以前にご紹介した、元・世界一貧しい大統領と呼ばれているムヒカ氏(ホセ・アルベルト・ムヒカ・コルダノ氏/Jose Alberto Mujica Cordano)が、2016年 4月5日に来日しました。大統領時代、給料の90%を福祉団体に寄付し、ウルグアイの国民の平均月収とほぼ同じとなる残りの10%で暮らしていたムヒカ氏。その生き方や発言は、多くの日本人の心に様々な思いと共に、その存在を印象付けてきました。

そんなムヒカ氏が初来日し、日本の若者たちへ向けて講演を行いました。かねてから「日本人は幸せなのか?」と問いかけていたムヒカ氏。

2016年3月16日、国連から発表された「世界幸福度報告書(2016 World Happiness Report)」。この中の「世界幸福度ランキング」で、昨年2015年の46位から順位を7つ下げ日本は第53位という結果が出ています。幸せを感じる感性が弱くなっていると思われる現在の日本人に、来日したムヒカ氏は何を語ったのでしょうか。

来日したムヒカ氏が語った事とは

2016年4月7日、東京都府中市にある東京外国語大学で講演を行ったムヒカ氏。会場には約350名の学生と中南米15カ国の駐日大使らが集まりました。そして入り入れなかった学生や一般の人などの為に、同校の野外にパブリックビューイングを設置、多くの人がムヒカ氏の言葉を聞こうと集まりました。

また、TVでも度々特番が組まれ、その言葉を聞く事が出来ました。その言葉達をご紹介したいと思います。

生きているということが最も重要で、素晴らしい奇跡

「現在は様々な価値観があります。けれど最も重要な価値観は「生きている」ということです。なぜなら生きているということ、それ自体が奇跡だからです。なぜ奇跡なのか?生きているということは、これから生まれるであろうチャンスがいっぱいあるということなのです。」

お金で買っているのではない。時間で物を買っているのです。

「例えば、スーパーマーケットでは色々な物を買うことができます。しかし、人生の歳月を買うことはできません。私たちは、ただお金で物を買っていると思っていますが、それは違います。あなたが物を買うということは、あなたの大切な人生の時間の一部を払い、引き換えにその物を手に入れているのです

「2年ごとに新車を買いたい、家が小さいからもっと大きい家が欲しい、そうやってローンを重ね、その返済に追われる。モノを買うこと自体を楽しみにしてしまい、大切な自分の人生の時間を浪費してしまっています。けれど、そういうかたちで残るのはモノの蓄積に過ぎないのです」

「私は修道士のように生きろと言っているわけではありません。富が幸福をもたらすと思わないで下さい。比較的豊かになると、失う事への恐怖が生まれます。富を失う事への恐れが。そうすると、お金があっても幸せを感じられません。失う事を恐れるからです。これがまさに、中流階級の苦悩なのです。富に執着するあまり絶望に駆られる人生を送ってほしくない、ということなのです

「人生で一番大切なのは愛です。それなのに、愛情を注ぐべき時間を浪費してしまっています。私は消費そのものを否定はしません。しかし、過剰はいけない。なぜなら、人にとって時間は必要なものだからです。とても重要なものなのす。人生を楽しむために、享受するために、自由な時間というのが必要だからです」

人生の原動力は愛である

「例えば、若い時には友人や恋人と過ごす時間が必要でしょう。もしも子どもがいるなら、子どもに向き合い一緒に過ごす時間が必要です。愛というのは地上にあるもっとも重要なものなのです。人生の動力となるものです。物は愛というものをくれません。生きること、生きているものからしか、愛というものはもらえないのです。

質素である方が自分が本当に好きなことができる

出典 http://rt.com

私は「世界一貧しい」と言われていますが、私は貧しいわけではなく、ただ質素が好きなだけです。私にとって重要なモノさえあれば、それで充分なのです。

なぜなら質素であるほうが、私が本当にしたいことができる時間が手に入るからです。本当にしたい事は、人によって様々でしょう。ある人にとっては絵を描くことが大切かもしれません。魚釣りをすること、遊ぶこと、毛糸を編むことが大切な人もいるでしょうし、友人と遊ぶことが好きという人がいるでしょう。そういう時間を持つことができるというのが、自由であるということです。

同意するのではなく、考えて欲しい

「私がこうやって話したからといって、同感してほしいと思っているわけではありません。ただ同意するということをして欲しいわけではないのです。みなさん自身が、自分にとって何が一番大切なのか、何が一番いいのかを自分で考えてほしいのです

人生でもっとも重要なことは「勝つこと」ではなく「歩き続けること」

人生で最も重要なことは勝つことではありません。最も重要なのは「歩み続けること」これはどういうことなのか。それはなんど転んでも起き上がること。打ち負かされても、もう一度やり直す勇気を持つことです。

「考え方の家族」を持って。人生を1人で歩まないでください

人は一人で生きている人はいません。人生のいたるところで他者というものが必要なのです。例えばアイマラ族。アンデス山脈に住んでいる人々ですけれど、貧しい人、かわいそうな人というのはコミュニティがない人の事を、ここではそう呼びます。一番大きな貧困というのは孤独だからです。貧困というのはモノの問題ではありません。人生を共有する相手がいない事なのです。

ぜひ家族を持ってください。家族というものは、単純に血のつながった家族ということではありません。同じ様な考え方の人という意味です。「考え方の家族」を持って、人生を1人で歩まないでください。

そして、私たちは神ではありません。私たちは人間です。だからもし、他の人に対して完璧を求めたらどうなるのか。完璧な人間などいませんから、友人を得ることができなくなるでしょう。だからこそ寛容性が必要です。

人生を信じられるように何かをしてください

「日本ではなかなか希望を持てない、というふうに聞いています。前に聞きましたけれども、若者の30%ぐらいしか投票に行かないと聞きました。信じてないんですね。でももし信じられないんだったら、信じられるように何かをしてください。あなたの人生を信じられるように、何かをしてください

「不満を持つことはいいことです。けれど、何もしないで不満ばかり言っているのであれば、それは全く変わりません。同じ気持ちを持つ人と一緒に何かをしなければいけないと思います。もしそこで何もしなければ、あなたの失望が勝利してしまいます。生きるためには希望が必要でしょう?

「目標に向かって前進し、戦うものは、恐れるものがないのでとても幸福です。なぜなら希望があるから。幸せであるという事は、生きている事に心から満足していることです。毎日毎日、太陽が昇るのを見て感謝する。幸せとは人生を愛し憎まないこと。でもそのためには情熱を傾ける何かが必要なのです」

「本当に世界中が幸せになることは可能か?」との質問に

東京外国語大学の講演では「本当に世界中が幸せになることは可能なのか?」という質問がありました。質問した学生が「私には不可能に思えるのですが」とコメントしていたのが、とても印象的です。けれどこの言葉は、おそらく今の日本人の多くが感じていることなのではないでしょうか。私たちのその感覚こそが、冒頭にご紹介した「世界幸福度ランキング」での結果につながっている様な気がしてなりません。

最後に、その質問に対するムヒカ氏の答えをお届けしたいと思います。

「確かに私たちは神ではありません。けれど人生のある地点で立ち止まり、そして自分を幸せにする方法を見つけることはできます。そして自分と関わる人たちを幸せにすることも。その努力をすることはできるのです。世界全部変えるのはとても大変なことだが、あなた自身を変えることはできる。そうやって努力すれば、今までと同じということはありません

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