秋風は16歳の少女だ。

学園祭の演奏を歌い終えた。交際相手の湯川17歳を校舎の影に置きっぱなしの

事をすっかり忘れている。

演奏が終わると突然現れた兄とその友人4人で頭が一杯だった。

それほどまでに離れて暮らした兄が来てくれたことが

秋風は嬉しかったのだ。

秋風は暫くは感謝の気持ちを込めて兄と友人たちを校内に案内した。

学園祭初日はもうすぐ終盤を迎える。秋風は交際相手の湯川のことを思い出した。

「それじゃ~今日はどうもありがと~!わたし人を待たせているからね」

秋風はそう言って湯川がいるところに戻ろうと思った。

「そうなんだよ!秋風にはお隣の男子校にお付き合いしてる

男がいんだよ!俺たちのタメでな?な?秋風?!

ま~たぶん!汚い学校の不細工な男だとは思うけど」と

兄は大きな声で笑った。

汚い学校の不細工な男!

確かにそうだと秋風は思った。

「いや!あちらはあちらでみなさんの事を中学からわざわざ集って、

無駄な事に時間を

費やすバカばかりだと!言ってますのでお互い様ですよね!」と秋風は笑った。

兄はその言葉をまったく気にしていなかった。

「でもね!!秋風はきったない学校のぶっさいく!!な男にはすごくもてるから」と

とりあえず兄は秋風を友人に自慢した。

しかし無駄な事に時間を費やすバカばかりだと言ったのは17歳の天才少年エスであり

交際相手の湯川ではなかった。

湯川はエスと秋風を待っていていつものように三人で帰った。

秋風の演奏はかなり後ろの方の席で見てたらしいのだが

この後に控えている自分たちの学園祭の事で頭が一杯だった。

しかし!兄は兄は武道場で行う剣道の型や技の紹介や模範試合。この後に控える

自分たちの学園祭のことで

頭が一杯だったし秋風はそれを見に行くのも楽しみにしていたのだ。

人というのはやはり自分が一番輝いていたい生き物だと秋風は思った。

秋風は担任教師が作った歌に勝手にサビを入れたこともすっかり

忘れていたが

学園祭が終わると担任教師から呼び出しがあった。

秋風は怒られる内容に大体検討ついたので

今度は生徒の椅子を運んで教師の椅子の前に置いて座った。

「なんだ!今日はこの椅子に座らないのかよ!」

そう言って28歳英語の教師は生徒の椅子の方がいいかのように

小さくなって教師用の椅子に座っている。


「まず!いくつか質問ね!!」教師は言った。

秋風は曲に勝手にサビを入れたことをまず怒るだろうと思った。

とても失礼な事をしたと自覚があったからだ。

「学園祭に来てた!あの東京の高校生の団体はいったいなんだ!」と

教師は言った。

ここはいいところをついて来たと秋風は思った。

あの団体は兄とその友人で白確定なのだ!

先手で勝てれば勝負は勝てるのだ!少年剣士の兄が言ってたし。


「兄とその友達です」秋風はざま~みろ!と思って教師を見た。

「お兄さん!???」教師はさ~とはやく身上調査を出して

パラパラと一瞬で秋風のページを捲った。

秋風のページに折り目がついていた。強いていえば住所が違いますが

後は全て本当です!と秋風は思った。秋風は住所と親は不明だが

兄は確定していた。兄だけが確定していたので秋風は

兄を慕っていたのだ。兄だけが曖昧ではない。曖昧が人を不安にさせるのだ。

「ほんとだ!そうか・・お兄さんも優秀なんだな」といい

感心して教師は身上調査を机に戻した。

「ならいいんだ!」教師は笑った。

「先生?曲に勝手にサビを入れた事は怒ってないんですか?」と

秋風は聞いた。

「あ~あれね!ちょっと気になったけど別にいいよ」と教師は言った。

「本当にすいませんでした。」秋風は急に自分に絶望した。

「あ~~~~」秋風は自分の頭を抱え込んで項垂れた。

「オイ!!そこまで落ち込むこともないだろ!!」教師は心配そうに笑った。

秋風を温かい瞳で見ている。

「本当は怒っていたけどさ!もういいよ」教師は笑った。

「あの曲は今思うとフランスワーズのように演奏したらよかったと

思うんですけど・・・なにしろ!ギター一本なんで

あ~するしかなかったんですよね」秋風はまだ絶望している。

「絶望の仕方が半端ないから俺は秋風を怒る気がなくなるんだよな」

と教師は心配して頬を赤くした。

秋風が絶望したまま肩を落として英語準備室を出ようとすると

「秋風?僕におこづかい頂戴」と子供のように手を広げている。

秋風の兄が授業料を先生のこづかい程度の3470円と言ったからだと

秋風は思った。

「ないですよ!そんなお金!!先生にこづかいあげる余裕なんてないです」と

秋風は家なき子の様に言った。

「ば~か!!授業料だ!8月の」教師は言った。

「8月は夏休みなのにこの学校はお金取るんですか?」秋風は泣きそうだった。

「ば~か!そこは泣くところじゃねぇよ!!

教師は8月も働いてるの」28歳英語の教師は言った。

「今日は持ってないです」そう言って秋風は英語準備室を出た。

・・・・・・・・・・・・・

その十数年後秋風は渡米する前に初めて同窓会に出た。

すると年を取った担任教師43歳は秋風のところに来た。

「秋風?やっと同窓会に来たか!あの曲はその後

シンセサイザーの入った華やかな曲になってさ!

最近また演奏されたんだよ!!」教師は言った。

「先生あの時は仕方ないですよ!ギター一本で学園祭に出ろと言ったの

先生じゃないですか!!シンセサイザーがないから

サビ入れたんですよ」秋風は10年も根に持った教師に驚いたが

自分も自分に絶望したままだったのだ。

「そうじゃないよ!あの曲は俺がおまえに捧げた歌ってことだ!


ば~か!」43歳の教師は笑った。

「あれからそれ程面白いこともなかったよな~」教師は感慨深く当時を

振り返っている。

秋風はあの時エスのシンセサイザーがあったらこうはなってなかったと

思った。
・・・・・・・・・・・・・

過ぎ去りし青春の日々に

僕はなにかを忘れて来た

葉末にきらめく水玉のように

優しく儚い何かだけれど

僕は思い出せない




過ぎゆく人たちの中に

僕はなにかを忘れてきた

空に流れる綿雲のように

遠く白い何かだけれど

僕は思い出せない





愛してやまない書のなかに

僕はなにかを忘れてきた

どこかに無くしたしおりのように

もういらない何かだけれど

僕は思い出せない

・・・・・・・・・・・・・・

教師はそれをいうために10年同窓会に秋風がくるのを待っていたのだ。

フランスワーズの様に新しい曲が秋風の頭に中にこだましたが

なぜか?エスばかり思い出して完成しなかった。

新しい世代の誰かがあの曲を演奏してくれて教師は28歳に戻って

輝いたのだ。

「演奏してくれたのは男の子なんだけどさ!秋風の話がすごく好きなんだよ。

へぇ!いいですね!!僕も教師になりたいですと言うしね・・」

教師は嬉しそうに笑った。

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