6歳に満たない子供があと数か月の命と宣告されたら?

ここ数週間、豪国内のニュースでは脳腫瘍に侵された少年の治療法をめぐり、医療チームと少年の両親の間での問題が取り上げられています。オーストラリアのニュースを扱っているウエブサイトnews.com.auから経過をたどってみました。

パース在住のOshin君は、2015年11月に脳から脊髄へと髄芽(細胞)腫が転移していると診断され、12月3日に腫瘍摘出手術を受けました。その後、医者は少年に化学・放射線療法を受けるようにアドバイスをしますが、少年の両親は副作用の懸念から、その治療への許可を拒否しつづけます。

拒否の理由は、Oshin君の母親は自然療法を学んだことがあり、さらに過去、強いガン治療をしたにもかかわらず苦しんで亡くなっていった身内がいることでした。

そして両親は栄養を重視した代替え療法ができる海外に連れて行こうとします。
しかし、病院側が空港でのウォッチ・リストにOshin君の名前を載せ海外渡航は不可能となりました。

その後、少年の医療チームと両親との話し合いは平行線をたどるのみであり、児童・青少年医療サービス機関は、西オーストラリア家庭裁判所に治療をつづける訴えを求めました。

3月24日、少年の6歳の誕生日の翌日から治療をはじめるように判決が下されます。

「疑いの余地はまったく無し」、「親の力への制限」、「化学・放射線療法を受ければ、今後5年間生きのびるチャンスが50%くらいあるかもしれない」。

出典 http://www.news.com.au

裁判官がこの判決を下した大きな理由のひとつは、今、化学療法を始めなければOshin君の命は数か月もないかもしれないことでした。これらの治療法は多くのガン患者の治療に専念してきた医者からの多大な経験に基づいたものであり、治療の遅れが命にかかわってきます。

さらに、今後同じようにガンを患う子供を持つ親が、どこまで医療側の選んだ治療法に介入していけるのかなどにも重点を置いたようでした。

ガン患者と家族にしかわからない苦しみ

自分の子供がガンに侵され数か月の余命もないという両親の気持ちは、想像を絶するものであり、当事者や同じ経験をした人にしかわかりません。

私自分も身内をガンで亡くしています。その当時、医者の言われるまま疑いもなく化学療法を受けてひどく苦しんでいる姿を見るのが心底辛かった記憶が鮮明によみがえります。こんなに苦しむなら化学療法を止めたほうがいいのにと何度と思ったことでしょう。

親として子供の苦しむ姿を見ることほど辛いものはありません。Oshin君の両親が望む治療法を選ばさせてあげてもいいのはないのか?という反面、どんなに化学療法が辛くても5年、いや数年でもいっしょにいられるのなら、50%の望みにかけたらどうなのかとも思えたりもします。

ガンを患う子供にとり何が最善方法なのか?

今回のケースは、西オーストラリアの家庭裁判所でははじめてのケースであり、「子供にとり最善になることに焦点を合わす」という結果が出されました。

「子供に取り最善になること」とは痛みや苦しみがないことです。それとも苦しんでも少しでも長く生きることでしょうか?

もしかしたら、Oshin君の母親の信じている代替え療法で延命の可能性もあるのかもしれません。親として、ただただできることは化学・放射線療法の痛みが少しでも和らぐこと、そして長く生きてくれることを祈ることだけなのでしょうか?

ガン治療に携わる医療関係者、患者とその家族に大きな波紋を投げかけたニュースでした。

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sydneyshizuko このユーザーの他の記事を見る

Media翻訳・通訳・フリーランスライター。アメリカ&オーストラリア在住歴20数年、日本では得られない海外での舞台裏や感動ストリーなどを紹介します。個人のブログではさらに違った角度から英・米・豪などを追求しています。http://minamijyujisei.cocolog-nifty.com/blog

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