老人ホームで入居した夫婦間で起こった事件

出典 http://www.msn.com

人間はナメクジじゃないので誰にでも親はいる。
その親は必ず老いていき、赤ん坊に戻る。
自分たちでその面倒を見るにはあまりにも忙しすぎる社会なわけだ。
面倒を見るために仕事を辞めるわけにはいかないから、ある程度の資産がある老人は老人ホームに入る。
その方が子供に無駄な面倒をかけずに済むからだ。
潤沢な収入のある子供なら、老いた親を老人ホームに入れるだろう。
その方が自分の仕事に専念でき、介護をするというわずわらしさが消え、楽しい休日を送れるからだ。


しかし、この事件はその老人ホームで起こった。
この93歳の老夫婦にはきっと資産があったんだろう。
もしくは子供が一財を成して入居させたのかも知れない。
今の一般社会おいては成功者と言っても過言ではないだろう。
何故こんな事件が起きたのか?
それを考察しようと思う。

今の介護業界についての考察

長くなりそうなので、論旨を先に記述する。

1 全国の事業所数と介護を必要とする人口について
2 有料老人ホームについて
3 介護業界の就労人口について
4 介護難民について
5 本件への考察

2015年10月に発表された政府の統計によると国内の介護老人福祉施設(個人・法人が運営するデイケア・訪問介護等)は7249件、 介護老人保健施設 4096件 (公的機関が運営する特養老人ホーム等)、 介護療養型医療施設1520件 (医療法人が運営する医療施設、重度の要介護者等)合わせて12865件である。
加えて病床数から見る定員は介護老人福祉施設498327名、介護老人保健施設362175名、介護療養型医療施設66925名、合計927427名である。
現状の日本人口が1億2500万人に対し、介護対象年齢の65歳以上が3万2千人と3割弱を超えている。
この内訳のうち65歳~70歳までの第一次ベビーブーム世代が大半を占める。
ここから全国収容可能定員数の3割が何らかの施設に入所できる事がわかる。
  


しかし問題は人口の比率である。



まだバブル期の第2次ベビーブームで産まれた40代が残っている上に、65歳以上の介護度合いが進んだ際にはより高度のスキルを持つ人材が必要になる。
更に16歳~64歳までの生産人口比率は少なく、介護業界は薄給で精神的に厳しいというイメージがあり、業界への就職率は低い。
2008年116~127万人が一番のピークで年々就労人口は減っている。


ここまででまとめてみよう。

1 介護を必要とする人は年々増えてくる。
2 それを支える人が少ない。
3 それに伴って労働従事者一人あたりの負担が大きいと予想できる。


介護料金ってどれくらいかかるのか?

出典 http://kaigo.homes.co.jp

この二つのリンクを見て欲しい。
デイケアと老人ホームの料金の目安が書いてある。
ここから見たら分かる通り、デイケアで月5,000円~の出費が発生し、老人ホームなら初期費用を除いても月10万以上の出費が必要になる。

冒頭でも触れた通り、老人ホームは高いのである。

しかも全国で5000件位しか公的に認められている施設がない事を考えれば、圧倒的に施設が足りていないのである。
更に入所するまでに相当の時間がかかる。1年以上の待ちが3割程というデーターがある。
地域差があるとは思うが、絶対数が少ない地方においてはもっと待ちが多いだろう。
需要が多いならば作ればいいと安直に考えてみるが、介護業界はあまりにも色々な規制が多すぎる。
何故作れないのか?それを考察してみる。

介護施設の設立

出典 http://www.shakaifukushi.info

老人ホーム

詳細は引用を参照して頂きたいが、ざっくりと老人ホームを設立するにはどうすればいいか?まず理事を6名集めればいい。しかし問題は資金だ。
基準満たす設備と土地、建物、人件費、各種運営費だけでも一億では足りない。10億は必要だろう。まず個人ではできないだろうから、法人を立ち上げ、資金調達必要となる。

立ち上げるためにはしかるべき社会的な地位と資産を持つ人間が必要になる。

次に一番大事になるのは人材である。
施設長、事務員、生活相談員、看護職員 (看護師又は准看護士)栄養士、調理員、機能訓練指導員が必ず必要となる。

業界に精通したスタッフが絶対不可欠だ。


ここが一番の問題だ。
生活相談員は大学で所得するか、介護福祉士を所有してからの国家試験が必要だ。その介護福祉士になるためには未経験で業界に入った場合は3年の実務経験が必要になる。
なろうと思ってもすぐになれるわけではないし、なったからと言っても給料が跳ね上がるわけでもない。
ここが一番の問題だ。


チャレンジしようと思っても参入障壁が高く給料が安ければどこに魅力を感じるのか?


やりがいだけでは生活はできないし、続けられるわけがない。それで続けられるという人はただ単に他になんかしらの援助がある場合だけだ。
ここに介護業界の離職率の高さと定着率の低さの一端があるのではないか?


では我が国がどのように人材を作ろうとしているか?
それを次章で考察しよう。

介護職員「25年度に約38万人不足」政府の対応は?

出典 http://www.careshikaku.com

上記で述べている通り、介護業界の労働人口は2008年がピークとして年々減り続けている。それに政府がテコ入れをしようとしているのは、「介護職員初任者研修」「実務者研修」の創設による介護福祉士へのステップアップルート整備、介護福祉士の上位資格となる認定介護福祉士(仮称)の創設等を計画している。
これだけの資格を創出して何をしたいのかはわからない。個人的観点ではより煩雑になりそうな気がする。
ただ平均賃金を月額12000円上げようとしているのは、現在働いている人間のモチベーションの向上および維持につながるだろう。しかし事態は深刻である。


2025年には35万人の労働人口が不足すると言われているからだ。


現状政府は暫定的に介護業界へのインドネシアとフィリピンからの労働移民を認めている。もちろん業務に必要な資格を有するのが条件ではあるが。
筆者の友人のフランス人女性も52歳で本国で解雇されたらしく、日本で再就職をしている。これからも外国人労働者が増え続けるだろうが、日本人の老後を外国人が介助する時代が来たと考えると我が国の未来はどうなるのか?と切に感じる。


ざっくりではあるが、以上の点から日本の介護業界の現状とする。
次章から今回の事件について考察して行こうと思う。

介護難民と本件の考察

出典 http://www.minnanokaigo.com

そもそも入所の基準はなんなのか?それは介護レベルによる。要支援1~5または要介護1から5まであり、要介護3以上になると老人ホームへの入所基準を満たす事になる。
しかし、誰しもが老人ホームに入所できるわけではない。
政府から助成金を受ける事はできるが、それまでにきちんと納税をしていなければ助成金は削減される。
月々の老人ホームへの支払いに充てるのも年金が主流だ。それらがない場合は潤沢な貯金が必要となる。
そのいずれもない場合は生活保護を受けるしかない状況なのだ。
何故老々介護が産まれるか?それは上記の3点が大いに関係するだろう。
70歳過ぎの老夫婦が月5万くらいのエレベーターがない公団団地で生活保護を受けて、エアコンも効かない部屋で粗末な食事を取りながら死ぬまで自活をしなければならない。
パートナーが亡くなったら一体誰が彼らの面倒を見るんだろうか?
沢木幸太郎の「人の砂漠」にあった話が現実になり、しかもこれからも広がっていくんだろう。


我々は死ぬまでCASHに支配されている。


今回の事件について考えてみよう。
今回の夫婦が入所したのは昨年の12月22日だ。事件が発生したのは本年1月10日で、入所して実質20日足らずで起こった。
また、両者の年齢も93歳と非常に高齢である。
事件を起こした時間も7:40~8:50分と朝早い。

一体どんな背景があったんだろうか?

嫁がぼけていくのが辛かったんだろうか?それならば入居以前に犯行に及んでもおかしくはない。
今まで慣れ親しんだ家で死ねなかったのが辛かったんだろうか?嫁を殺害した後に自分も死ぬつもりだったんだろうか?それならば何故ばれやすい早朝に行ったのか?
夫が突発的な痴呆に襲われたんだろうか?それならば警察に自分がやったとは証言できないだろう。
職員に何かやられたんだろうか?それならば本人も何かしらのダメージがあったはずだし、そもそも自分がやったと庇う必要もない。
そもそもが彼らは裕福な人間ではなく、市のケースワーカーが見かねて入所させたんだろうか?それが大きなストレスになっていたんだろうか。


どれも可能性はあるだろう。
でも僕が考えるのはこうだ。
失礼覚悟で述べさせてもらう。


入れ替わりの時間帯でスタッフが少ない朝方に老婦が危篤になり、それを見ていた老父が犯行におよんだんじゃないか?



もしそうだったならば彼の心境はどうだったんだろうか?
長年連れ添った連れ合いがしに行くのを間近でみて、混乱をし、判断能力が極端に低下し、とっさに体が動いたとしたら、それは一体誰が悪いのだろうか??


こういったニュースを見ると、自分の両親がどうなるのか?自分自身が老いた時に誰に頼ればいいのか?こういった現場レベルでの問題を解決するのが一企業だけが抱えなければならないんだろうか。
こういった悲しい事件がなくなるのを祈るばかりである。



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33歳無職。
算明学の占いでは、龍高、車騎、調舒、禄存です。
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