街頭や学校、職場などで協力を呼びかけている「献血」。絶え間なく協力を呼びかけているイメージがあるが、輸血用の血液は実際、どのくらい足りていないのだろうか。献血の現状と課題を、日本赤十字社血液事業部に聞いた。

不足したら地域間で調整

同社に現状を聞くと、意外にも、これまでに輸血用血液が足りなくなったことはないという。「冬季などは風邪などで体調を崩す方が多く、献血にご協力いただく方を確保することが難しいということはございます。しかし全国で輸血用血液製剤を融通する態勢が確立していることから、実際に、医療機関への輸血用血液製剤の安定供給に支障が生じたということはございません」

 同社は採血された血液を「血液センター」に運んで血液製剤をつくり、血液製剤は各地域の血液センターで保管される。全国を北海道、東北、関東甲信越、東海北陸、近畿、中四国、九州の7つのブロックに分け、ブロック内の地域血液センターで血液製剤が不足するおそれがある場合は、ブロック内の他の地域センターから融通。ブロック内での調整ができない場合は、ブロック間で血液製剤を融通するなど、血液製剤が不足することのないよう、全国的に融通できる態勢を確立しているとのことだ。

有効期限が最短「4日」しかない

では、なぜ日常的に協力を呼びかけているのか。その理由は、血液の有効期限が短いためだ。

献血からつくられる輸血用血液には種類があり、出血防止に必要な血中の要素を取り出した「血漿(けっしょう)製剤」は採血後1年間もつが、外科手術の出血時などに用いられる「赤血球製剤」は採血後21日間、止血機能をもつ「血小板製剤」は採血後4日間しか使うことができない。献血からつくられる血液製剤の有効期限が短いため、継続的に協力を呼びかけなければならないことになる。同社は「輸血用血液製剤を人工的につくることも長期にわたり保存することもできないため、将来にわたり輸血医療を支えていくためには、世代を超えた多くの方の献血へのご協力が必要」と話す。

少子高齢化で85万人分の血液が不足?

また、同社が懸念しているのは今後ますます進む少子高齢化だ。

東京都福祉保健局の調査によると、輸血用血液製剤の約85%が50歳以上の人に使われている一方、献血をしている人の約73%は50歳未満。同社は「社会の高齢化の進行により、血液製剤の多くを使用する高齢者が増加し、血液製剤の使用量の増加が見込まれる一方、社会の少子化の進行で若年層の献血者が減少し続けた場合、将来的に輸血用血液製剤の需要と供給のバランスが損なわれてしまう懸念があります」と危惧する。

現在は輸血用血液が不足したことはないというが、同社が2014年に発表したシミュレーションでは、少子高齢化の進行によって2027年には延べ約85万人分の血液が不足すると推計している。同社は「この現状をご理解いただき、献血未経験の方は初めての献血へのご協力を、献血経験のある方は1年に2回以上の「複数回献血」へのご協力をお願いいたします」と呼びかけた。

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