秋風は16歳の少女だ。

9月中旬の学園祭が終わり、交際相手の湯川ひろゆき17歳の学園祭を

待つばかりになった。


学園祭二日目は演奏もなかったので

湯川とエスと秋風はとても楽しく過ごし、そこに佐々木と石原と新しく加わった

ドラムの白井もいた。白井は大手都市銀行の息子で身長が183センチだった。

湯川とエスの友達だった。

佐々木はモテモテの引っ張りだこで上機嫌だった。

秋風が一枚80円で売った自分の写真をとても気に入っている。

その写真は佐々木の良さを120%に引き出す

素晴らしい写りをしており秋風はどの角度から撮るといい顔に写るのか?という

勘がよかったのだ。佐々木のうさぎらしさは狡猾さよりも優しさとして表現され

利発さも表現された素晴らしい写真だったが

佐々木のカメラの性能のよさもあったのだ。

「うちのか~ちゃんがさ!これ秋風が撮ったって言ったら


わたしにも頂戴!!頂戴ってさ!あの子いい子ね~お嫁さんにしなよって


喜んでいたよ」という。


「佐々木の写真は!売れるから一枚100円にしたわ」と秋風がいうと

佐々木はさらに喜んだ。来年の受験生もお守り代わりに佐々木の

写真を買ったのだ。「湯島天神の500円のお守りより

ずっとご利益ありますからね!!この写真わ」と秋風は言ったが

その話は説得力があった。


一枚18円だったのでかなりの収益になったのだ。

佐々木を知らない学校の近所の主婦にもその写真は売れた。

「この子かわい~わね!うちのワンコに似てるわ~」

三歳の子供も佐々木を気に入った。

最後はキャンプファイアーがあった。


エスが普通の高校生をしていたので秋風は少し驚いた。


火が好きなのか?エスは燃える炎を羨望の目で見つめている。


思えばエスは花火が好きで、


でも不思議なことに


線香花火だけやらないので線香花火だけを机の引き出しに沢山持っている。



おそらくこれは一人でもしてるのだと秋風は思った。

エスが作った歌を思い出していた。



あの人の心を伝える

描かれたバラの花にも似ていて

燃え上がれ志抱いて

挑んでゆけ新しい朝に




「ねぇ?エス?ひょっとして火が好きなの?」


秋風が聞くと


「うん!!母親といた時の思い出があるんだ」と言って


キャンプファイヤーの火を子供の様な顔で見つめている。

エスはお風呂に入る時にも子供の顔になったが

ふとした瞬間に幼児に帰るところがあるなと秋風は思った。


秋風の手を母親の手を握るように取って一生懸命火を見ている。


エスはところどころ!成長が母親に捨てられた6歳で

止まっていた。


「そのうち母親を幸せにできますようにという願いの

線香花火だから秋風にあげたんだから

それをネズミにあげるなよ!」とエスは火を見ながら言った。

そうだったんだ!と秋風は思った。

願いの線香花火、エスの母親にも出て行った理由があるんだろうなと

秋風は思った。


それを見て湯川が秋風のもう片方の手を握ったので

三人はマイムマイムを踊った。





一仕事を終えて、8月分の学費3470円も払った秋風は

落ち着いた日々を送っている。



そこにひとりは湯川がひとりはエスが好きな先輩が二人で来た。



「ねぇ!どうして湯川くんをほっぽり投げていくのよ!」


湯川を好きな先輩17歳は憤慨している。



学園祭!初日。湯川は秋風に置いて行かれて一人でぽつんと


図書館の裏のコンクリートのベンチに腰掛けていたというのだ。



「あ~湯川くんはたぶんお母さんを待ってる時も


そんな感じでくるの待ってたんでしょうね」と秋風はいった。


待ってれば必ずくると思ってる湯川は


もうとっくに母親に出て行かれたエスとは明らかに

違う動きをした。




「秋風の学校は図書館と視聴覚室だけは新しいよね」と


湯川は言っていたがひとりでぽつんと座って見ていたのだ。


「視聴覚室の前の部屋は合宿の時泊まるよ」と秋風はいった。


「へぇ~そうだったんだ」と湯川は微笑んだ。


髪が濃くて多いがわりときつい顔のエスが好きな先輩も

秋風を怒っている。



「あんたが大事にしていないみたいだから


誘ったけど湯川くんは、秋風を待ってるって言って動かなかったんだよ!!」


というし。秋風も悲しくなった。


「それにいっぱい男の子が周りにいてさ!

可哀そうで見てらんなかったよ。」という。



湯川を好きな先輩はそのことに我慢ができないみたいだ。


「あれは兄です!兄」秋風がきっぱりというと



「へぇ~お兄さん?かっこい~よね!」と急にふたりは笑った。



「わたしはずっとずっと湯川くんが好きだったんだよ」と湯川を好きな先輩は言った。

素直な人だなと秋風は思った。



「でもエスも淋しそうだったよね!」とエスを好きな先輩は言った。


湯川くんはお父さんにもお母さんにも愛されてるので

人を信じる力が凄くあるのだろうと秋風は思った。


わたしは人を信じない。自分はダメな人間だとすぐ思うと!秋風は思った。




「わかりました!!わたしみたいな人間が付き合える相手でも


なさそうですから明日からひとりで生きて行きますよ」秋風は述べた。


本心だった。



「そんなことないよ!湯川くんが好きになるだけあるなと思ってるしね!



でもわたしだけではなくみんなが好きな湯川くんでね。



わたし理科大に行きたいんだけど秋風は湯川くんに数学を教わってるんでしょ?


いいな~」と先輩はいう。



「わかりました!湯川くんが言ったんですね?わたしの事を??


数学をいくら教えてもわからないから!


バカでやんなるよ!って?」と秋風にはなんでも悲観的に取るところがあった。

湯川がそんな事いうわけないのだ。自分がそう思っただけだ!


先輩が理科大とわざわざ言ったからだ!


「いいの!!いいの!わたしも湯川くんに数学教えて貰えたら


どんなに幸せかと思ってさ」と先輩は両手を合わせて妄想している。


「どこ受けるんだろ?湯川くん?わかったら教えてくれる?」と先輩は言った。


秋風はこの先輩の方が湯川にふさわしいと思った。


「わかりました!今結論が出ましたから!!


先輩が付き合った方がいいと思います」


秋風は述べた。


「本当にいいの!ありがと~」と先輩は言う。


「いいよね!秋風はエスと付き合いなよ」と湯川くんを好きな先輩は言った。


こうして違った才能に憧れると同じ才能を持つ人間に奪われるのだろうと

秋風は思った。志が違うのだ。


こうして人は終わっていくのだろう・・・。


将来は少年院で孤児の救済をエスとしようと思ったら元気が出て来た。



遠い日歩いた路の花の色は褪せても


いつまでも褪せない夢を愛と正義で。




エスが書いたこの曲には方程式はなく


数学なんて数字が並んでいるだけじゃないか!と秋風は思った。


国学院!青山学院!学習院!少年院!!


実は軽くネタだった自分が書いた最初の進路調査を秋風は思い出していた。


「学習院ね!わかった」と頼りになる教師は言った!


学習院から少年院!平等院鳳凰堂!病院で応急処置!それは石原くんか!

平等な政治を目指すアメリカのキングス牧師!人々を救済したイエスキリスト

キリストの様に痩せて色白なもうすぐアメリカへ行くエスの体!

線香花火に秘められたエスの願い

ネズミにあげてしまってボヤになった線香花火一束の行方

ネズミ少年に未来はあるのか?いつもよたよた歩いているが

シッポが邪魔なのか?  

人には色々な未来があると秋風は思った。


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