総合病院のエレベーターで

数年前、まだ父との介護生活を日本でしていたころのこと。杖をついていた父のために、総合病院のエレベーターをよく利用していた時のエピソード。

父と私が開いていたエレベーターに乗り込もうとして向かっているのを、中にいる人たちはちゃんと見てたのに、誰も、開くボタンを押してドアをホールドしてくれることもなく、目の前でドアが閉まってしまったことが何度かあった。

誰も開くボタンを押してはくれない

そんなことが繰り返されていたある日のこと、やはり目の前で閉まったエレベーター。しかたないので、エレベーターを呼ぶボタンを押すと、一度閉まったそのエレベーターが再び開いた。まだ動いていなかったのだ。誰かが開くボタンを押してくれれば、間に合ったのだ。

私は父を支えてエレベーターに乗り込んでふと外を見ると、私たち以外にも、そのエレベーターに乗ろうと歩いて来ている人たちが数人いたので、すぐに開くボタンを押して、 後から歩いてきた人たちを待った。

そして降りる時も、他の人たちのために、最後まで開くボタンを押していた。更には外に出てまで、私は手だけ中に入れて開くボタンを乗り込む人たちのために押し続けた。だって、降りる人たちも乗り込んで来る人たちも、誰もその役目をしようとはしないんだから。。杖ついている父を片手で支えながら、私一人がエレベーターの開くボタンを押し続けていた。

これは日本で本当に残念な出来事だった。こういうことが度々あった。

閉じるボタンはみんなすぐ押すのに

こういう現象は、長年住んでいたニューヨークではとても考えられないことであった。

誰かがエレベーターの開くボタンを必ずといっていいくらい他の人たちのために押してくれる。一番最初にエレベーターに入った人は最後の人が乗り込むまで開くボタンを押して待ってくれるし、降りる時も、開くボタンを押してみんなが降りたのを確認してから最後に降りる。そうやってみんなが他の人たちのことを優先して、気遣うことが暗黙のルール、それがニューヨーカーたちに自然に身についているエチケットであった。

日本でも、そういう人たちがいるにはいるけど、数少ない。

日本人はどちらかというと、エレベーターが閉じるボタンはちゃんと押す人種だと思う。とにかくそのボタンはみんな自分のためによく押すけど、他人のために開くボタンを押して待ってくれる人が本当に少ない。というより少なすぎだ!

病院のヘルパーさんでも

こんなこともあった。広い病院の道案内をするヘルパーさんと一緒になった時のこと。エレベーターを待っていたのは、杖をついた私の父とその父を支える私、そして車いすに乗った患者さんとその車いすを押す家族。その5人だった。ヘルパーさんは、この2組の家族をそれぞれ目的の科に連れて行くことになっていたのだが。。

エレベーターが来て、一番最初に乗ったのは、そのヘルパーさん。後から乗り込む杖つきの父を連れた私たち親子と、車いすを押した家族はエレベーターに乗り込むのに時間がかかる。けれど、ヘルパーさんは一番奥に入ってしまい、私たちのために開くボタンを押してくれなかった。しかたないので、開くボタンを私が父を支えながら外から押していたのだ。

降りる時は、さすがに車いすの家族が最初に降り、その後に一番奥にいたヘルパーさんが降り、杖をついた父を片手で支えながら、やっぱり私が開くボタンを今度は中から押し続けていたのだ。

これって日本ではありなのか?と思った。

その道案内のヘルパーさんは、歩調を緩めることもなく、さっさと目的の場所に向かって歩いて行ってしまい、私たち親子がエレベーターを降りて、廊下の角を曲がった時には、もうどこにもヘルパーさんの姿は見えなかった。。道案内のヘルパーさんは1度も振り返ることもなく、先に行ってしまったのだ。かろうじて、先に降りた車いすの家族の後姿が見えたので、ついていけたものの。。

これが日本という国なのか?この病院の方針なのか?とさすがに腹が立った。受付にたどり着いたときには、もうそのヘルパーさんの姿はどこにもなかった。

最後に子供たちに救われた!

病院の帰り道、すぐそばにあるスーパーに立ち寄った。買い物までするつもりは最初からあったわけではないので、買い物袋をこの日、持って来なかった。でも、病院で思わぬ時間をとられてしまったので、買い物もついでにすませてしまおうと、父を車で待たせて立ち寄ったんだけど。。

日本はレジ袋が1枚5円もする。家にはレジ袋がたくさんあるのに、買うのはもったいないと思い、レジ横に「ご自由にご利用下さい」と書いてあったリサイクル用の段ボール箱を利用した。

その中に買った物を詰め込んで、カートに入れて駐車場まで押して行ったんだけど、途中、突風が吹いて、1つの箱がカートから落ちて、 中の物をすべて地面にぶちまけてしまった。

思わず「My God !(マイ・ゴッドー=なんてこった!)」と瞬間的に大きな声で言ってしまったんだけど。。その言葉でそばにいた小学生低学年の女の子たち4人が、サッと寄ってきて、次々に落ちた食品を拾ってくれて、段ボール箱に入れてくれたのだ!!

無造作に物を入れようとした子たちに、1人が「ちゃんと綺麗に入れなきゃダメだよ!」なんて声までかけてくれた。

多分、7,8歳くらいの女の子たちである。みんないまどきのファッションでおしゃれした、とってもかわいい女の子たちであった。

誰に言われるでもなく(その時大人はそばにいなかった)、4人がほぼ同時に駆け寄ってきて、 自分たちで率先して、トラぶっていた私を手伝ってくれたんだ。

反射的にそういう行為ができるというのは、本物だよね。 日本もまだまだ、捨てたもんじゃない!こういう子供たちが、未来の日本を背負って行くんだから!と心が救われた。

エレベーターで自分のためだけに閉じるボタンしか押さない大人たちは、この子たちの精神を、見習わなきゃいけない!

病院でさんざんいやな思いをさせられての最後のハプニングだったので、このことで気分を取り戻すことができて、本当にこの女の子たちに感謝した!

あなたはエレベーターで人のために開くボタンを押せる心の余裕がありますか?

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