ナイジェリアのイガラ族の仲間で山岳に住む少数部族は今でも主食にヤム芋を食べているそうですが、彼らの誰もが筋骨たくましくマラソンランナーの健脚をもっているそうです。ケニアから毎年大学駅伝などの選手候補の留学生を受け入れている学校は案外多いのですが、近隣国にも候補者はいるだろうとこの部族のところまでやってきた、スカウトマンの話です。カモシカのようなしなやかな走りをする青年の一団に出会って、魅了され(一体どんなものを食べているの)と訊くと (ヤム芋)と答えたそうです。(他には)と問うと (ヤム芋)と全員で唱和するように答えたそうです。

これは人間もコアラみたいに一種類の植物だけ食べて充分生きていけるという証しかもしれません。現代人の栄養の常識を破り、生物の食物連鎖という固定観念にまでひびを入れるものです。生き物には誰が定めたのか、決まった食べ物というものがありますが、改めて考えると、それらは思い込みによるものかもしれません。食べている本人も当然のように、これが自分の食物とインプットされています。草食と肉食動物の違いは腸の長さと採食のための運動機能の違いに過ぎませんが、それを克服して草を食べるライオンはいないようです。生まれながらに肉食に定められて、草原の草を食せないのは生存上不利なことですが、地上世界をグランドデザインした神か、なんらかの"意志”が草食動物の過剰繁殖を抑制するために肉食動物を配置したらしいので、食物適性はあらゆる生き物に変更不可と定められているのでしょう。

そんな中で、何を食べて生きるか選択出来るのは人間と一部の高等動物だけのようです。他の多くの生き物は定められた食性にしばっれているようです。コアラにしても、その食性は少々異色です。小型とはいえ哺乳動物でありながら、ユーカリという毒性のある極めて栄養に乏しい木の葉だけ食べて生きています。見ようによってはおかしなことです。みみずだって土しか食べていないようで、土の中の豊富な微生物のタンパクと土中のミネラルをたっぷり摂取しているようですから、不審なところはありません。ところが、コアラの食性はユーカリの葉単食で、どう見ても栄養不足に思えるのですが、実際には、丸々と肥って健康に生きています。自然界の法則にも例外規定があるようです。

人間の病気も健康も、考えると、理屈にあわないことが少なくありません。健康オタクで、酒も煙草もやらず、ジムで体を鍛え、定期的に人間ドッグ検診をしていて、ある日突然ガンを宣告され、若死にする人がいます。怠惰に美食三昧に過ごし、親不孝も重ねながら長寿を全うする人も少なくありません。栄養も健康も病気も寿命も、死すらも、整合性らしきものはあったり、なかったり・・・生きざまが立派であろうと、なかろうと、塞翁が馬、色即是空のようです。

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まじ 東風 このユーザーの他の記事を見る

八ヶ岳南麓に隠棲。世事にまだ興味深々。

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