中国のパネリストは外交部のスポークスマンでもあった秦剛で、彼は中国のアフリカ進出がいかに途上国の発展に寄与するものであったか、中国も勿論潤ったがアフリカの多くの国々では貧困と騒乱が長年続き、疲弊していた、資本主義国のどの国も、誰も投資も金融もアフリカに向けて行うものはなく、中国としても大きなリスクを承知で・・・と論評していたのですが、

長い演説の要点は二つで:「アフリカ最大の問題点は各国いずれも自力では発展できない、中国の投資と金融、インフラの構築があって初めて国が動き自立できた」「中国がアフリカで成功した理由は、我々が決して外国の(人権問題)などに介入しなかったから」というもので、中国の内政不干渉政策を改めて主張したものでしたが、それに対して、その国の国民をないがしろにしている強欲な独裁者に対しても不干渉というのは人道主義の片鱗もない実利主義で、中国の功利主義、秦剛の演説はその事実を糊塗するものと、厳しい反論もあったようです。

世界中の非難を浴びている独裁国家ばかりを狙って進出しているかに見える中国のやり方は、中国の本質を改めて思い知らされる、と西側からの批判は辛辣でした。

最後に手を挙げたポルトガル人のアナ・マリア・ゴメスのスピーチはその核心を突くものだった、と紹介されています。「途上国に於ける開発というものは、グッド・ガバナンス、人権尊重、法の支配なくしては実現できません。強欲な現地エリートの権力者と利権でもたれあい、独裁を維持、長続きさせている中国の責任は大きい」といい「被援助国の一部エリートだけが一層豊かになり国民は益々困窮している・・・」と続けていました。秦剛は反論しなかったようですが、(それが資本主義というものだろう)と嘯いていたかも知れません。一方が豊かになれば他方は貧窮する・・・(アメリカでも日本でも、ヨーロッパでも、そうではないと誰に言えるか)と無言の反論をしていたかも知れません。

会議の終盤に立った中国側の講演者は年配の紳士で終始穏和な表情を浮かべて中国の善意と真摯な対応を簡潔にのべ、その結論に:「今日の中国は欧米社会に代わる別の、新しい選択肢を提供していると言えます。もしかすると西側のものより我々の方がすぐれているかも知れないのです」

長いアメリカ駐在経験もある李国富という外交官でした。かねてより、アメリカ民主主義の批判者で、アメリカ国内でも他国より、よい政治が行われているとは言えない、と批判しているのです。「どの州のどの街のどのマクドナルドの店の周辺にもホームレスが物乞いし、たむろしている姿がみられます。これがよい治世と言えるでしょうか。人民は自由で抑圧されてはいないかも知れませんが、”尊厳”を失っているのです」と演説を締めくくっていたのです。

アメリカの大手世論調査機関、ビュー・リサーチ・センターが昨年、「世界で求心力を増す中国」 と言うテーマで世界の主要40カ国でアンケート調査をしていますが、その設問の一つは〔遠からず中国はアメリカを追い越す〕というもので、その正否を問うものでした。追い越すという意味合いは、経済、軍事、国際的影響力などで、総合的国力と解釈できるものとおもわれます。結果は日本人には驚くべきものでした。

(中国がアメリカを追い越す)
Yes:フランス 66%、スペイン 60%、イギリス 59%、ドイツ 59%、
イタリア、イスラエル、オーストラリア 56%、中国 67%、韓国 59%
 
YES,と答えた国はヨーロッパ主要10カ国全てで、それもフランスの66%がYESで、大差で中国の求心力の増大を認め、アメリカの衰退を予測しているのです。
          
NOの比率が高いのは調査40カ国中アメリカと日本のほかでは、ベトナム、インドネシア、フイリッピン、ブラジル、ウガンダに過ぎず、インド、マレーシアなどは(その他の多くも)Yes・No の比率が37・33(無回答30)といった僅差だったのです。

この調査でNOと答えた国々は、日本を含めて中国に何らかの軋轢と偏見があり、中国の世界の中での急激な躍進を好感していないということでしょう。偏見が事実を直視する妨げになっているともいえるようです。日本人の思いとは裏腹に、世界の大勢は中国が経済でも政治的影響力でも日本をとうに凌駕していて、アメリカさえも越えて行く勢いがあると見ている、ということです。

昨年暮れに中国が呼びかけたAIIB(アジア・インフラ投資銀行)設立に世界の57カ国が参加を表明していて、先月その代表者が中国の北京に集まり、契約書類に署名をした事実が上の調査結果に符合し裏付けられているかに思われます。日本も同調はしないまでも、事実は受け止め、中国を(その力を)正当に評価する必要はありそうです。

世界はどう見てる、中国、アメリカを越えるか?(2)

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まじ 東風 このユーザーの他の記事を見る

八ヶ岳南麓に隠棲。世事にまだ興味深々。

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