Twitterで、立て続けにこんなツイートを見かけて驚愕しました。
「バスの運転手さんに乗客が『ありがとう』を言う意味がわからない。お金払ってるのに」
「レジで支払いして、店員に『ありがとう』という客がウザい」(店員側の言葉)
など、お金を払えば感謝する必要はない、という意見。

「当たり前のことをしたまでだから礼なんていいのよ」という気持ちなら、わからなくもありません。
しかし、感謝された側が「ウザい」「偉そう、何様なの」「いい人ぶってる」などと、不快感を覚えてしまうのは、なぜなのでしょうか。

支払い=感謝?

〈支払い+感謝〉を否定するのは、「商品に対してお金を払う」という行為に
「『お金を払う=お礼』なのだから、それ以上に感謝の言葉は必要ない」
「貸し借りなし」
「むしろお金を貰ったほうが感謝すべき」
という感覚を持っているからのようです。

果たして本当にそうでしょうか?

お金=感謝だから、それ以上に言葉は必要ない?

誰かにお礼の品を貰うとき、「これ、この前のお礼です」と渡されるのと、「この前は本当にありがとう。これ、お礼です」と言って渡されるのでは、感謝の気持ちの伝わり方が違いますよね。
「お礼の品」を渡したのだから、さらに感謝を述べるのは変だと思いますか?
言ってもおかしくないですよね。

お金を払う側は、お金を貰う側より上の立場なのか?

お金を払う側が偉い、貰う立場ならへりくだるべき、という考え方をする人が少なくありません。
「お客様は神様」という言葉が曲解され、「客は偉い」=「お金を払うのは偉い」と思っているのかもしれません。
「お客様は神様」とは、「簡単に『できない』とは言わず、できる限りのサービスを、最高のおもてなしをしたい!」というような、お客様を大事にしようという店側・提供者側の心がけであり、客側が使う言葉ではありません。
(この言葉を持ち出し、何をしても許されると勘違いして傍若無人な振る舞いをする客は、ただ迷惑なだけで、間違っても神様にはなり得ません。)

お金を払ってそれ相応のサービスを受けたい、物を手に入れたいと思った、それが叶うのだから、客は提供者と対等ではないでしょうか。

商品やサービス以外のことにも感謝している

では、対等なのに店員はなぜ感謝するのでしょうか。

利用してくれてありがとう。うちの店を選んでくれてありがとう。いろんな気持ちから感謝をするはずです。

反対に、客側だって、商品を用意してくれてありがとう、販売してくれてありがとう、爽やかな笑顔で対応してくれてありがとう、などという気持ちでお礼を言うことの何がおかしいのでしょうか。

感謝したくないこともある

お金は払うが、感謝する気持ちになれない……ということもあります。

私は以前、毎週のようにバスに乗っていました。
ある日乗ったバスの運転手さんの態度があまりにもひどくて不快でした。
始発で乗ったのですが、まだ時間は過ぎていないけどギリギリというところで飛び乗ったら「ちっ、クソ野郎」という運転手さんの言葉がマイクに入って聞こえてきて、唖然としました。
次に停まる停留所名などの車内放送を運転手さんがするはずなのに、一切なし。
足の弱そうなおばあさんが乗ってきたのに、まだ座らないうちに急発進。
運転は荒く、激しい揺れ。
おばあさんが降りようとして、なかなか財布が出てこなくてモタモタしていたら、舌打ちしたり溜め息をついたり。

「目的地に到着」ということに対して運賃は払いましたが、それ以上の感謝はありませんでした。私は無言でバスを降りました。

それからは、「目的地に無事に到着する」だけでなく、「なんの問題も不快感もない」「車内放送が聞きやすい」「乗客の着席、安全を確認してから発車する」という運転手さんへの感謝がそれまで以上に強くなりました。

当たり前に思っていることでも、よく考えれば感謝すべきことが沢山あります。

そしてこの例のように、お金は払うけれど感謝できない、という場合もあるのです。

お金は商品やサービスへの対価であり、感謝とは別

「お金を払う=感謝の代わり」ではないのです。
商品やサービスのお金のやりとりと、感謝は、やっぱり別のものなのです。

お金を払い、商品を買う。
商品を渡し、お金を貰う。
それだけ見れば、貸し借りなしかもしれません。
しかし、例えそれだけでも、「お取引ありがとうございました」と述べていい状況です。

さらに、
そのお店がなかったら、欲しいものは手に入らなかったかもしれない。
スタッフの心配りや笑顔に、支払った価格以上の満足を得られた。
そういった、対価以上のことに、感謝の気持ちが自然に湧き出てきませんか?

誰かに何かをしてもらったら、ありがたいなあという気持ちになるものなんですが、してもらうことが当たり前になっていると鈍くなってしまうのかもしれませんね。

誰かに何かをしてもらった、ありがたいなあ、と思ったとき、人は自然に感謝の言葉を述べるものなのです。
ありがたく思えないときには、ありがとうとは言い難いものです。
感謝をされたら、不快に思わず、素直に受け止めてほしいと思います。

そして、店員側も、客側も、マニュアル通り、身についた癖、といった口だけの「ありがとう」を言うのではなく、心から感謝できる点に目を留めて、心からの「ありがとう」が言えるといいですね。

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