小学校などにある遊具の一つに回転ジャングルジムというものがある。

中央軸に取り付けられてある円盤を回すと球形のジャングルジムそのものがクルクル回転する遊具。

これは今でも夢に出てくる、僕が回転ジャングルジムで殺されかけた話。



いつものように一人ぼっちの休憩時間を過ごすべく、「逃げ場所」である図書室へ行って平穏を確保していた。

「おい!キン!いるんだろ?」
当時「バイキン」というアダ名が転じてキンと呼ばれていた僕を、イジメっ子のボスが捕まえにやってきた。何人もの手下を連れて。

震える僕は、立ち読みで疲れたフリをして隅に隠れてたけどすぐに見つかる。疲れてたなんていう言い訳を聞いてくれるワケもなく、隠れてた事に対する処罰という事で喰らうひざ蹴り。

「今よぉ、アレ(回転ジャングルジム)を誰が一番速く回せるか勝負してたんだよ。みんな回すの速くて誰が一番か見分けたいからよ、お前アレに捕まっとけ。振り回されたお前の足がどれだけ宙に浮いたかで順位を決めるからよ。」

後ろの手下どもはニヤニヤしている。
元々図書室の隅っこに隠れてたので逃げ道も無い。
精一杯の拒否を示すべくうつむいて黙秘を通すも、どうせ僕が「わかった」と言うまでは「アザが残らない程度の」パンチやキックがやってくる。

今ヤラれるか。後でヤラれるか。それだけの違い。
そもそも僕が回転ジャングルジムから手を離しさえしなければ怪我はせずに済む。

僕は意を決して回転ジャングルジムへ。



ぶははは!!
足がwww水www平www
落wwwちwwwろwww

ボスが全力で回すジャングルジムは勢いの衰えを知らない。
コマのように回るジャングルジムに捕まる僕の足は、どうやら水平の位置まで浮いている(らしい)。

どれだけ恐怖で五感が低下してても聞こえてくる笑い声。

遠心力の影響からか吐き気も出てくる。

落っとっせっ!
落っとっせっ!

手下どもから出てくる反吐のような野次。

いつ終わるかもわからぬ回転地獄。

汗を殺した手の平に限界まで力を入れるも、ジワジワと両の手が痺れてくる。

嫌だ!嫌だ!
死にたくない!

全力でマブタを閉じる。遠心力には全く影響ないのに。

負けるもんか!
負けるもんか!



キーンコーンカーンコーン

「なんだよもう終わりかよ」

始業開始を告げるチャイムに救われた。

教室への先生登場に間に合うように急ぎ足で消えていく悪魔達。

恐怖で足が震えて上手く歩けない僕。

その授業は僕だけ遅刻して先生に怒られた。クラスメートからも嘲笑の嵐。

でも、何も感じなかった。
無事に無傷で生き延びた事。それが全てだった。



負けなかった。それだけで十分だった。

同時に、ある事に気付いてゾッとした。

もし僕が図書室でのリンチに速攻で心を折って速やかに回転ジャングルジムに足を運んでいたら、そのぶん長く回転ジャングルジムに振り回されていたはず。あれ以上の長い時間で振り回されていた場合、僕の握力は限界を迎えていたかも知れない。

無事では済まなかったかも知れない。

遅刻を先生に怒られようが教室の悪魔達に嘲笑されようが、ともかく無傷で生き延びれたのは、図書室で少しでも「黙秘という抵抗」をしたから。



世の中には「やられたらやり返せ」という言葉があって、とりわけ最近は「倍返し」という言葉が流行ったばかり。反逆そのものは実際に行動に移さないとカッコ悪いという風潮があるように感じるけど、実際にやり返すのなんて怖いって。どうせ後で4倍返しが待ってるんだって。

黙秘も立派な「反逆」だって。

現に図書室で黙秘した時間があったからこそ無傷で生き延びたワケで。

どうせ悪魔どもは「黙秘」に内在する心情の機微なんてわかりゃしねぇんだから、ただ夢中で思うしかなかった。

負けるもんか!って。

黙秘だって立派な反逆〜休み時間に殺されかけた話〜

出典 http://s.ameblo.jp

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イジメ克服ミュージシャンのブン このユーザーの他の記事を見る

イジメを音楽で克服した経験を経て、イジメられッ子と初心者ミュージシャンの為の「秘密基地」を岡山駅から徒歩10分の場所に設立。音楽スキルアップしていただいてたり、人間関係が辛い方の暇つぶしや逃げ場所として利用して貰ってます。音楽コンテスト受賞経験有。ブログは毎日更新。 ホームページは「イジメ克服ミュージシャン wix」で検索可能。

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