ご注文の品を取りに来られなかったお客様

出典私のイラスト

記事提供 がんばれ熊さん

食品スーパーで勤めています。

そこでは、お客様になかなかこっちの言いたいことが伝わらない時の何とも言えないストレスを感じることがあります。お客様あっての商売なだけに、このやり場のないストレスはどこに救いを求めたらいいのでしょうか?先日、このようなことがありました。


本来ならば3日前にお客様が、取りに来るはずのマヨネーズの注文品が取りに来られていないので、パートさんが「あれ?熊さん!注文品のマヨネーズまだ取りに来てないですけど・・」と私に言ってきました。じゃあ電話するかということにしたのです。

しかし、心の中では葛藤がありました。

「3日前に取りに来るって言ってたのに取りに来てないと言うことはいらないと言うことだろう。しかし、勝手に売り場に戻して、万が一、いきなり来られて『あれ?取り置きしてくれてないの?』って言われても問題になるし・・・」と葛藤しながら電話をしました。

プルルルルルーガチャ「もしもし」年配の男性の声が聞こえました。「いつもお世話になっております。私、○○スーパーの熊と申します」「はあ?どちらさん?」「すみません。○○スーパーの熊と申します」「え?聞こえないですよ」

最初から聞き取りにくかったようです

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それならと、大きな声を出しました。

「○○スーパーの熊と申します」

「あーーあーーーえーーと、あのことですかね?」

「はい、取り置きしているマヨネーズなんですけど・・・」

「あああれ?あれはいいですよ」

「ということはキャンセルでよろしいですか?」

「だから言ってるでしょ。必要なくなったんですよ。それよりもお宅、なんで電話してきてるんですか?」

「お客様からの注文品を勝手に売り場に戻すわけにはいきませんので確認のためにお電話させていただきました」

「だから言ってるでしょ。いらなくなったんですよ。何で何度も言わせるのですか?どういうつもりですか?」

この時点から体が熱くなりました。

確認で電話しているのにどうして理解してもらえないのか?と思ったのです。

「えーと、取り置きしている商品をどうするかの確認のためにお電話させて頂いたのですが」

「だから、何度同じことを言わせるのですか?いらなくなったって言ってるでしょ」

「それでしたら分かりましたので」とてもイライラした気持ちになりました。

お客様の声もどんどん荒っぽくなってきました。

「お宅ねー、いらなくなったものを買えと言ってきてるんですか?」

「いえ、そういうことは言っておりません。ご注文品を勝手に売り場に戻して、お客様に迷惑がかかってはいけませんので、お電話させて頂いたのです」

「だから、何で何度も同じことを言わせるのですか?」

「申し訳ございません」

「お宅お名前は?」

「熊と申します」

「ちょっと本社の電話番号教えてくれますか?」

そして電話番号を教えたところで電話は終りました。

この電話のやりとりを店長と本部に連絡しました。

すると、私の電話対応を注意されました。余計なことを言うべきではない。「はい」「分かりました」ですんだ話だということです。つまり、私の頭の中に理由を説明しなければという考えがありすぎて話をこじらせたのです。

正直な気持ち!電話しなければ良かったと思いました。

出典私の作成

なぜそう思ったのか?

マヨネーズはある程度、賞味期限がある商品です。そう考えたら電話をあえてしないで、しばらくしたら売り場に戻したらよかったと、そういう気持ちが生まれたのでした。

しかし、電話をしたことがいけなかったわけではありません。

店長や本部の上司が言う、余計な説明をしなければすぐに話は終ったという点は、やはり反省すべきだと思いました。ついつい、説明しなければという気持ちで熱くなっていたのです。

お客様は本社に苦情の電話をするのだろうか?そう思うと、とても気持ちが沈みました。しかし私のそんな心配をよそに、お客様は本社に電話をしてきませんでした。しかし、私のイライラした感情はおさまりませんでした。

お客様のイラついていた声を思い出すたびに大きなストレスを感じたのです

そんなイライラした気持ちのまま、3日が経ったとき、なんと、そのお客様が私の前に現れました。「えーーと、お宅が電話をしてきてくれた熊さんですか?」

直接苦情を言いに来られたのか?と思いました。

出典私のイラスト

心臓の鼓動が緊張で早くなりました。

私は、次にお客様に話することがあったら、ひたすら謝ろうと決めていました。「先日は申し訳ございませんでした」すると・・・

「えーと、確認なんだけど、お宅が電話をしてきたのは商品を取り置きしてるから、その商品を売り場に戻してもいいかどうかを聞きたかったんですよね」

「そうなんですけど、何度もお客様に同じことを言わせてしまって申し訳ございません」

「まあ、私もあれからいろいろ考えたんですよ。どうして私は何度も同じことをこの人に言わなきゃならないのかと。そしたら、お宅は商品を戻していいかと聞いていて、私は必要ないということを説明していて、話が行き違ってたんですよね」

どうやらお客様は一方的に私が悪いということではなく話の行き違いだと伝えにこられたのでした。

これに対して私は「大変申し訳ございません」

「いやいや、私も頑固なものでね。どうして理解してもらえないのかと我慢出来なくなるんですよ。やっぱり年のせいなのかな?」

「申し訳ございません」

「いやいや、こちらも意地になったので悪かったです」

その後、お客様は「やっぱり俺は年なのかな?頑固になったのかな?」とつぶやきながら、立ち去りました。私の電話対応をとがめることなく、逆に自分の頑固な性格を責めるように立ち去るお客様の姿に、私は大きく考えさせられました。

お叱りを受けると思っていたのですが逆に自分を責められました。

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お客様に直接お会いする前は・・・

私は心の中で「電話しなければよかった」「取りに来ているかどうかの確認なのにどうして怒られなければいけないのか?」「取りに来ていないことを連絡するのは親切なことではないのか?」「そもそも、なんの連絡もしてこないお客様が悪いのではないか?」とお客様に対してイライラした気持ちを大きくもっていました。

思い出せば出すほどイライラは大きくなったのでした。だから考えないでおこうと思いました。反省はしつつも、後に引きずらないでおこうと思ったのです。

そんな気持ちでいてる時にお客様が目の前に現れて「年をとると頑固になりますから」「どうして私はあんなにムキになったんでしょう?やっぱり年なんですかねー」と苦しい胸の内を話されたのでした。

じゃあ、私は心から許したのか?

表向きは「私が悪かったです」と謝りはしましたが、まだ心の中ではイライラが残っていました。すんなりと心から分かりあえるほど人間が出来ていないのです。つまり、お客様が苦しい胸の内を話してきても、嬉しいと言う気持ちではないのです。ただ一つ言えるのは嬉しいという感情ではなくホッとした気持ちにはなりました。

ほっとした気持ちに救いを感じた私はさらに考えました。

出典私のイラスト

嬉しいの一歩手前のホッとした気持ちでした。

みんなお互い様です。人ってそういうものなんだと思います。自分だけが苦しいのではなく、相手も苦しんでいたのです。今回のお客様も、ついつい感情的になってしまった自分を責めていたのでした。私はそこに救いを感じたのです。

接客の仕事をしていて思うことは、なかなかこちらの言葉が伝わらない時や、今回の様に話しがこじれる前に切り上げることが出来なかった時、自分に腹が立ってくるのです。どうして余計なトラブルを起こすのだと。

さらに、自分の未熟さが招いた苦しみとはいっても相手を責めたくもなるのです。「どうして私だけがこんな目に?」とストレスも感じるのです。そのストレスはとても大きなものです。人の感情は一筋縄ではいかないのです。

ですから、どこかに救いを求めなければ心が壊れるのです。

心が壊れたら、人に優しくなんて出来ないのです。そもそも、自分自身も許せなくなるのですから。だから、みんなお互い様。人ってそういうものです。そこに救いを求めたいのです。外の世界に救いなんて求めても現実からは逃げられるものではありません。だから今いる世界で救いを求めたいと思うのです。みんなお互い様ですから。

最後までお読み頂き有難うございます。ブログもしています。

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