海の向こうで起こっていること。どんな形からでもそれを知ることが、解決の一歩になるのではないかと常に考える筆者。世の中で起こっている様々な問題を取り上げては、ここでみなさんに伝えてきました。

今回、先進国に住む私たちからは到底想像ができないような社会問題をあえて考えてみたいと思います。それは「女性器切除」。海外ではFemale Genital Mutilation(FGM)と呼ばれていますが、主にアフリカを中心に2000年もの間行われてきた風習です。

FGMとは何なのか

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宗教上、男性器の包皮切除を行う「割礼」をご存知の方も多いでしょう。筆者の意見としては「割礼」などはあくまでも宗教上の言葉であって、幼い子供にそれを行う行為は立派な児童虐待に当てはまると考えています。

歴史と慣習が深いアフリカでは、生後1週間とまだ間もない乳児から初潮が始まる前の女児に行われる「儀式」とされていて、女性の外性器(クリトリス、小陰唇、大陰唇)の全て、または一部を取り除く行為を指しています。

FGMを当然のように行う人たちは性器を切除することで「女性の性欲を減退させ、結婚まで女性が処女を保つこと」を目的とし、大人の女性への通過儀式としています。結婚できる条件としてそのようなその儀式が行われるために、万が一拒否したりすると村の中で疎んじられ、「女ではない」という更に蔑みの目で見られることになるのだそう。

ところが、この儀式の真実性はあくまでもその風習を信じて来た人たちにしか通じないもの。実際には性器を切られたことで健康への悪影響は極めて高く、施術中もその後も言葉では表すことができない激痛を伴うのです。

衛生環境が整っていない中、近親者により押さえつけられ、免許を持たない医師や助産婦により麻酔も使わずにカミソリで施術。大量出血や感染症で亡くなるケースも少なくはないのだとか。

その後も女性は、生理の時も性行為の時もそして出産の時も激しい痛みと格闘し続けなければいけません。それでも95%の女性がこの「儀式」の犠牲になっているのです。健康面に悪影響を与える性器切除は、激痛だけでなく出産にもかなりのリスクがあり、アフリカに暮らす女性の16人に1人が出産時に命を落としているという現実があります。

このFGMはアフリカを中心に行われている風習として認知されていますが、アフリカのマサイ族などの部族以外にも、エジプトやイラクのクルド人の間でも行われています。主に女性の権利が著しく低く扱われている国でFGMが風習化しているのです。

まさに先進国の女性からすれば「悪しき習慣」以外のなにものでもないこのFGM。ところが、WHOの調査によると驚くべきことにエジプトでは未だ50%の女性が「伝統的な習慣なのでFGMには賛成」と答えていることがわかりました。

途上国ではFGMをすることによって「女性」として扱われるという真実とはかけ離れた信念を持っている人が多いために、反対派の女性たちには現在でも大きな壁が立ちはだかっているのです。

廃止は困難なのか?

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多くの活動団体がFGMの廃止運動を行ってはいるものの、「大人の女性への通過儀式」として認識されている風習が根強いために、廃止するということが非常に困難であるというのが現状だそう。

伝統的な悪しき風習が、受けた人を死に至らしめることがあっても2000年という歴史には叶わないのでしょうか、廃止される気配がない中でついに数人の男性が立ち上がったのです。

児童福祉プロジェクトのリーダーたちが立ち上がった

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児童福祉プロジェクト「Plan International」の地域リーダーでもある男性を始め、6人の男性が「妹のため」「娘のため」「孫のため」「姉妹のため」「妻のため」というそれぞれの目的を持ちFGM廃止運動に立ち上がりました。

彼らの中にはFGMの後、命を落としてしまった家族もいます。危険と隣り合わせのFGM、そして児童婚などの虐待に目を向けるためには女性だけでなく男性もこのように立ち上がることが大切ではないでしょうか。

「風習」と名付けられた児童虐待を許してはならない

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ユニセフの報告によると、世界中の2億人の女性がFGMを強いられているということです。半数以上はエチオピアやエジプトなどアフリカ中心となっています。女性への権利が冒涜され続けている男尊女卑の国では、命のリスクおかまいなしに行われる児童虐待、女性差別ともいわれるFGM。

「風習」という名に惑わされた虐待行為を決して見過ごしてはならないと思う筆者。遥か彼方の海の向こう側で起こっている出来事でも、私たち一人一人が意識を持つようにすればきっと支援団体の数も拡がると信じています。

同じ女性の立場として、世界中のどんな女性もこのような性差別を受けるべきではないと強く思う筆者。今はまだFGMの廃止が困難と言われていますが、いつの日か今立ち上がっている人たちの数が増えて、女性をリスペクトする国が増え、FGMの2000年という歴史に幕を下ろす時代が来てほしいと願う筆者です。

出典 YouTube

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公式プラチナライター。イギリス在住22年目。いつも読んで下さる皆さんに感謝。Twitterアカウントは@mayonesque18です。よろしくお願いします。

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