中国の(AIIB)本当は何のため?

アジア・インフラ投資銀行(AIIB)の設立目的は、アジアの途上国支援、いまだにインフラ(道路、水道、港湾、発電・送電、鉄道敷設など)未整備の国々は多く、中国はその手助けをしたいと、この銀行設立を思いついたというのですが、他利主義は中国らしくないので日本は疑って不参加でした。

案の定、今ではあからさまになっているのですが、中国がこの銀行を作った本当の理由は、昨年来急速に落ち込んだ景気、中国製品にたいする需要の減少、世界の工場といわれた中国の商品生産力が需要を失って軒並み生産設備過剰と在庫の山に苦しめられ、今や多くの企業が瀕死の状態、その苦境脱出対策に立案されたのがAIIBだったのです。

それはまた建設業界の救世主にもなります。中国国内の建設不況は一層深刻で、日本の大手重機メーカー(コマツ)が、中国における建設重機類の稼働率を(各重機に盗難防止用無線機がついていて稼働状態が判る)係数化してその深刻さを伝えているのです。

現在の大型工事は四年後完成の新北京空港のみで、オフイスビル、住居ビルなども、ひと頃オーバーヒートした投機のせいで、地方都市にまで不要に林立して、空き家だらけといいます。新しいビル建設はほとんどないということです。

そんな中で知恵を絞って考えだしたのがAIIB構想だったのです。(他人のふんどしで)まだ相撲はとれる、と考えたのでしょう。巧妙な外交力で世界の主要57か国の賛同を集めて新年早々に(AIIB設立総会と加盟国の)サイン会を開いています、早々にスタートをきったのです。

アジアの途上国を見渡せば(たしかに)インフラ未整備の国はいくらでもありそうです。資金を融資すればインフラ工事契約は容易に取れそうなのです。インドネシアの新幹線敷設計画(ジャカルタ・スラバヤ間)も全面的な融資を条件に日本のオファーを退けて受注しています。AIIBの融資によて、さらに多くのインフラ工事をアジアの国々から受注できるものと考えているのです。

中国は、日本人が思っている以上に世界の信用を勝ち得ています。AIIB設立にはイギリス、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、とヨーロッパ主要国を勢ぞろいさせ、いまは日本とアメリカの加入待ちと自信ありげなのです。アメリカも日本もいずれ参加するものと考えているようなのです。

アメリカは今年大統領選挙の年で、次期大統領がヒラリー・クリントンに決まれば、アメリカのAIIB参加はすんなりと決まり、大いに期待できると考えているようなのです。

ヒラリー・クリントンは経済重視の世界観をもっているので、アジアではどこよりも中国を重要視している(と中国は考えています)のでAIIBの重要性は理解していて、積極的に参加してくるものと考えているのです。

日本は所詮アメリカのしっぽで自主性はなく、アメリカ次第というわけです。しかし、日本のAIIB参加こそ最も望まれるもので、膨大な資金需要を満たすには日本の参加が(不可欠)とも思われ、また途上国向け融資は無担保の場合が多いいので、そのリスク負担を共にする必要もあるからです。
先進国の不況は余剰不況ともいえるもので、生産力が大幅に需要を越えている状態です。過剰設備と在庫の山が定期的に訪れるのが世界経済不況で、買い手がない状態・・。

しかし見渡せば、アジアはまだまだ需要の宝庫です。多くの途上国があり、未舗装道路、水道・電力不足、灌漑用水池、未耕農地、鉄道、港湾設備の不足・・資金さえあればインフラ整備の需要はいくらでもありそうです。

日本主導のADB(途上国向け融資銀行)は(中国が指摘する通り)融資条件が厳しく、また貸し付けに不熱心でもあり、中国のAIIBはその弱点をついたものになり得るのです。

中国のAIIB設立提案はいかにも唐突なものでしたが、視点を変えれば、その必要性を認めることも出来そうです。世界経済が下降局面で先進国が苦慮し、その余剰力をもてあますとき、途上国に向けるのは必然ともいえるのです。余剰が不足に向うのは自然の流れだからです。

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まじ 東風 このユーザーの他の記事を見る

八ヶ岳南麓に隠棲。世事にまだ興味深々。

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