12月、ことに、年の瀬になると流れてくるクラシックの有名な曲がありますよね。
いきなり合唱団がザッと立ち上がったかと思えば「フロイデ!」とドイツ語で高らかに歌い始めるあの曲……!
ベートーヴェンの「第九」にまつわる裏話をまとめてみました。

そもそも「ダイク」って?

「第九」というのは、愛称です。
正式に言うと、
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲交響曲第9番ニ短調作品125
と、いいます。
全部で四楽章からなる大作で、ベートーヴェンの九作目の交響曲であり、最後の交響曲となりました。
ちなみに曲名をドイツ語で書くと、Sinfonie Nr. 9 d-moll op. 125です。
op.はオーパスと読み、クラシック音楽の作曲家が作った曲につけられる番号のことです。

そして、我々が最もよく知っているクラシック音楽と言っても過言ではない「歓喜の歌」が流れるのはこの曲の「第四楽章」です。
1楽章の冒頭も有名なので「あ、知ってる!」という方は多いと思います。

第四楽章は、実は合唱だけでなくソリストを伴って演奏されます。
歌詞はドイツ語ですが、シラーの詩『歓喜に寄す』が用いられています。

初演は1824年5月7日。
ベートーヴェンはすでに聴力を失っていたので、指揮はミヒャエル・ウムラウフでした。

交響曲第9番《合唱付き》

出典 YouTube

指揮者:ヘルベルト・フォン・カラヤン
オーケストラ:ベルリンフィルハーモニー管弦楽団
カラヤンが振るベルリンフィルの第九は名演がたくさんありますが、こちらは1977年のものです。
第四楽章は42分ごろからです。

評価は「演奏不可」!?当時の「第九」

今でこそ、第九で合唱団が出てきてもちっとも驚きませんが、当時はこれは斬新で画期的な手法でした。
そもそも、ベートーヴェンは交響曲で様々な新しい試みを行っているようです。

全4楽章を同一のモチーフで統一してみたり(第5交響曲「運命」)、音による実際の事物の描写に挑戦したり(第6「田園」)、現代のロックのように同一リズムパターンの繰り返しでがんがん盛り上げてみたり(第7)――と、ありとあらゆる冒険的手段を使って、彼は交響曲を“気楽に聴ける幕の内弁当”から“人生のすべてをたたき込むことができる巨大な表現手段”へと変えてしまった。
 その到達点が、オーケストラに合唱という言葉の表現手段まで付加した第9交響曲「合唱付き」というわけである。なにしろフリードリヒ・フォン・シラー(1759~1805)の詩に基づいて高らかに世界平和を歌い上げてしまうのだから、19世紀前半としては例外中の例外というべきアバンギャルドな曲だったのである。

出典 http://trendy.nikkeibp.co.jp

第九が発表された当時(初演)こそ成功しましたが、そのあとは「合唱付き」という異質さ、曲の長さ、曲の難解さ……等の理由により「演奏不可能」という評価がついてしまいます。
ぱったり演奏されなくなり、ベートーヴェン自身も、改稿しようと試みたようです。

後に、この評価を覆すのが、リヒャルト・ワーグナーです。

年末と第九…のなぜ!?

上記リンク先の歌詞を見ても、とくに「年末年始」にかかわる何かがうたわれているわけではありません。
というのも、年末に第九が演奏されるという「慣習」は日本独自のものです。

1824年にウィーンで初演された「第九」。
日本初演は1918年6月1日、徳島県鳴門市にある板東俘虜収容所、演奏を行ったのは第1次世界大戦で日本軍の捕虜となったドイツ兵たち――だそうです。

これがなぜ、日本の年末に定着したのか――は諸説あるようですが、一番有名なのは

「オーケストラ団員のボーナスがわり」

というものです。
人気曲をやればお客が入ってオーケストラが儲かる……という、なんとも現実的な説です。

ちなみに、ヨーロッパでは、ヘンデルのオラトリオ「メサイア」が演奏されます。

出典 YouTube

この「ハ~レルヤ!」という曲も「知ってる!」って方は多いと思います。

オーケストラの経済的な事情、当時の世情などの後押しもあって「人気曲」となった「第九」。
しかし、単純にそれだけが理由ではないと思います。
前向きな歌詞と、前へ前へと引っ張ってくれるような華麗な曲……そんな雰囲気が、師走から新しい年へと気持ちをあらたにする日本人と、ぴったり合ったのではないかと思います。

ドイツ語で歌われることがおおいのですが……なんと「とらのまき」が存在します。向島の芸者さんが歌詞を覚えるために使用したものだそうです。
今年はそれを見ながら、テレビの前で一緒に歌ってみるのも良いかもしれませんね!

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