心理学を勉強すると、他人の不快な行為を、自分の問題と捉えることで、余計に嫌な気分になっているのだと気づくことが出来ます。

これは、勉強(心理学)したことで、実際に自分の目の前で起こった出来事に対して、「なるほど、今の私は、相手の問題を、自分の問題だと捉えてしまったがために、とても嫌な気持ちを感じてしまっていたのだな…」と、気がついたというお話です。

「休日の電車内にて…」

とある日曜の朝、時間は朝の9時をちょっと過ぎくらいだったでしょうか。

乗り込んだのが、その駅からの始発電車の普通ということもあり、比較的席もまばらに空いていました。が、電車が終点の駅に近づくにつれて乗客も増え、空いていた席も埋まり満員とまではいいませんが、隙間を埋めるように立つ人が段々と増えていったのです。

そして、終点4駅手間で、私の前に立っていた人たちがドッと集団でおりていきました。それから、その駅から乗る人たちが、またドッと電車の中に入って来ることになるのですが…。

このとき、丁度、私が座る席からは、電車の出入り口がよく見えていました。
そして、この駅から乗り込む人たちの列の先頭に立っていたのは、多分、40代後半だろうと思われる男女の二人連れでした。



「それって?…」

この二人、なにやら言い争っているといいますか、男性の方が一方的に女性に何かしつこくいいながら…。女性の方は、不機嫌そうに返事をしているという感じでした。

この男性の周りを気にしない声の大きさに、どうやら二人は夫婦連れであるようだということ、これから二人で出かけるようなのですが、本当はもう少し速い電車に乗れたはずなのに、座っていけたはずだったのに…。

なのに、こんな込む時間の電車に乗ることになってしまったのは、自分が起こしてくれと前の晩に伝えておいた時間に、奥さんである、この女性が起こさなかったからだという文句を、旦那さんである男性が、延々と奥さんに向けて言いながら、徐々に私の方に近づいてきました。

そして、最終的には、私の前に奥さんが立ち、その横(私から見て右手斜め前)に旦那さんが立ったのです。



そのときの会話は、以下の通りです。

旦那さん。
「おまえが時間どおりに起こさんから、こんな混んだ電車に乗らんなあかんのや!ほら、みてみい、座れんやないか!」

奥さん。
「起こしたよ。けど、何回起こしても、あんたが起きひんかったんやんか」

旦那さん。
「なんで、時間どおりに起こさんのや!俺は、前の晩に言うたやろうが、6時に起こせって!」

奥さん。
「だから、何回も起こしたけど、あんたが起きひんかったんやんか!」

旦那さん。
「ほんま、おまえは、なにもできひん女やな。なんで、俺の言うた時間に起こさんのや!だいたい、おまえはなぁー、言うたことができん女や。俺が言うた時間に起こしていたら、立たんですんだんや。俺は、座れたんや」

どうやらこの旦那さんは、奥さんの話に1㎜たりとも耳を傾ける気が無いようです。




おまけに、すべての責任は、自分を時間どおりに起こさなかった奥さんにあって、奥さんに何度も起こされていたのに、起きなかった自分にはなんの責任もない。

ただただ、座りたかったのに、座れなかったのは奥さんのせいだと、この旦那さんは公共の場という電車の中でエンドレスに言い続けているのです。

これには奥さんも、もう、なにを言っても一緒と思ったのでしょう。

ここからは黙りを決め込んだようで、もう、旦那さんが「なんで、起こさんかったんや」と何度も、何度も、繰り返し奥さんに言っても、返事をしませんでした。

そのとき、私は、『奥さんに起こされたのに、起きなかったのは、旦那さん、あなたですよね。なのに奥さんに対してのその言葉は…。それって?あまりにも、理不尽すぎるんじゃぁないですか?』と思ったのです。

そして、穏やかな休日の朝に、聞きたくも無い自分勝手な怒りの言葉を、周りに人がいることさえも気にせずに、大きな声で言い続けるこの旦那さんは、奥さんに対しても、周りにいる人たちに対しても、なんの思いやりもない、自分勝手で、なんて不快な人なのかと失礼ながら私は思ってしまっていたのです。




「そして・・・」

この旦那さんの文句は、メビウスの輪のように、次の駅に着いても、その次の駅に着いても終わることなく続きました。

そして、事件は終点一つ手前の駅で起こりました。

電車が一つ手前の駅に止まると、私の隣にいた人がおりたのです。

そうです、丁度、この旦那さんの前の席に座っていた人がおりたのです。
すると、この旦那さんは、「おまえが起こさんから、俺は座れんのや」と、なおも奥さんに向けて文句を言いながら体を半回転させて、この旦那さんは、目の前の空いた席に座ったのです。

そして、お望み通りに座れたにも関わらず、「おまえが起こさんから…」と、斜め前にいる奥さんに対して、なおも文句を言い続けたのでした。

この旦那さんの行動を見ながら、私は思いました。

〝親しき仲にも礼儀あり〟いくら座りたかったからとはいえ、女性である奥さんに対して、「座っていいか?」のひと言もなくサッサと座り。
おまけに、まだ文句を言い続けている。

確かに、これまでの状況を見ていれば、どうして?そういうことするのかね…の、私の疑問に対して「そんな優しい言葉を言う人とは、違うわ!」という答えが、どこかから返ってきそうな気もしましたが、それにしても、この、連れ合いがいるにも関わらず、何も言わずに空いた席にストンと座るのは、人として「どぉーよ?」と、正直このときの私は疑問に思ってしまいました。

そして、この時点で私は、自分の中にある嫌な気持ち、とても不快な感情の正体に気がついたのです。




「自分の問題ではない」

それは、心理学で勉強した「行動の四角形」が表すところの、相手の問題は「相手の問題」であって、「自分の問題ではない」のだということです。

今、私が不快に思っているのは、あまりにも理不尽なことを言われ続けている奥さんに対して、「酷いことを言われて、辛いよね」という気持ちが、私の感情を動かして、この旦那さんに対して不快だ、嫌なヤツだと思っているのだと気がついたのです。

ですが、このご夫婦に取っては、この様な出来事は、いつものことなのかもしれないという可能性があるのです。

だから、いくら話の内容が聞こえて来たからといって、関係のない私が、この旦那さんに対して、怒りを持つ必要など何一つないのだと気がついたのです。

そして、そう思うことで、少し私の中にあった不快な気持ちが和らぎました。




ただ、空いた席に「おまえが起こさんから…」と文句を言い続けながら座る旦那さんを、無言で見た奥さんの一瞬の目の動き。

そして、終点の駅に着き、座る旦那さんをチラリと一瞥してから、サッと背中を向けて電車を降りていった奥さんの目の光りを思い出すと、なんというか…。

一瞬、背筋に冷たいものが走ったことを覚えているという、私にとっては、ちょっと恐い出来事でもあったのです。

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知らないことが知りたくて、メンタル、カルマ、礼法に漢方スクール…etc.とお勉強。で、ですね、人を動かしているのは無意識、でも、この無意識を味方につけるとスゴいんだ~と気づいたら…、なぜか、「えっ?!そうくるかぁ~」と、色んな場面に遭遇しれしまう…という面白いことが起こりだすのでした。

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