【1】真夜中のドライブは、危険な香り

「真夜中のガソリンスタンド」という都市伝説をご存知だろうか?。様々な媒体で紹介されている、かなり有名な話だ。聞いた経験のある方も、多いと思う。

ご存知ない方の為に、この都市伝説の内容をまとめると、以下の様なものだ。(※ホラー要素がありますので、苦手な方は注意して下さい)

真夜中の道を走る車が一台。乗っているのは、若い女性が一人。女性は、ガソリンタンクが空になりそうな事に気付き、たまたま見つけたガソリンスタンドに寄った。初めて利用するスタンドだ。

セルフではなく、店員が対応してくれるスタンドだったのだが…。出てきた店員は、若い男。真夜中だからなのか、彼ひとりで対応しているらしい。何だか、酷く不機嫌な様子だ。接客も大雑把。女性は、不快な気持ちになったが、揉めるのも嫌なので我慢した。

給油が終わった。女性は、料金清算の為、クレジットカードを店員に渡した。そのクレジットカードを手に取った店員は、ものすごい形相をして、こう言った。


「お客さん、このカード、偽造されたものだよ」


え…?女性は、店員が何を言っているのか、よく分からなかった。自分の出したカードは、偽造ではない。実際、このガソリンスタンドに来る前、他の店にも寄ったが、普通に使えた。問題は無いハズだ。

「ちょっと、車から降りて下さい」店員は言った。何が何だか分からないまま、女性は車のドアを開けて、車外に出た。その途端、店員は女性の腕をつかんだ。「お客さん、事務所に来て下さい」

すごい力で事務所の方へと引っ張る店員。女性は叫ぶ。「え!? ちょっと! やめて下さい!」
抵抗するも、こちらは女性で、相手は若い男。そのまま、事務所に引っ張り込まれてしまった。

事務所に入ると、店員は扉に鍵をかけ、窓のブラインドを下ろした。混乱していた女性は、ここでやっと気づく。「この男、乱暴する気だ…。」恐怖で体が硬直してしまった。

そんな女性に向かって、店員が押し殺した声で、こう言った。


「あの人は、誰?」


もっと脅迫的な台詞を吐くのかと思いきや、出てきた言葉がこれだった。女性は、店員が何を言いたいのか、何がしたいのか、全く分からなかった。何も言わない女性を見て、もう一度、店員が尋ねる。


「だから、アイツは何だって聞いてるんだよ…!」

店員は、手をブルブル震わせながら、店内のモニターを指差した。

そのモニター写っていたのは、どうやら監視カメラの映像らしい。女性の車が、映し出されている。

よく見ると、後部座席の様子が、何かおかしい。女性は、一人で運転し、このガソリンスタンドまで来た。自分以外には、誰も乗っていないハズなのに、後ろの席で、何かが動いている。

しばらく見て、やっと分かった。動いているのは、どうやら人間だ。かなり小柄な人物。後部座席の、足元のスペースに隠れていたらしい…。女性は、息を呑んだ。全く気付いていなかった。

ゆっくりと車外に出てくる人影。どうやら男だ。その手には、人の腕と同じ位の、大きな刃物が握られている。刀身には、血がベッタリと付いていた。

その小柄な男は、車からゆっくりと離れて、道路の方へ消えていった。女性は、怖さと驚きで、固まったまま動けない。その横で、半泣きになった店員が、警察に電話してくれた。

ガソリンスタンドの店員は、女性に乱暴しようとしたのではない。女性からカードを受け取る時に、後部座席の異常に気付いて、女性を助けようとしたのだ。
もし、クレジットカードを渡した時に、店員が後部座席の異常に気付かず…そのままガソリンスタンドを後にしていたら…。


【2】この話が広まったのは、いつからなのか?

この都市伝説が、いつ頃から広まったのか?については、ハッキリとした線引きは難しい。ただ、筆者の知る限りでは、「やりすぎコージー」という番組で取り上げられた辺りから、よく聞く様になった…と思う。

2008年の秋頃、この番組の企画で「都市伝説特集」をやっていた。そこで、「真夜中のガソリンスタンド」の再現ドラマを放送していた。主演は、女優の「山本梓」さん。

もし、この「やりすぎコージー」から広まったとするならば、巷に流れ出してから10年くらいしか経過していない、割と新しい部類の都市伝説ということになる。



【3】この都市伝説は、実際の事件なのか?

この都市伝説は、本当の話なのだろうか?…という点について、筆者の可能な範囲で調べてみた。が、実際に起こったという記事を見つけられなかった。

しかし、元ネタと思われる本を見つけた。その本は、「十二枚のだまし絵」という本である。1994年に発表された作品だ。作者は、イギリスの作家で政治家の「ジェフリー・アーチャー」氏。

この本の中に、「高速道路の殺人鬼」という話が収録されている。「真夜中のガソリンスタンド」と全く同じ話という訳ではないが、類似点が多い。
ネタバレになってしまうので、詳細は伏せる。興味のある方は、読んでみて欲しい。



【4】論理的に考えて、この都市伝説の信憑性は?

この都市伝説は、どうやら、実際の事件に基づいたものでは無いらしい。では、「実際に起こりうる話なのだろうか?」という視点に立って考えた場合、可能性はあるのだろうか?。
車種について、都市伝説の中では詳しく触れられていないので、普通車と仮定して考えてみる。

都市伝説の内容を考えた時、最も「疑わしい」と思われるのは、「刃物を持った男性が、車の後部座席に、運転手に気付かれる事無く、そこそこの時間、隠れる事ができるか?」というものだろう。

座席上に寝転がれば、少しの間であれば、運転手からは見えないのかも知れない。しかし、運転手はバックミラーを頻繁に見る。見つかる可能性の方が高いだろう。


座席上ではないとすれば、足元のスペースということになるが、大抵の場合、とても狭い。小柄な人でも、隠れる事は難しいだろう。

隠れることが可能だったとしても、「血の付いた刃物を持っている状態で、隠れている」という状況だった。これは、かなり難しい。
そんな狭いところで、抜き身の刃物を持っていれば、持っている本人が怪我をする。しかも、動く車の中である。案外、刃物に付いていた血は、持っていた本人のものだったのかも知れない。

運良く、後部座席の足元に隠れる事が可能だったとしても…。そんな状況では、ガソリンスタンドの店員が、男の存在に気付かない可能性が高い。

以上の様な理由から、この都市伝説の信憑性には、かなりの疑問があると言える。



【5】終わりに

筆者の知り合いに、「この都市伝説を聞いてから、車の後部座席に過剰な警戒を持つ様になった」という人がいる。この記事を読んで頂いている方の知り合いにも、似た様な人がいるかも知れない。

まあ、全くあり得ない話…と断言できる訳でも無いが、まず心配無いだろう。もし隠れていたとしても、本人が持っている刃物で、本人自身が痛い目に遭うと思われる。
後部座席の殺人鬼に注意する前に、車上狙いの被害に遭わない様に用心する方が、現実的だと思う。

大事なものは、車内に放置しない。ドアロックをしっかり確認する。ついうっかりしがちな事柄なので、用心する事をお勧めする。



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