2020年東京オリンピックまであと4年。
各地で環境整備が急速に進められると同時に出てきたこの問題。

”温泉施設はタトゥーの入った外国人観光客に対しどうすべきか”

日本の多くの温泉施設、または共同入浴施設では
”刺青・タトゥーお断り”
の看板が置かれている。

それは日本独自の刺青に対する文化と歴史的背景があっての事。

刺青を激しく嫌い、否定する人の意見の中で多くみられるのが
”刺青の起源は元々罪人に対し施した物で、罪を犯した事実を晒すため”
というコメント。

しかし、実はこの情報は100%正解ではない。
と言うのも、犯罪者に対して墨を入れる”刺青刑”が行われていたのは徳川期、江戸時代中期である。
そしてこれは日本国内の刺青の起源ではない。

刺青の起源は古く縄文・弥生期まで遡る。
当時の日本は、世界でも有数の刺青文化を有していたと考えられており、縄文時代の土偶には刺青を思わせる紋様が描かれているほか、魏志偉人伝によると邪馬台国の男は皆刺青をしていたという。

刺青の起源や世界的に見た文化的背景は様々。

そして日本の”刺青・タトゥーお断り”の看板を見て思うのが、
何が基本的に問題なのか、という点。
最近宿泊した日本国内のいくつかのビジネスホテルでも
”刺青・タトゥーお断り。小さなファッションタトゥー、タトゥーシールも禁止”
という看板が。

それであれば、1980年代以降から沢山の女性が施している”アートメイク”
眉毛やアイライン、リップラインなどに施すこのアートメイクも厳密にいえば刺青。
しかしアートメイクは入浴OK。
即席のタトゥーシールはダメなのに???

今から15年ほど前、滞在した温泉旅館で見かけた”刺青・タトゥーお断り”の看板。
記者は女将さんに何気なく聞いてみました。なぜ刺青がダメなのか
女将さんの答えは、
”昔刺青に使用する針の使い回しが原因でB型肝炎が流行った(という噂?)事がある。元々は感染防止の為に刺青関係の人は共同浴場の利用を禁止した、と聞いた事がある”

しかし、もしそれが本当の理由なのであれば上記にあるアートメイクも禁止対象になるのではないだろうか、そしてステッカータトゥーは対象から排除すべきでは?

日本国内において刺青・タトゥーを容認するしないは個人の主観に任せるとして、
2020年に行われる予定の東京オリンピック開催に向け、
多くのメディアで取りだたされている問題、それは外国人観光客やオリンピック関係者に対してのタトゥー問題。

2015年には2000万人弱の外国人観光客が日本を訪れ、
その外国人観光客たちが日本で消費したお金の合計はなんと3兆4771億。
この数字を見てわかるように日本経済は観光客の消費するお金によって多少なりとも助けられている。
また2020年オリンピック開催の年にはこの数字をはるかに上回る人たちが来ることが見込まれている。

だからと言って今までかたくなにタトゥー関係(ステッカー含む)を拒み続けてきた共同入浴施設に今までの規律を変えさせるべきのか?と言ったらそうは思わない。
郷に入れば郷に従え、の言葉があるように、無理なものは無理なのだ。

今回この記事を書くにあたり数え切れないほどの”外国人観光客のタトゥーを容認する否か”関連アンケート、また記事等を調べてみた。
そこで気づいた一つの事、それはこの議論に参加している一般コメンテーターの殆どが善か悪かで考えてしまっているという事。
その思想に至る原因の主は日本が単一国家だという背景がある。

一種族単一国家の日本は昔から”日本生まれの日本人”のみで繁栄し、言語は日本語、そして日本独自の文化でここまでやってきた。

開国後、また更に終戦後多くの外国人が日本に移り住んで来たものの、
今も人口の殆どが”日本生まれの日本人”である。
複数の宗教もなく、複数の人種もない。
そして和を重んじ協調性を重要視する民族でも有名。
それは、裏を返せば自分たちと違うものを悪とする風習とも言える。

今回のタトゥー容認か否か議論でも、容認するしないよりも以前にタトゥーを入れている人間を蔑み軽蔑視した発言が数多く見られた。
個人的な意見としては、日本国内でタトゥーを容認する必要はないと思う。
でもそれと同じく他国の風習、そして他人を貶す権利は誰にもないと言う事を知るべきではないだろうか。


海外の刺青事情

今後多くの国から訪日観光客が訪れることを考え、
世界の刺青事情をご紹介しておこうと思う。

米国では全国民の3割、29%に上るアメリカ人にタトゥーが入っており
20代後半の42%、30代の55%という高い割合でタトゥーを入れている。
道端で出会う人の2-3人に1人がタトゥーを入れているという事だ。
実際に、医者、弁護士、教師、サラリーマン、警察官、そして80代のお年寄りにも普通にタトゥーが入っていたりする。

イギリスでもタトゥー人口は20代から40代までの若者層に特に多い。
インターネットなどの情報では下流階級の人間が入れている、など書かれているが
実際現地に行ってみるとアメリカほどではないにしろ階級問わずに入っていたりする。

オーストラリアや南西諸島もタトゥー人口は高い。
特に南西諸島の小島などではファッションと言うよりも民族的な風習でタトゥーが入っている事がある。


このコラムで伝えたかった事は、タトゥーを容認しろという事ではない。

日本の歴史的背景や風習を守る気持ちを保ちつつ、他国の文化も認めるのが大事なのではないか、と言う事だ。
刺青が嫌いだから、という理由で一度も話したことがない相手を全否定し蔑む態度をとるのは、はたして正しい事なのだろうか?

”私は苦手だけどあなたが好きならそれでいいんじゃない?”
と思える事は相手に対してのリスペクトでもあるのではないだろうか。

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