秋風は16歳の少女だ。


17歳の天才少年エスによって10月29日17歳の少年湯川と結婚式をあげた。


入籍はまだしていなかった。


結婚式当日に湯川は家族のいる家に帰りいつもと変わらない日常があったので


秋風は聊かがっかりしていた。


目の前にいるのは相変わらず天才少年で孤児のエスだったのだ。


「わたしが結婚したのは湯川くんでエスではないから!」


秋風はそれでもエスに頼っていたので


心とは裏腹な言葉を吐いた。


「それにあのプロポーズの曲エスが作ってるでしょ?

歌ったのは湯川くんだけど」結婚式は湯川とエスのオリジナル曲によるプロポーズだったのだ。

秋風がエスを確認するように見つめると

エスはいつもの様にニヤニヤと笑った。


「キミが帰ってしまうと僕はキミが

来てくれたのが嬉しいのか?帰ってしまったのが

淋しいのか?わからずにそれでも泣いているって


エスの交換日記に書いてあったもん!それはエスの気持ちなんでしょ?」秋風は確かめた。


「あ~あれね!いい詩でしょ?僕が湯川くんに


成り切って書いただけだよ!」とエスは大きな声で明るく言った。でもあれはエスと自分の交換日記だと秋風は思った。


「でもわたしが行ったのはエスのうちだ!


湯川くんの家なんて一回もあがった事ないよ!」


秋風はとても淋しくなった。


「僕は秋風が来ても嬉しくもないし


帰っても淋しくもないけど湯川くんだったら


そう思うだろうなと思って書いただけだよ」


とエスは言った。


秋風の頭の中で、今日は女子大生がくるから


こないでと言ったエスの言葉と一致した。


数日後・・・


湯川が秋風の家に結婚の挨拶にくるという。


秋風は父親にその事を告げたが父親はめんどくさいなという顔をした。


当日湯川との待ち合わせ場所にいくと


元気のいいエスと佐々木がいた。


「なんで?いんの?」秋風が聞くと


「湯川くんがうまく結婚の挨拶をできるのか?


応援しにいくんだ!な?佐々木!それに僕が秋風のお父さんにも


慣れているから!」とエスが言った。


エスは夏休みに秋風の父親のところに演奏を聴いてくれとギターを持って


訪れたのだ。


17歳の少年3人はぞろぞろと秋風の父親のところに

現れた。


秋風の父親は驚いていた。


「お前たちに用はない!秋風の部屋に行きなさい」


秋風の父親はエスが嫌いだったので


エスしか見ていない。そして切れたのだ。


仕方なく4人は秋風の倉庫を改造した部屋に入った。


倉庫を改造してるので入るのに命がけだった。


塀をまたがないと落ちるのだ。エスはその部屋を大層気に入っていた。


「な?面白いだろ!!佐々木」


佐々木も喜んでまたいで秋風の部屋に入った。


「なにこの家!!」佐々木はゲラゲラと笑っている。


「ここで秋風は寝てるんだね・・・」湯川が愛しそうに


秋風のベットを摩っている。


「こんな布団で寝てるんだ」湯川は幸せそうに秋風を見た。


秋風の部屋の壁の下には扉がありパイプを伝わって外に出ることが


できたが秋風はその扉を滅多に開けなかった。



「秋風のお父さんいなくなったね・・湯川くん


結婚の許可もらえないんじゃないの?」とエスは言った。


「違うよ!!エスが嫌いなんだよ!!わかんないの?なんで嫌いか?わかる!!孤児だから!」


秋風がいうと


「また俺嫌われた???」と口の隙間から白い唾液を出して


エスは笑った。



「秋風?お兄さんの部屋はどこ?」湯川は心配そうに聞いた。



秋風には17歳の中高一貫校に通う兄がいた。



「あ~ここにはいないよ」秋風は答えた。


「いないって・・エスと同じだ・・・」湯川の顔はみるみる暗くなった。


湯川を傷つけたかもな・・と秋風は悲しくなった。


「俺んちもいないよ!か~ちゃんしか!」佐々木は言ったが


佐々木の母親はとてもいい母親で佐々木と仲がよかった。それに佐々木の父親は単身赴任なのだ。「石原くんちも確か両親ともいないんだよね!」佐々木が言った。学年5位の石原の親はイギリスにいた。


湯川の顔はみるみる暗くなった。自分にだけ両親が揃っていて悪いみたいに・・湯川は悩み出した。


秋風は湯川を傷つけたなと悲しくなった。


しかし、秋風にとっても誰も家族がいないエスの家は居心地がよかったのだ。


お金もないのに結婚しても仕方ないよという気持ちと


湯川を傷つけたくないという気持ちが錯綜していた。


湯川と別れようとこの時秋風は決断した。


エスが倉庫の窓を開けて下を覗いた。


「ねぇねぇ湯川くん?ここから秋風は脱走してんだよ!


みてみな!」エスが笑った。


秋風が夏休みに脱走して会いに行ったのはエスだった。


秋風はますます湯川と別れようと思った。


ぼんやりと夏休み毎日明け方に原付バイクで


会いに来たエスを思い出していた。


湯川は大きくため息をついた。


秋風はこれでは結婚は無理だと湯川は思ったのだろうと思った。


「お兄さんいつからいないの?」湯川はその事で頭が一杯だ。


「さ~?忘れた」秋風はもう湯川と別れようと思いそう答えた。


エスを見ると口から白い唾が出ていた。


湯川とは結婚できないがこんな孤児と生涯を共にしたら


人生は終わりだ!と秋風は思った。

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