぜに大奥の糞尿の質が悪いのか?

それは、大奥の女性たちが厚化粧をしていたからなのだそうです。

当時の化粧品には、鉛や水銀などの成分が入っていました。
ですので、当然、大奥の女性たちが使用するトイレから汲み取られる糞尿には、その成分が混入していたようなのです。

結果、鉛や水銀の成分が入った糞尿を肥料に使った畑の野菜にも、それらの重金属が混入することになるからです。

糞尿の話とは少しずれますが、鉛や水銀の成分が入ったもので、美しくなろうと当時の女性が化粧をする…は、なんだかちょっと怖いですね。


「江戸の人は生野菜を食べなかった?」

さて、今のように交通手段が発達しているとはいえなかった江戸時代、重量のある糞尿を運ぶために、船を利用することが多かったようです。

船にタップリと糞尿を積み込んで農家に届けたあと、その船で折り返し野菜を運ぶ。

糞尿と、口に入る食べ物を同じ船で運ばれるという、ここでも、今では考えられないような事が行われていましたが、当時は、それが一般的だったようです。

ですが、流石に糞尿まみれの野菜を、そのまま生で食べるというのは、江戸庶民にも抵抗があったのだと思います。

当時、江戸の町では生野菜を食べるという習慣はなかったようです


「糞尿争奪戦の結果は?」

さて、江戸時代、江戸庶民の糞尿はブランド品としての価値が高く、立派な商売になりました。

それに加え、江戸時代後期になると糞尿が不足してきます

江戸の人口の伸び自体は鈍化していましたが、戦もない平和なこの時代、生活水準が徐々に向上していき、農家では、生産品である野菜の商品化(高価な野菜)が進んでいったのです。

こうして、ブランド品である江戸庶民の糞尿を、少しでも多く欲しいと思う近郊農家の間での「糞尿争奪戦」はエスカレートしていきます。

そんなか、くみ取りの権利を持っていた葛西の百姓が、権利金の額をつり上げます。このことで近郊の農民が怒りだし、江戸の町の「糞尿汲み取り拒否のストライキ」に発展してしまいます。

(それまでにも近郊の農民は、くみ取りの権利を持った葛西の百姓に「権利金」を支払い。さらに相手先(実際に糞尿を汲み取る先の家)にもお金を支払っていまいした。)



結果、江戸庶民は糞尿処理に苦しめられることとなり、仕方なく自分たちで糞尿を汲み取り、近くの川や堀に捨てたために、今度は環境汚染で大きな社会問題となってしまいます。

江戸幕府も捨ててはおけないこの事態に、とうとう葛西の百姓の汲み取りの権利である特権を取り上げてしまいました

人間、人のもので金儲けしようという狡い考えを持ってしまうと、初めから持っているものさえも無くしてしまうということでしょうか…。

そして、この糞尿騒動がきっかけで、「おわい屋」という糞尿汲み取りの専門業者が誕生したのだそうです。


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知らないことが知りたくて、メンタル、カルマ、礼法に漢方スクール…etc.とお勉強。で、ですね、人を動かしているのは無意識、でも、この無意識を味方につけるとスゴいんだ~と気づいたら…、なぜか、「えっ?!そうくるかぁ~」と、色んな場面に遭遇しれしまう…という面白いことが起こりだすのでした。

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