秋風は16歳の少女だ

季節は冬になっている。

行き慣れたエスの住む工場街に足は向かない。

交際相手の湯川はドラムの白井と仲良くなり

エスとも佐々木とも一緒にはいなかった。

白井は髭を剃ると背が高いがやはり子供で

大手都市銀行の子息らしく真面目で落ち着いた色白の青年だった。

湯川は同じ境遇の白井といることがどうやらラクそうで

その姿を見て秋風は安心した。

白井の家も両親が揃ったサラリーマン家庭の良家だったのだ。

エスからは毎日電話があり

お風呂に入っていないというので

秋風もお風呂に入るのが嫌になった。


さてお風呂に入ろうと思うとエスから電話があって


お風呂に入ってないというのだ。


エスもどうやら学校で孤立している。



勝手に秋風の恋人にエスが仕立てあげた斎藤の事を


エスが気にしているのか?いないのか?

秋風にはわからなかったが立教高校に白井の

友達がいるので遊びに行かないか?と別れたばかりの湯川から誘われた。

白井がもっと頑張った方がいいと言ったらしいのだ。

秋風には冬の服もなかったし

湯川と終わるとともにオシャレにも興味がなくなっていた。

エスが勉強しているというので

秋風も家で勉強していた。


父親が仕事で行った台湾で買ってきた

ウーライ民族の服を着ていて頭も洗っていない秋風は

湯川と終わるとともに汚くなって行ったが勉強は捗った。

頭がいつもベトベトしている。

湯川と電話で話ながら!鏡に写った自分の姿を見ると


ウーライの下は何も着ておらず!乞食のようだったので

自分で自分が情けなくなる。


秋風の母親が湯川は大事にした方がいいと急に言い出した。

エスは警察に訴えると相変わらず言っている。

「着ていく服がないから行かない」と秋風が母親にいうと


湯川と会う服を揃えてくれたが青いブレザーだった。


「こんな物着ていくの?頭も洗うの?」秋風はウーライの服を着て

母親に聞いた。

「平安時代はお歯黒でシャンプーもないんだから


とにかく湯川くんには会いなさい。」と秋風の母親はいい


曇った気持ちで秋風は湯川と白井と白井の友達に会いに行った。

結局シャンプーはしなかった。


エスが頭を洗ったのか?気になり、家に行くと

お風呂に入っていないエスが勉強していたが


秋風の姿を見てとても喜んだので

秋風は嬉しくなった。


「エス!わたしもね、着る服がないし頭も洗ってない」と笑うと


「着る物と頭が汚いか?気にして生きていても

面白くはないだろね?」とエスは幸せそうに笑った。


もうこの家に湯川はこないだろうと秋風は思った。


「またここにこようかな~?今度は何をしようか?」

秋風が提案すると

「家を改造しないか?」とエスはいい


ふたりで押入れの中に寝る場所を作った。

秋風はそれを楽しいと思った。


「ここならよく眠れるんじゃないかね?」


押入れに入って布団を被って寝てみると心が落ち着いた。

「暖かいだろ?これから冬で寒くなるからね!

昔から冬になるとここに寝たんだ」とエスは笑う。

エスは6歳からひとり暮らしなので冬は工夫したんだろうな?と

秋風は思った。エスの家には暖房器具が炬燵しかなかったのだ。


「秋風?これあげるよ!」


エスがオレンジ色のパーカーをくれた。


「これを着ててもデートには行けないんじゃないかね?」


秋風が聞くと


「湯川くんと会うのはもう疲れるからやめろよ!」とエスは優しく笑った。

秋風はその言葉を聞いて安心した。

もう無理に着飾って行かなくていいんだ!ここにいていいんだと思ったのだ。

エスがジャージもくれた。

秋風はそれを着て落ち着いて来た。少し自分には大きい事が

嬉しかった。


「ここの家はやっぱり落ち着くな!」秋風は笑った。


その数日後秋風がエスの家にいくと


「秋風?今日は面白いことがあるからパーカーの帽子を被れ」と

エスは言った。


秋風はパーカーを被った。

「なにが?あるの?」

秋風はワクワクと聞いた。

「5時にここに岡田くんがくるから!」

とエスは嬉しそうに笑った。


岡田というのは親が早稲田の商社マンの子で女好きだった。


「岡田?なにしにくるの?」秋風は聞いた。


「いいか?誰もいないと思って女の子をここに連れ込んでくるから


この前作った押入れの部屋に隠れてみてよ~」とエスは

とても嬉しそうに笑っている。


秋風はとりあえずエスの支持に従うので


またエスについていこうと思った。


エスの部屋の押入れには小さな穴がなぜか?空いていたのだ。

おそらくエスがまだ小さい時に開けた穴だと秋風は思った。

寒い冬でも工夫してひとりで生きていた子供の頃のエスの手の跡が

その押入れの穴にはあった。

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