アフリカ南部に位置するジンバブエ共和国の政権を握っているのは、今年92歳になるロバート・ムガベ大統領です。このムガベ大統領は「モンスター大統領」と呼ばれているほどの独裁政権者。今、日本を訪問しているのでテレビで見た方もいるでしょう。

まるでドイツのナチス軍を支配したヒットラーを彷彿とさせる嫌われぶりは今に始まったことではありません。彼の融通の利かない国民の支配は、貧困と差別に悩む人たちを更に苦しめています。

人種差別や性差別が著しく嫌悪感を露わにする大統領

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国を治める者として、大統領ともあるべき立場の人間が人種差別や性差別を露わにしていると国民としてはリスペクトもしかねるといったところでしょう。このムガベ大統領は、初就任後こそ白人と黒人の融和政策を維持していましたが、2000年代に入って白人差別をあからさまにするように。

行為だけではなく発言自体も顕著になり、ジンバブエから白人農場の強制退去などをしたために、これまでやり手と絶賛されていたムガベ政権は瞬く間に急降下。経済も急速なインフレ状態を起こすなど欧米諸国からの信用も失ってしまったのです。

それでも欧州批判を続けるムガベ大統領

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自らの独裁政治により国の経済が下降したにも関わらず、ムガベ大統領は「ヨーロッパには力がない」などと欧州批判を繰り返しています。

更に、700万人という貧困民を抱える自国の統治者として貧困や飢餓のために尽力を尽くすのではなく、自分の誕生日に高級ホテルでの食事会を開き、支持者の寄付金から集められた1億数千万円をそのパーティーに費やすという贅沢な生活ぶりを披露。

同性愛者を激しく嫌悪

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カソリック信者でもあるムガベ大統領は、白人と共に世界の同性愛者も嫌悪しています。過去に「同性愛は人間の品位を損なうものであり、同性愛者どもがブタやイヌより汚らわしいものとして拒絶されることに疑問の余地は無い」という性差別発言をしたことも、欧州各国の批判を浴びています。

ところが、この批判に対しムガベ大統領は「ヨーロッパは自然なことを不自然とし、不自然でないことを自然と主張している。同性愛はナンセンスだ。」と反論。欧州各国からすればこのような思考は時代遅れもいいところ。

仮にカソリックの教えに従っているだけだとしても、個人の恋愛思考をこのような発言で侮辱することは決して大統領としては許されないことではないでしょうか。また、選挙は不正だらけ、欧州メディアは取材禁止などまるで北朝鮮の大統領をも彷彿とさせるムガベ大統領。世界中から「モンスター」と嫌われているのも納得。

それでも支持者が多いのは、ジンバブエに蔓延る「白人嫌い」という人種差別。欧米でKKK(白人至上主義団体)が存在するように、この国にはその反対が存在。こういう人種差別を煽っているのが大統領というのだから、解決法なんてないようなもの。

夫も夫なら妻も妻

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多くの国民が貧困に苦しんでいるという状態を見て見ぬふりか、ムガベ大統領の2番目の妻で41歳も年下のグレース・ムガベ夫人までもが、アイスクリームとチョコレートの会社を設立するという信じられない発案をしたことでも論議を醸しました。

ジンバブエでは72%もの国民が貧困層であり、1日に稼げるお金は日本円にしてわずか140円という日本人からすれば想像を絶する金額。そんな貧困民を尻目に、ムガベ夫人は国の財産を全て私利私欲のために搾取しているのです。筆者の住むイギリスでも、各メディアがこの二人のことを激しく批判。

実際にジンバブエでは多くの企業が経済破綻するなど、今や深刻な状態に陥っているにも関わらずアイスクリームを頬張るムガベ大統領夫妻の呑気な姿を見たら、貧困に苦しんでいる国民でなくても腹が立つというもの。

性差別を受け国を追われた人も

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Skhumbuzo Khumaloさん(24歳)は数年前にジンバブエで残酷な性差別を受けた一人。ムガベ大統領の人種差別や性差別が支持者や政治家、警察などに浸透しているためにLGBTの人達は母国で苦しい思いをしなければなりません。

Skhumbuzoさんは、警察側からリンチとも取れる扱いを受けました。「ゲイは殺すぞ!」と脅されて熱湯を体に浴びせられ酷い火傷を負いました。肉体的にも精神的にも痛みと苦しみが増したSkhumbuzoさんは、家族や友人と別れを告げ2014年に英国に「難民」としてやって来たのです。文字通り命からがらの亡命でした。

「もう家族や友人に二度と会えるかはわからない」

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英国に亡命したSkhumbuzoさんを待ち受けていたのは、更なる過酷な試練でした。難民として受け入れる以上、イギリス外務省は彼らの確固たる理由が必要。そのため、Skhumbuzoさんは「あなたがゲイだという証明をしてください」と言われ、不愉快ながらも同性との肉体関係を匂わせるシーンを証拠として提出しなければならなかったそう。これはSkhumbuzoさんにとってはとんでもない屈辱だったことでしょう。

それでもその試練を乗り越えなければイギリスに滞在し続けることなど不可能。Skhumbuzoさんは2015年の1月に改めて難民申請を許可されたということで、今はグラスゴーに住んでいます。

「これでやっと、ここで暮らせるという安心できたけど家族や友人に二度と会えるかどうかはわからないからそれが寂しい。」と複雑な胸の内を語ったSkhumbuzoさん。亡命とはつまりそういうこと。

でもSkhumbuzoさんは、母国の家族たちと生き別れになるリスクを背負ってまで自分自身に証明したかったのでしょう。「自分はLGBTだけど決して恥じることではない」と。

不条理な法律がLGBTを苦しめるジンバブエ

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アフリカ諸国は、何もジンバブエに限ったことではありませんが同性愛者を違法とする国が多く存在します。Skhumbuzoさんは、子供の頃はとても幸せだったと語っています。自分がLGBTかも知れないと気付いた時点で、彼女のジンバブエでの人生は暗闇に包まれることに。

ムガベ大統領の差別行為が、SkhumbuzoさんのようなLGBTの人達を母国から追い出し追い詰めているのです。Skhumbuzoさんは、現在イギリスでFixersという慈善団体のサポートを受けています。

自分が自分であることに恐怖を感じながら生きなければならない人生は苛酷以外のなにものでもありません。国の統治者によりこんな風にしか生きられないLGBTの人達をイギリスではサポートし続けます。でもSkhumbuzoさんが感じたような屈辱を味わうことなくLGBTの亡命者をイギリスが受け入れることができればと思う筆者。

「母国を去りたくなくてもそうせざるを得なかった」

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自分のパーソナリティの威厳のために、去りたくない母国をこんなふうに去らなければならなかったSkhumbuzoさんの苦悩は、私たちには計り知れません。「自分がLGBTであることで、ジンバブエで生きていく人生を想像することができなかった。」と話すSkhumbuzoさん。

母国で、命をも失くしてしまっていたかもしれない残酷な虐待に遭いながら、それでもここイギリスで強く生きていくために辛い心境を語りました。

人種差別や性差別は大きな国際問題です。多くの国が存在するように、その国の法律だって様々。それでもこんな辛い思いをして母国から逃げ出さなければいけない人がいるというのは残酷すぎると思う筆者。

人は人であって、性別も、国籍も肌の色も関係ないという世の中になるのにあとどのぐらいの年月がかかるのでしょうか。果たしてそんな日が将来来るのでしょうか。「差別は永遠になくならない」と豪語するムガベ大統領のような人が存在する限り、この問題を解決に導くのは困難なことでしょう。

これからも強く生きてほしい

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Skhumbuzoさんは、今のグラスゴーでの暮らしを「安心できる」と述べています。「将来に光が見えたような気がします。」と語るSkhumbuzoさん。難民としての生活は決して楽ではないでしょう。それでも、その光に向かって少しでもポジティブに強く生きていってほしいと思います。

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公式プラチナライター。イギリス在住22年目。いつも読んで下さる皆さんに感謝。Twitterアカウントは@mayonesque18です。よろしくお願いします。

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