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エベレスト史上最悪の遭難事故を再現した映画『エベレスト3D』

1996年5月10日。世界最高峰エベレストのピークハントを目指し結集した登山家たちは、アタック途中突然の嵐に見舞われた。気温は-40℃。風速は50mを超える中、即席の救助隊が結成されるも事態は悪化の一途をたどる。後にエベレスト史上最悪の被害をもたらしたこの遭難は実に8名の犠牲をもたらし、前後すると12名の尊い命が奪われた。

この大量遭難事故を題材にした映画『エベレスト3D』は昨年11月に日本でも封切られ、実話に基づいたドラマと、何よりも描かれたエベレストの美しさと恐ろしさや凄まじさ、そして商業登山がはらむ危険性は多くの視聴者に多くの警鐘をもたらした。

ところが一つ、稀有な生還劇が衆目を浴びる。登山ガイド社アドベンチャー・コンサルタンツの顧客として登山隊に参加したアメリカ人の病理学医、ベック・ウェザースが二昼夜の低体温状態から意識を回復し第1キャンプに自力で生還を果たしたのだった。その時彼を含めた多くの登山家の生命維持に尽力をつくした医師ケン・カムラーがコンファレンスの中でこのベック・ウェザースの奇跡の生還劇を成した原因について、非常に興味深い話を展開した。

まずはドクターケン・カムラーのコンファレンスをご覧いただきたい。

遭難に陥った時、ベックの前頭葉は明るく輝き、対処について思いを巡らす。その後ベックは極寒の中エネルギーを使い果たし、死にかけるに従っての脳は輝きを失い、真っ暗な仮死状態に陥る。だが実はその休眠中はベックに再生に向けたエネルギーの充電のいとまをもたらしたのだ。

その休眠中に溜め込んだエネルギーを使用しベックはまず、家族について考え始める。それが彼を起き上がらせる更なるパワー誕生の動力源となって、戦略を練るための部位へ発生したエネルギーを供給するのだ。次には脳の中間部が 明るく輝くを放ち始める。ベックは考えることで、この辺りに一旦集めたエネルギーを脳全体に広めていく。彼の意志が集中し、その力がどんどんと強さを増し、次第に彼の肉体再稼働に必要なエネルギーの原動力の、供給源となった。

そしてとうとう、一日一晩ともう一日、昏倒の中で再生したエネルギーを利用しベックは、自らの肉体を起き上がらせる。このエネルギーは脳の前頭部に送られたとドクターケン・カムラーは話す。ベックはこのエネルギーを利用し、動き出すために何をすべきか考え、考えることでそのエネルギーは、脳の思考部分に広まっていくそうだ。そしてさらに気力を振り絞る結果、これが後頭部に届き、ついにはベックの心臓と肺の動きを加速させ、筋肉を再稼働させることに成功したのだ。

このコンファレンスは、実にさまざまな示唆に富んでいる。広大な遺伝的領域である身体~無意識領域に比べ、言語野が司る意識領域は、余りに小さい。だが、何と言っても、ヒトという種にとって、命の原動力となり得るものは何処に宿っているのか?極限の状況下で試されたベックの命の灯は、それが家族との絆でありパートナーへの愛着であったからこそ、命を再び家族の元へと紡いだ原動力になったのだ。

物の溢れる飽食の都に住む我々はもう一度、そのこと~家族の絆やパートナーとの愛について、再考する必要があるだろう。その絆を育み強固にすること。それを成したベックの、「死にたくない 家族が待ってる」という動機こそが、極限状況で彼の命をつなぎとめたのだから。

このコンファレンスを観て、人間であること。人間にとって必要なこと。それらがもたらす最大の収穫は、改めてどこにあるのか考えさせられた。そして、その最大の収穫を享受するために、あるいは直面した生命の危機を乗り越えるために、人間として生存する上でエネルギーを供給する源である家族やパートナーとの絆。さらにそのパートナーシップを大切にはぐくみ、絆を強化する必要性と重要性について刮目するキッカケになったことに、感謝したい。

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