秋風は16歳の少女だ。

10月末、17歳の天才少年エスによって交際相手湯川17歳と結婚式をあげた。

結婚式が終わると湯川はとても幸せそうだった。

「エスありがと~!」とエスに抱きついている。

秋風はその様子を15センチ下から見上げて見ていた。

エスが秋風を見下ろしてニヤリと笑った。

秋風は目をキョロキョロとした。

ギターの佐々木はファンに囲まれて幸せそうだった。

佐々木はますます街の期待を裏切れなくなった。

秀才でも有名な佐々木17歳。

ドラムの白川はいたがなぜか?拒食症の少女はいなくなっ
ていた。

秋風は後でどうなったのか?聞こうと思っていた。

結婚式は学園祭で行われた。屋上からこれからの日本について

叫んでいる少年がいた。手を広げてこれからの日本の有り方につぃて叫んでいる。

学ランを着ている。

このまま切腹したら三島由紀夫だと秋風は思った。

最後にその少年は

「これを拾った女の子は白馬の王子と結婚できます。

今日は湯川くんと秋風の結婚式でした!おめでとう~」と言いブーケを投げて屋上を去った。

秋風が湯川から貰ったブーケが屋上から落ちた。

エスがその様子を腕を組んで嬉しそうに見ている。

秋風はブーケは最後投げる物だと知らなかった。

せっかく自分が貰ったのになと秋風は思った。

いつもの様に京浜東北線に乗り、夜9時頃、湯川はいつものように家に帰った。

秋風はエスとふたりきりになった。

結婚式はあげたがそこにはいつもと変わらない日常があった。

紙バックの中に結婚式のベールおそらくエスが用意してくれた物なので

秋風は大事に持っていた。

「エス?これありがと~!ブーケも本当はわたしのだけど」秋風は言った。

「結婚したら投げるんだよ!」エスが秋風に教えた。

「しかし馬子(まご)にも衣装っていうけどさ!秋風もウェディングドレスとか着たら

それはもうかわいんだろうな~!」そう言ってエスは笑った。

「孫って!馬の子だって知ってる?」秋風は言った。

「しかも馬子って身分の低い馬使いで仔馬じゃないって知ってる?」

秋風はそのことを父親から聞いたばかりだったのだ。

「つまり!大した人間でもないけど外見を着飾ればどうにかこうにか?

見られるって意味!」秋風はエスに言った。

ふたりが話し出すと大概のサラリーマンは耳を傾けた。


「違うよ!秋風?

Fine feathers make fine birds.て意味!」英語だけは得意なエスが言った。

エスは秋風に数学は絶対に教えなかった。秋風は自分と同じ位

エスは数学ができないんだろうなと思った。

「秋風の翼が萎れないうちに結婚式をあげないとね!って意味」

とエスは答えた。

「女は老いるのがはやいんだよ!特に秋風には翼があるから

はやく嫁に行かないと売れ残るよ」エスは言った。

秋風は話を聞いてる周りのサラリーマンを気にした。


「秋風ももう16歳だ!そろそろ生娘ではダメだよ」とエスがいうと

電車のサラリーマンはふたりを交互に見たので秋風は黙った。


エスには見える翼が秋風からは見えなかったが

翼がすぐ萎えるのはなんとなくわかっていた。

秋風はなぜか?エスの住む工場街で下車していた。

エスもそれを不思議に思わなかった。

「やばい!なんでここで降りたんだろ?!」駅を出た自転車置き場の下で

秋風は気づいた。


結婚式だから白いYシャツなのか?いつもよりスマートにエスがみえるなと

秋風は思った。エスは白いYシャツの上に学ランを着ていた。

「今日はエスの家にはいかないよ」秋風は自転車置き場の壁に立ち止まった。

「だってわたしエスと結婚したわけじゃないもん」

秋風は結婚式をあげたのに家に帰った湯川に腹が立った。

「こっちにおいで」エスが暗闇の中で秋風を抱きしめた。

秋風はエスの体に手を回した。

「ここが家でいいや!ただいま!エス」秋風は言った。

薄っすらと泣いていた。

「結婚したんだから今日から僕の家で暮らせば?」とエスは言った。

「女子大生が次から次にくるからめんどくさい!

家を出るのもめんどくさいし、先生にいうのも

めんどくさい!」と秋風は答えた。

それに結婚式をあげたのは湯川と秋風なのだ。

「このままだらだらだらだら学校へ通うつもり?」とエスは言った。

「普通結婚式をしたらそのままハネムーンで

それから一緒に暮らすんだよね?」秋風はエスの胸の中で聞いた。

秋風はエスがありがたいのか?ありがたくないのか?

分からなくなった。

エスは愛しい人を抱きしめるように両手に力を入れた。

「おまわりさんが僕たちを見てるから!どこまでやったら注意されるか?

挑戦しよう」とエスは言った。

エスは補導されるまで自分の顔を嘗め回すつもりだと秋風は思ったが

おまわりさんはなかなか補導してくれない。


「おまわりさんどうなった?」と秋風はエスに聞いた。

「おまわりさんは興奮して逮捕どころじゃない」とエスは笑った。

おまわりさんは永遠に補導しない・・・。

そこにはおまわりさんはいなかったのだ。

秋風の顔はエスの唾液だらけになって肌荒れしていた。

もうすぐ11月、17歳の天才少年エスもそろそろ受験の準備か!秋風は思った。

学年5位の石原が学園祭が終わったら僕は勉強しかしない!と言ったからだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
その7年後、秋風は入籍して結婚式をあげた。

ブーケをやはり投げなかった。

「秋風?!ブーケは投げる物なの」夫になる男の友達がそう言ってブーケを秋風の代わり

に投げた。

投げた男は夫の恋敵だった。

花嫁のブーケをわざわざ奪ってわざわざ投げる男は恋に敗れた男なのかも知れないと秋風は思った。

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