エスは17歳の天才少年だ。

工場街の店を学校に行く傍らで経営している。

自分で内装を洞窟にして汚れた壁に絵を描き

空いていた部屋の床も変えて

ゲーム機を導入した。エスが育てた16歳の少女秋風がそれを手伝った。

エスは演奏台を作り自分の部屋の音楽機器を運び

アンプも揃えて、演奏もして、ナポリタンセットも作る。

エスは何でも器用にできたために元は宴会室のあるスナックであった店を多目的ホールにして店を繁盛させている。

16歳の少女秋風も再びエスと歩き始めて

毎日交換していた分厚い交換日記は

共に店を作る力に姿を変えた。

「秋風!これをメニューにしてくれ」

16歳の少女秋風はエスの少しの指導で出来栄えのいい仕事をこなし

今までふたりで生きて来た流れで

エスの右腕に成長していた。

秋風はエスの作った曲をまた演奏したいと思い練習もしたが

「ここで秋風が隣で演奏したらこの曲は死ぬからダメだ!ましてや歌ったら
終わるから!」とエスは言った。

親に捨てられてそれを隠してヒーローになるまでの15歳までの

歌はエスが指導してくれて秋風の出番も多かったが

まったく出番がないことを秋風は気にし始めている。

自分の力でまたどこかで出番を作るしかなさそうだと秋風は思った。

毎日ナポリタンばかり食べていて秋風は肌が荒れて来た。

「エス!もういい加減ナポリタンには飽きたよ!!」秋風は憂鬱だ。

秋風は毎日の味噌汁を品を変えて器用に作った。

「それにこのコーヒーまずいよ」秋風はコーヒーにも飽きて来た。

「だろうね!!どうせみんなゲームやってて味がわかんないから

不良品の特価品で一番安い豆だから」とエスは笑う。

「こんな店でサイフォンコーヒー出しても意味ねぇだろ?!みんなゲームしてんだし」

エスは早口で言う。

エスの作るナポリタンはカゴメのトマトケチャップと最後に入れるブルドックソースで出来ていた。


初夏のある日、秋風がホームで電車を待っていると

体が曲がっていてよたよた歩く少年が近づいてきた。

「こんにちわ!秋風ちゃん!」気味が悪いが名前を知っている。

よく見るとある日エスがあいつは覗きをすると言っていた少年だった。

秋風は警戒した。

エスが自分と秋風を覗いていると言った少年だったのだ。

この電車では学校に間に合わないことを

秋風はエスに聞いて知っていた。

ズボンが腰まで下がっている。


「あ~僕は怪しいものではございませんので」その少年は生徒手帳を

出して秋風に見せた。

エスの後輩で一年生!生徒手帳はシミだらけだった。

生徒手帳の顔が余りも滑稽だったので

秋風は噴出した。

薄汚い印象のその少年は秋風のことを実はよく知っていた。



「一年生なのに随分汚い生徒手帳ですね?!」と秋風は言った。


「あ~これね・・この前、駅のお便所に落としたんですよ」と薄汚い少年Kは言った。


秋風は顔を顰めた。


「僕はエスさんを心から尊敬しています」薄汚い少年Kは言ったが


エスは汚くはないと秋風は思った。


この少年の汚さはいったいどこから生まれたのだろうか?と秋風は思った。



「貴方・・この電車だと間違いなく遅刻でしょ?」秋風は言った。



「いつも同じ時間に5分遅刻すれば先生も認めてくれるので」薄汚い少年Kは言ったが


同じことを出会った頃のエスが言ってたことを秋風は思い出した。


石原氏や佐々木や湯川くんみたいに綺麗な人は


人に声をかけないものなのだなと秋風は思った。


綺麗な人は自分でどうすれば仲良くなれるか?考える必要があるのだ。

それが高嶺の花という物だ。


声をかけるという行為がもう汚い行為なのだ!と秋風は思った。



「そういえば今日?!エスを尊敬してるとか言ってた人に会ったよ!」

秋風は店でエプロンをつけながらエスに言った。


「ん???誰だろ?」エスは考えた。

「汚いね!!コジキみたいな感じで!」秋風は言った。


「あ~~~~!!そいつトッポジージョに似てなかった?」とエスは言った。


秋風はなんとなく似てた気がした。

トッポジージョはアメリカのネズミだがミッキーマウスでもない。


「あ~似てるかも!!」


「あ~あいつね!!びゅーんときったねぇ!尻尾が

生えてるネズミ!!」エスは顔を顰めた。


エスには尻尾が見えてるようだ。


「言われてみれば怖いシッポを隠してるのかもだ!!


ズボンを腰まで下げてたよ!」秋風は本当にシッポが生えているような気がした。


「あ~シッポが邪魔なんだろうね!!」エスが言った。


そうなんだな・・と秋風は思った。

「秋風?!あのトッポジージョには近づかない方がいいぞ!


せっかく僕が大事にしてたのに!秋風の翼をかじられる」


エスは秋風の背中を抱いた。

「わたしには翼がある?」秋風はエスの腕の中で聞いた。

「うん!!僕が大事にしてる翼だ!」エスは言った。


この日はエスと秋風は夜まで仕事で7時からエスのステージだった。


エスの新しい曲が歌われた。






この空に希望を託して

この風に運命をあずけた

飛び立っていけ翼を広げて思いのまま羽ばたいていけ

あの人のこころを伝える描かれたバラの花にも似ていて

燃え上がれ 志抱いて

挑んでいけ新しい朝に


この時この愛こころを燃やしてあの人の翼の夢に賭ける


歌い終わるとエスは秋風の顔から先を見てる焦点は合っていないが優しい目をしている。


「通りでいつも背中が重い」秋風は笑った。


「それ以上翼が大きくなるとここにもいられなくなるから暫くはそのままのほうがいい」

エスは心配そうに秋風に言った。

エスには朝会った少年のネズミのシッポが本当に見えたのだろうか?と秋風は思った。

彼にはどうしてシッポが生えたのだろうか!なんで彼はエスに近づいたんだろうか?と秋風は思った。


翼があるのに飛んだことのない自分と人間なのにシッポが生えてるネズミのような少年も

同じ様に哀れな生き物だと秋風は思った。

「わかったよ!エス!!ネズミのトッポジージョさんに翼をかじられないようにするよ!」と秋風は笑った。


「そうだよ!秋風!警戒しないとネズミは夜でも忍び込んで人の家の物を漁って逃げるから」とエスが眼鏡を上げて秋風の翼を愛しそうに見ている。

エスは頼りになるなと秋風は思った。

秋風は本物のネズミを見たことがなかった。

エスが薄汚い少年Kをネズミだと言った意味を知りたいと思った。どんな人間がネズミになるのだろうか?

なんで?あの少年にはシッポが生えてしまったのか?

エスの作ったこの曲はこの数年後英語になってハーバード大学の人が

作ったシリコンバレーの経営スクールのイメージソングとなり

日本語版もハーバードの実業家が日本で開校した外語学院の歌となった。

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