「ヒガンバナ~警視庁捜査七課~」「怪盗山猫」
「臨床犯罪学者 火村英生の推理」「ナオミとカナコ」
など、今クールもいろいろなミステリー、犯罪、人間心理を扱うドラマがありますね。

これらのドラマに限った話ではなく、「名探偵コナン」、その他の推理小説でもそうなんですが……

よくあるオチが

「裏切られたと思って殺したら、実はそうじゃなかった」

「浮気された、捨てられたと思って旦那を殺したら、実は愛されてた」

など、誤解による犯罪。

他人事だと思って楽しんでいませんか?
身近に……いいえ、あなた自身にも、気づいていないうちに誤解や思い込みをしていることがたくさんあるはずです。


ベッキーとゲスの極み乙女。ボーカル川谷さんの件でよく見る「奥さんが可哀想」という意見についても考えていきたいと思います。

想像を美化し、既知を責める傾向がある

SNSで知り合った人と実際会ってみたら、想像していた美形とは程遠かった。
電話応対したときは綺麗な若い女性を想像したが、直接会ったら声の高いおばさんだった。
そのような経験をしたことはありませんか?
想像とは、往々にして美化されるものです。

ゲスの極み乙女。川谷の奥さんは、いくら浮気されて腹が立ったといっても、夫の醜態(元カノに好きだったと言われてどうしたらいいかわからないと泣いていたとか)などをぺらぺら週刊誌に話しています。芸能人の妻としてはあり得ない行為。
それでも、やはり世間は見えない奥さんに対して同情します。
そして、テレビでよく見るベッキーを叩くのです。
そういう点で、17年以上芸歴があるベッキーに比べて知名度の低い川谷さんへの攻撃は少ない。

人は、よく知っているものへの嫌悪感のほうが大きくなるものなんです。

想像してみてください。芸能人と一般人の立場が逆だったら。
もし、ベッキーが奥さんの立場で、川谷の不倫相手が一般人だったとしたら。
それでもやっぱり非難されるのはベッキーで、不倫相手は擁護されるでしょう。

「LINE流出はベッキーの仕業? わざわざクローンiPhoneでチェック? プライバシー侵害! これは刑事事件!」
「絵音がその日長崎にいたのを知るのはベッキーだけ。リークしたのは……」
「泣きじゃくりながら週刊誌に夫の浮気ぶりを洗いざらい暴露」
「浮気された復讐に、絵音の好感度を地に落とそうと必死」
「そんなふうに、普段から怒ると何をするか分からない人格だったから、浮気云々以前に絵音に愛想を尽かされていたのでは」
「ベッキーだけがぞっこん、絵音はすぐ冷めていたのでは」
「相手の心を引き止めておけなかったほうにも問題がある」
「結婚を隠したがったり、ずっと好きだったと元カノに言われ混乱して泣いて電話をかけてくる時点で、この男おかしいと気づけなかったのか」
「不倫相手、絵音を守るため『友達』と主張」
「絵音はもうベッキーと別れて不倫相手と結婚したほうがいい」

立場が逆ならこうなっていたと思いませんか?
それを誰がやったかで、まったく違う世論になり得る。
平等ではありません。

伝え聞いた情報が正しいとは限らない

週刊誌やテレビの情報、人から伝え聞いた情報は、もちろん正しいこともあります。

しかし、間違っていることもあれば、事実を巧妙に捻じ曲げていることもあります。

ベッキーに「人目につかないホテルを教えた」ことは認めている田村さん。
しかし、今回の件とは明らかに無関係の話ですよね。

わかっていて、わざと誤解されるような使い方をしたのか、本当に誤解したのかはわかりませんが、まことしやかに書かれていても嘘や間違いが含まれている可能性はおおいにあるのです。

週刊誌に羽生結弦さんの交際報道が掲載されたときもありました。
羽生さん本人は
「本当に何もない。火のないところに煙は立たないというけど、火もないところ」
と述べました。

本人の言葉と、週刊誌の言葉、どちらも正しいということはあり得ません。
真実を知っているのは本人だけ。
本人が本当のことを話しているか、嘘をついているかすらも、本人にしか知り得ないのです。
人づての情報は、それが本当かどうか確証を得るまでは信じ込まないよう心がけましょう。

一方だけの意見を鵜呑みにするのは間違いのもと

学生時代の話です。

あの先生、口は悪いし、すぐキレるし、叩くし、最低だよ
多くの同級生たちが、口をそろえて愚痴っていました。

その同級生たちが入部しているバレー部の顧問が、「あの先生」だったのです。

私はその先生に指導を受けたことがなかったので、怖い先生がいるんだなあと思いました。
一緒にその話を聞いていた友達も、「そんな顧問で、大変だね」と同情していました。

ある日の放課後、用があって体育館へ行くと、バレー部員たちが楽しそうにおしゃべりして、爆笑していました。
そこへ例の先生が現れ、「お前ら何やってんだ!」と一喝。
あんなに堂々とおしゃべりを楽しんでいたので、てっきり休憩中かと思ったのですが、きっちり練習時間内だったのです。
案の定、例の先生の説教が始まりました。
部員の一人が顧問の先生から顔をそむけました。肩の動きで、大きなため息をついたのが、離れたところにいる私でも分かりました。
先生は見逃さず、「その態度はなんだこの野郎! 文句あんのか!」と、ため息をついた生徒にビンタ。

確かに、同級生の言っていたことは間違ってはいませんでした。
その先生は、口は悪いし、すぐキレるし、暴力的
しかし、そのには、部員たちの態度の悪さや、ヤル気のなさという原因があったのです。

特に教師という立場で、暴言や暴力はいけない、という考えの人もいるかもしれません。
しかし、生徒が真面目に活動していれば、先生も怒鳴ることはなかったのです。
この場合、先生だけが悪者なのでしょうか。
「部員たちが可哀想」だと思いますか? 同情しますか?

一方だけの意見を鵜呑みにして、実際に確かめずに評価を下そうとすると、間違った答えを出す可能性が非常に高いのです。

ベッキーの件でも、ゲスの極み乙女。の川谷の奥さんの気持ちや状況は週刊文春に書かれていて同情を誘いますが、ベッキーや川谷側の情報がありません。
また、芸能人のことはテレビでどんな人なのか見ることができますが、一般人の奥さんの人柄については文字情報しかなく、温和なのかキレやすいのか、口調や目つきは優しいのか嫌味っぽいのか、気が利くのか利かないのか、実際に会わなければわかりませんし、親しい人にしか見せない裏の顔がないとも限りません。きちんとした判断材料がそろっていませんね。

情報不足を憶測で補うのは間違いのもと

別の例。

前の職場の上司は、ちゃんと話を聞かない人でした。
後になって「知らない」「ちゃんと連絡しろ」などと部下に責任を押し付けることがしばしば。
人の話を聞かない、無責任、責任転嫁。それでいて自分が悪いとは少しも思わず、ヘラヘラしているのです。
「あれで結婚してるんだよ?」と同僚は呆れたように言いました。「よく結婚できたよね。家でも ああなのかな。奥さん可哀想

出ました、「奥さん可哀想」。ベッキーの件でもよく目にしたコメントです。

後日、急ぎの用事でもあったのか、忘れ物を届けに来たのか知りませんが、上司の奥さんが職場にやってきました。初めてのことです。
彼女は上司の前に立つなり、子供の今日の様子や、昨日こう言ってくれればこうしたのに、そういえば車のダッシュボードにあれが入っていた、あーだこーだと、早口で、しかもキンキン甲高い大声で、膨大な情報を一気に話しまくりました。
上司はただただ軽く頷いているだけでした。

なるほど。
ちょっと落ち着け、と制することもしないってことは、毎日あの調子なのだと分かる。
あの奥さんの話をずっと聞かされていたら、普通なら頭がおかしくなってしまいそう。
イライラしてきて、黙れと怒ってもおかしくないほどの勢い。
上司は毎日それを聞き流し、黙ってうんうんと頷き、怒らずにへらへらしているのか。
その癖が仕事にも出てしまったのだな。

「奥さん可哀想」と言っていた同僚も、「なんか逆に○○さん(上司)のほうが可哀想に思えてきた」と前言撤回するほどの、強烈な奥さんでした。


この上司の話はちょっと例外的なんですけどね。
憶測による「あんな男と結婚して、奥さん可哀想」という言葉は意外とよく耳にするのですが、実際に奥さんに会ってみると、私の経験上、約80%が旦那さんとソックリのキャラクターでした。
そりゃそうですよね、政略結婚でもない限り、普通は好きで結婚するんですから。似た者同士がくっついて当たり前です。
当たり前のことなんですが、そこまで考えが及ばないものなのです。

情報不足の状態では、特に情報が足りないほうの肩を持ちがちです。
ゲスの極み乙女。の川谷さんの奥さんは実際どのような方なんでしょうね。

納得できる理由が隠されているかもしれない

「それでも、どういう理由であれ不倫なんて許されるものではない!
ベッキーの件でそう思う人は少なくないでしょう。
もちろん不倫はいいことではありません。

ところで、人殺しについてどう思いますか?
悪いことに違いありませんね。
では、もしもあなたが正当防衛で人を殺してしまったとき、
「はい、人殺し! どういう理由であれ殺人は許されるものではない! 極刑!
と言われたら?
ちょっと待って、話を聞いて! と思いませんか?
説明したくても、真実を話したくても、発言する機会も与えてもらえない。
「過失致死だろうと、正当防衛だろうと、人を殺したことには変わりありません」
そういう扱いを受けたら、どうですか?

まさにベッキーの状況かと思います。
会見したとはいえ、事務所がセッティングし段取りを決め、所属するタレントとして動かなければならず、ベッキー本人が言いたいことを言えるわけではなかった。
それに、もし、正直に話せば世間の同情を得られるかもしれないことがあるとしたら、それは一般人である奥さんをdisるような説明になるはずで、そんなことをすれば今度は「一般人の奥さんのことをそんなふうに話しちゃって奥さん可哀想」と言われ始めるでしょう。
(一般人である川谷の奥さんは、週刊誌にたくさんの情報を話して、世間に川谷さんの頼りない人柄を公表していますが……)
なぜ会見で正直に話さないんだ、説明しろ、という声も聞かれますが、それができる状況ならもうやっている。少し考えればわかることです。

いけないことは、いけない。
ただ、情状酌量の余地がある場合もあるのです。
結果だけを見て、その裏にどんな真実があったのか分からない状態で「はい、ダメー!」と言うのは残酷です。

感覚に惑わされないでください

イメージしたものと現実に差がないか、きちんと確かめてください。
正しい、充分な情報や証拠がない限り、誰が悪いか、誰が被害者か、判断することはできないのです。
正しい判断ができない状態では、擁護も非難もできないはずなのです。

冒頭で挙げた、誤解による殺人は、きちんと本人に確認していれば防げたものです。
周りからの噂を鵜呑みにし、よく知っている者への嫌悪感や不信感を募らせて、信頼していた人、愛していた人を殺してしまわないようにしてください。
イメージだけで決めつけて誰かを悪者にすることは、名誉毀損で訴えられる可能性があるだけでなく、相手を傷つけたり、自殺に追い込むなど、取り返しの付かないことに繋がる危険もあるのです。
人を悪く言うときは、そのリスクを充分に考慮してください。
本当に悪い人なのかどうか、自分の思い込みで判断していないか、よく考えてください。

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