そのような浅からぬ関係にある両者が、今回の伊丹の映画企画潰しにも同様に画策したのではないかと考えていたようでした。外国メディアへの寄稿文には、自分で隠密取材した後藤組の組員のひとりにオフレコを条件に(思っていることを)喋らせているそうです。するとその組員は「5人組は伊丹の部屋に押し入って、拳銃で脅し、ウイスキーを浴びるほど飲ませて、屋上へ連行して投身させた」と語ったということです。証拠は何ひとつありませんが。

エーデルスタインはその後、後藤組とは別件でトラブルとなり、コロンビア マフィアさながらの脅迫、手を引かなければ妻子から危害を加えると脅され、その真実味に怯えて読売新聞社を退社、帰国してしまったのです。その別件トラブルとは、後藤組組長の後藤忠政が深刻な肝臓がんに罹り、肝臓移植のためアメリカに渡航、西海岸の大学病院UCLAで肝臓移植を受けた、という事実を掴み暴露してしまったのです。それはアメリカ側のFBIも絡んだもので複雑なトラブルになったそうです。ヤクザは絶対に入国できないアメリカへFBIの仲介で入国した事実があり、FBIの弁明は〔日本の暴力団の内容解明と彼らの資金ルート情報の提供〕を条件に入国と臓器移植の医療許可を与えた、というものだったそうです。

いずれの話も日本語の公式記事はなく真偽のほどは判りません、また、エーデルスタイン本人も身の危険を感じてか、証言を拒否しているということで、伊丹十三(自殺説)を覆すまでには至っていないということです。

伊丹十三は「ミンボーの女」で後藤組の怒りを買い顔や手足に酷い怪我を負いながら「私はくじけない、映画で自由を貫く」とテレビの取材に向かって言っていました。実際その通りで、死の直前まで次の映画を企画制作に意欲的だったのです。ヤクザと新興宗教をテーマに、かなり面白そうなシナリオを考えていたようなのです。そんな人が唐突に自殺することなど(普通に考えて)あり得ないのです。

伊丹十三とは芸名で、名付け親は永田雅一元大映社長、当初命名された名前は(一三)でしたが、後年、宮本信子と出会って結婚する時、これからはプラス指向で、と芸名を一から十(プラス)に替えたということです。彼はその通りの人で、常にプラス指向で、制作映画も深刻なテーマであっても笑いのある明るいものだったのです。自殺するとは考え難いことなのです。

(付記)その後、後藤組は山口組により(内部抗争で)その傘下から破門となり、後に解散、組長は得度して仏門に入ったとのことです。

マルサの女・伊丹十三の自死(2)

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まじ 東風 このユーザーの他の記事を見る

八ヶ岳南麓に隠棲。世事にまだ興味深々。

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