2年間、誘拐されて監禁生活を強いられてきた10代の学生がこのほど無事に逃げることができて犯人逮捕となった事件は、最近の日本のメディアでも大きく話題になっています。10代という輝かしい時間を2年間奪われてしまったこの女性の今後のケアが日本の社会で期待されるところですが、本人の心の傷は他人には計り知れない深く大きいものでしょう。

増えても減りはしない世の中の虐待事件

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日本でも虐待数が増加しているように世界の各地でも、今、この瞬間にも虐待は起こっています。子供や女性、お年寄り、そして動物など弱者に対する残忍な行為は一向に後を絶ちません。

このほど、イギリス北ウェールズで16歳から18年間監禁されていた女性がメディアで大きく取り上げられています。彼女の名前はフィオナさん(35歳)。16歳の時に結婚した相手、シルヴァン・ペリー(46歳)に18年間も地獄の生活を強いられてきたのです。

猛アタックされた末の結婚だったのに…

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シルヴァンは、フィオナさんと知り合い一目惚れ。花束や贈り物、優しい言葉や愛を綴った詩などで猛アタック。そんなシルヴァンに落ちたフィオナさんはやがて同棲、結婚。そしてすぐに妊娠します。

ところが、結婚してすぐに夫の態度が急変。フィオナさんに殴る蹴るの暴力を始め、寝室に監禁、逃げられないように足や手首をハンマーで叩きつぶすなど、もはや夫とは呼べない残忍な虐待を始めるように。実はシルヴァンは、ドラッグ常習者でもあったのです。

繰り返し18年間行われた暴力とレイプ

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シルヴァンは、結婚してすぐにフィオナさんを家族や友人から遠ざけるためにわざと遠くの家で生活させたそう。家の中がまるで刑務所のようにフィオナさんは18年間毎日繰り返し行われる暴力とレイプに耐え続けて来ました。

フィオナさんには、夫のレイプにより6人の子供がいます。子供を産む時でさえ、「産むのが遅い」とイライラし妻を思いやる欠片も見せなかったという夫。そんな夫の子供を6人も産むことになってしまったフィオナさん。

日常的に子供の前でも行われる虐待。ハンマーで足や腕、手首を殴られ骨を折られた状態で、歩けない自分が家を抜け出すのも一苦労。そんな状態での子育ては私たちの想像を絶するものだったことでしょう。

逃げるタイミングが18年間もなかったのは何故?と理解に苦しむ第3者もいるようですが、逃げたら殺されるという強迫観念と同時に、万が一、一瞬の隙をついて逃げ出したとしても6人の子供をそんな体で連れて行くのは無理があるとも思ったのでしょう。子供たちを守ることだけをこれまで考えて来たというフィオナさん。

さんざん虐待をした後に夫は…

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18年間、続けられてきた地獄の虐待。シルヴァンは、暴力を振るうたびにすまなさそうな顔をして「もう二度としない」「ごめんよ」という決まり文句と共に花束をフィオナさんに渡すこともあったそう。泣いて謝ったその後には、また虐待という異常な飴と鞭の繰り返しで精神的におかしくなってしまっても不思議ではなかったはず。

父が母に暴力を振るうのを見て育った子供たち

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フィオナさんの6人の子供は、最初こそ父によって手をあげられるということはなかったものの、自分の母親が父親に繰り返し暴力を振るわれるシーンを見て育ってきました。子供たちにとってこれがどれだけ精神的に悪い影響を及ぼすかは言うまでもないこと。

子供たちまでをも脅すようになった夫

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この地獄の生活から逃げたいと思いつつも虐待結婚生活を過ごして来たフィオナさん。去年、学校の送り迎えの途中で危うく夫に殺されかけたことがきっかけで彼女の心に「逃げる」という決心がつきました。

子供たちの大勢見ている前で、シルヴァンに殴られたフィオナさんは意識不明の重体に。ヘリコプターで病院へ搬送されたものの、脳出血と外傷が酷く4週間の意識不明に。病院では2度、心臓が止まったそう。それでも奇跡的に回復しました。

「目覚めて一番最初に思ったのは子供たちのことでした。ただただ子供たちに会いたいと思った。」レイプによる出産であっても、自分が産んだ子供たちへの愛情は惜しみなく注いでいます。

フィオナさんに対する夫の態度は、実は出産の手助けをした助産婦のファイルに残されていました。これが約10年後の裁判で役立つ資料になるとは誰も思ってはいなかったかも知れません。当時を振り返り「今でも自分が生きているのが信じられないぐらい。」と語るフィオナさんからは、彼女が受けた18年間の凄まじい虐待行為が滲み出ているような気がします。

現在、夫のシルヴァンは服役中

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野球のバットで殴られ、熱いアイロンを当てられて火傷を負わされ、カップを投げつけられ鼻をへし折られるという残虐極まりない虐待行為を受けて来たフィオナさん。この18年間、あまりにも酷い暴力を受けた後だけ病院へ行くことが許された彼女は、当然夫に付き添われて病院で偽名と偽の住所を書かなければならなかったといいます。

そんな彼女が18年後ついに勇気を出して警察に通報できたことで、シルヴァンは逮捕、現在は服役中ということですが、度重なる虐待に「もう、これ以上耐えられない」と思ったそう。

PTSD(心的外傷後ストレス障害)に苦しむ今

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フィオナさんが受けた心と体の傷は、恐らく一生かかって癒していかなければいけないものになるでしょう。また、向き合う度に当時の痛みが蘇り、苦しい思いをしなければいけないというPTSDにも悩まされています。

10代、20代という最も輝かしい人生のステージでただ地獄の暴力に耐えて過ごしていたフィオナさん。「もうあの人は一生刑務所にいてほしい」と語っているほど。家族や友人とも遮断された生活を強いられたフィオナさんには弟もいるのですが、彼女が家を出た時は弟はまだ3歳だったそう。

今21歳になっているにも関わらず、弟のことを何も知らないという衝撃的な現実。これがどれだけフィオナさんを傷つけていることか。家族になれると思って結婚した夫からの仕打ちに周りの誰も気付くことができなかったという悲劇に加え、フィオナさんの家族自身も「娘の18年間の空白」を強いられなければならなかったのです。

虐待は心と体を殺す

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例え、命が助かっても失われた年月はもう戻っては来ません。心身にうけた傷を抱えて生きて行かなければいけない辛さを思うと、虐待行為はまさに相手への殺人行為と同じです。生きながらもトラウマという苦しみを与え続けるために、殺人行為よりも残忍だともいえるのではないでしょうか。

それでも、今ようやく失われていた自分を取り戻しつつあるというフィオナさんは、虐待を受けている人たちの励みになればと今回胸の内を吐き出す決心をしました。「できるだけ前向きに生きるようにしています。」

「今まで私が得たことがなかった自由や解放感、そして平和や未来があるということに感謝したいんです。」今、フィオナさんには6人の子供たちが寄り添っています。これからは、彼女が子供たちと幸せに穏やかな時間を生きていけることを心から願う筆者です。

世の中で日常的に起こるこのような虐待は、決して目を瞑っていても解決はできません。虐待されている人が外に助けを求めるということは、とてつもない大きな勇気がいることだと思います。

でも、勇気を出して救いを求めて来る被害者に社会もまた名一杯のサポートすることが大切。一人でも虐待される人数が減るように、筆者もここで虐待ニュースを取り上げてこれからも注意喚起をしていこうと思っています。

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公式プラチナライター。イギリス在住22年目。いつも読んで下さる皆さんに感謝。Twitterアカウントは@mayonesque18です。よろしくお願いします。

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