先月末から今月にかけて、多種多様なジャンルの韓国映画が日本で公開される。コメディやハードボイルドだけでなく、切ないラブストーリーまで、魅力的な作品ばかり。
また、どの作品もソウル以外の都市をメインに撮影しているので、映画を観ながらちょっとした小旅行も楽しめそうだ。

■見る前に不安がよぎったクォン・サンウの謎解きは…

『探偵なふたり』

出典 http://tantei-movie.jp

(c)2015 CJ E&M Corporation, All RightsReserved. 

2016年2月20日(土) シネマート新宿、109シネマズ川崎ほか全国順次公開
(原題:『探偵:TheBeginning』 2015年/韓国/120分)

未解決殺人事件サイトを運営するカン・デマン(クォン・サンウ)は、警察署に顔を出しては“シャーロック・ホームズ”級の推理力を働かせる。“広域捜査隊の人食いザメ”と呼ばれ、一介の刑事に左遷されたノ刑事(ソン・ドンイル)はデマンが鬱陶しい。ある日、デマンの友人で刑事のジュンスが殺人事件の容疑者となる。デマンはノ刑事と捜査に乗り出すが、第2の事件が―。

出典 http://tantei-movie.jp

シリーズ化決定の本作は、クォン・サンウと名優ソン・ドンイルの掛け合いが絶妙で、サンウ本人もこのキャラクターをとても気に入ったとか。
正直、クォン・サンウがシャーロック・ホームズ並みの謎解きをすると聞いたときは驚いた。お世辞にも、知性的な役が似合うとは思えないからだ。ところが見事なまでの脚本と演出で、そうした懸念は完全に払拭され、物語は違和感なく展開していく。
途中からいきなり登場人物が増え、誰が誰だか分からなくなるので、第2の事件以降は注意が必要。コミカルなシーンに笑ってばかりはいられないのだ。
本作の多くのシーンは大田(テジョン)で撮影され、二人のキャラクターを見ていると続編が楽しみになる。


■ヤるかヤラれるか―。極端すぎる韓国の裏社会で

『コインロッカーの女』

出典 http://filmex.net

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2016年2月16日(火)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほかにて上映
(原題:『チャイナタウン』 2015年/韓国/111分)

駅のコインロッカー10番にヘソの緒がついたままの女児が捨てられていた。イリョン(10の意)と名付けられたその子は、仁川のチャイナタウンを支配し、裏稼業を仕切る“母さん”(キム・ヘス)に育てられる。成長したイリョン(キム・ゴウン)は闇貸金業の一員となっていた。彼女は、父親の借金を背負うソッキョン(パク・ボゴム)の元に取り立てにいくが、彼に惹かれる。だが母さんから彼の殺害を命じられ―。

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原題は『チャイナタウン』。韓国の仁川(インチョン)に実在するチャイナタウンが舞台となっている。
多くの中華料理店が軒を連ねる中華街ではジャージャー麺が人気で、本作にもジャージャー麺を食べるシーンが登場する。ありふれた食事シーンのように見えるが、一緒に食事する者同士こそ“家族”というメッセージが伝わってくる。裏社会のボスである“母さん”と、血のつながりのない“家族”は一体どんな結末を迎えるのだろうか。
注目すべきはイリョン役のキム・ゴウン。美人女優ではないけれど、“韓国の安藤サクラ”と呼ばれ、その演技力が高く評価されている。また、ソッキョン役のパク・ボゴムも大ブレイク中で、旬な俳優といっていい。


■亡きネコが教えてくれた「後悔先に立たず」の恋愛の法則

『ネコのお葬式』

出典 http://catfuneral-movie.com

Indieplug All Rights Reserved.

2016年2月13日、シネマート新宿、他全国順次公開
(2014年/韓国/107分)

友人の結婚式で出逢ったドンフン(カンイン)とジェヒ(パク・セヨン)。互いに一目ぼれした二人はすぐに同棲生活を始め、外で鳴いていた子猫“クルム”を飼い始める。
ドンフンはシンガーソングライターを、ジェヒは漫画家を目指し、ともに未来の成功を夢見ていたが、ある小さな出来事から次第に心がすれ違っていく。やがて別れを決め、ジェヒは家を出るのだった。
一年後。クルムの“お葬式”で、二人は再び顔を合わせることに。クルムの骨を埋葬するため、想い出の島に向かうが―。

出典 http://catfuneral-movie.com

“結婚式”で出逢った二人がやがて別れ、飼い猫の“葬式”で再会するという物語。些細なことで気持ちがすれ違い、別れてしまったのは若さゆえ。ドンフンは亡きネコに「また出会えたら次は大事にする」と伝えるが、それは別れた恋人への想いでもあり、とても切ない。
気まずい二人が船で渡るのは徳積島。ソウルからも近く、仁川からフェリーが出ている。
残念だったのは後半のシーン。愛らしかった子猫の姿が遺骨となってしまい、ドンフンとジェヒの揺れ動く心がメインとなっている。子猫は愛くるしく、ヒロインのパク・セヨンもまた魅力的。主演のカンイン(SUPER JUNIOR)だけが、体型以外で存在感を発揮することができなかった。


■ドロドロの愛憎劇と思ったら大間違い!

『アトリエの春、昼下がりの裸婦』

出典 http://klockworx.com

©2014 STUDIO HOOK, All Rights Reserved.

2016年1月30日(土)よりシネマート新宿、シネマート心斎橋にてロードショー
(原題:『春』2014年/韓国/102分)

ベトナム戦争が暗い影を落としていた1969年。全身麻痺の難病に苦しむ彫刻家ジュング(パク・ヨンウ)は田舎町で療養していた。創作意欲や生きる希望を失った夫を見かねた妻は、町娘のミンギョンにモデルを依頼。ヌードを拒むミンギョンだったが、生活苦から抜け出すため引き受けることに。
美しい湖畔のアトリエでジュングは創作を再開するが、やがて二人は彫刻家とモデルという関係を超え、儚い“人生の春”を迎える―。

出典 http://klockworx.com

モデルを引き受けるミンギョン役のイ・ユヨンがフルヌードになり、文字通りヘアまで見せている。上の毛も、下の毛も。ここで彫刻家とモデルの濃厚なラブシーンや、妻とのドロドロの三角関係を連想してしまい、自分の想像力の乏しさを痛感させられた。
資料にある「珠玉の文芸エロス」は煽りすぎで、今年の芸能界や政界を賑わせている“不倫”や“三角関係”からは程遠い。本作で描かれているのはピュアで美しい愛情物語だった。
そして何よりも素晴らしいのが映像美。釜山に近い浦項(ポハン)の湖畔が舞台になっているが、この景色の美しさはスクリーンで見たいもの。
結末はあまりに切なく、賛否両論あったというのは凡人の私にも頷ける。

個人的には4本の中で、『コインロッカーの女』と『アトリエの春、昼下がりの裸婦』が対照的で、とても印象に残った。

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