先日、両親学級で講師を務めてきた。もうまもなくパパ・ママになる30組の人たちを前にして、これだけは知ってほしい、考えてほしいという思いを伝えた。

その中で特に伝えたかったことを抜粋してみたい。

自分は誰のために生きるのか

まず「この人生は誰のための人生か」ということ。
プレパパ・プレママたちにこんな質問をしてみた。

「この中で、自分の人生は自分のためのものだと思っている人はいますか?」

すると、手が挙がったのが3分の1ほど、それもちょっと躊躇しながら手を挙げる人がほとんどだった。

続いて、こんな質問をした。

「では、子どもの人生は子どものためのものだと思う人はいますか?」

すると今度は、先ほどとは違いほぼすべての人が「当然」というように手を挙げた。

「子どもには自分のために生きてと言っておきながら、親は自分のために生きてはいけないのでしょうか?」

いやいや、そんなことはないはず。自分の人生は自分のための人生であるべき。

「しかし、忘れてはならないのが、『自分のためだけの人生』ではないということです。」

つまり、自分の人生とは、自分のための人生であると同時に、生まれてくる子どものためのものであり、一緒に子育てをするパートナーのためのものである、という感覚が大事なのだ。

また反対に、「自分の人生は子どものためだけのものではない」ということ。それはエゴに過ぎない。子どもの人生の選択権はあくまでも子ども側にある。それを捻じ曲げようとすると、子どもの心の成長を阻害させることになりかねない。

2人だけの間にやっておくべきこと

子どもができてしまうと、子ども中心の生活になってしまい、夫婦でゆっくりと話し合う時間もなくなってしまう。だからこそ、子どもが生まれる前の2人だけのときに話し合えることはどんどん話し合うことが大事。
「話しすぎるということはありません。」

まずは、子どもができた後の働き方をどうするのかということ。
「長時間労働で忙しい男性がまだまだ多い状況です。果たして忙しいままでいいのでしょうか?それではダメだとしたら何かしらの手を打っておくべきだと思います。」

会社を説得して子育てへの関わりを増やすために残業をセーブしたりするようにすることも一案。場合によっては、いまの会社を諦めて転職するという選択もあるかもしれない。産後の夫婦の方向性は、産前にどんな話し合いをしたのかが1つのカギとなる。

その働き方の見直しのきっかけとして、パパが育児休業を取得することは重要。

「法律上、会社には1か月前に育児休業を取得する申し出を行わなければならないため、1月に生まれるカップルが多い今回の両親学級の中でこの提案はギリギリのラインですが、その効用は働き方の見直しに止まりません。」

「妊娠・出産というイベントを経ない男性にとって、育児休業を取得することにより、子どもの成長を間近で見ることができます。間近にみることで、子どもへの愛情を膨らませ、父親としての自覚を芽生えさせる効果もあります。さらに、2人目、3人目を考えている場合は、パパが上の子の面倒をみることで、ママは生まれてきたばかりの子どもの面倒をしっかりとみることもできます。特に、出産後ホルモンバランスも不安定になる中で、ママだけが子育てをするのはリスクが大きいということを知ってほしい。パパが子育ての大変さを理解し、夫婦のパートナーシップを高める効果もあります。」

父子旅行をすること

働き方の見直しができたとしても、明日から残業がゼロになり、年休がバンバン取れるようになるのは難しい。

「そこで、提案しているのが父子旅行です。休みのときに、子どもとの時間を増やすことで、父子の絆も深まります。」

旅行とは言え、いきなり1泊2日の旅行をするわけではない。最初は、近場で30分でもいい。ママもパパだけに任せることに最初は不安を覚えるかもしれないが、その30分無事に帰ってくれば不安は次第に解消されていくはず。

パパにとっては、普段ママがいると頼ってしまいがちなことが、全部自分が引き受けなければならなくなるので、その分子育てのスキルも上がる。

「ミルクを飲ませたり、おむつを交換したり、そして、子どものあやし方や子どもとの遊び方を父子旅行の中で学んでいくことができます。」

「そして、ママにとっても、父子旅行の時間はリフレッシュの時間にできます。」
美容院、買い物、たまっていた家事などもあるかもしれないが、自分の心に余裕を生む時間にもなる。

子育てという張り詰めた時間から解放され、自分を見つめ直すこともできる。話は戻るが「自分のための人生」に立ち戻り、自分がやりたかったことは何かを振り返ることもできるだろう。その時間が充実することで、子育てに対するメリハリが生まれ、子育てもより楽しくなっていく。

父子旅行も1時間、2時間、3時間と増やしていき、最終的には1泊2日の旅行ができるようになれば、パパも子育てへの自信がつき、ママの負担感も減っていくはず。

子育ては楽しいけど、しんどい。しんどいけど、楽しい。ママだけではなく、パパもその境地に達することができたら、パートナーとしての意識も高まる。

「自分は3児のひとり親だけど、夫婦で子育ての話をしなくてもいいので、揉め事もないという点では実は楽です。けど、全部自分で引き受けなければならないのはめちゃくちゃしんどい。絶対に2人でやったほうがいいと思いますが、さぁ、皆さんはどっちを選びますか?」

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吉田 大樹(よしだ ひろき)
労働・子育てジャーナリスト

1977年7月 東京生まれ。札幌育ち。現在は埼玉県鴻巣市在住。
2003年3月 日本大学大学院法学研究科政治学専攻修了(政治哲学)
2003年4月~12年6月「労働安全衛生広報」「労働基準広報」(労働調査会発行)記者。労働関係の専門誌記者として、ワーク・ライフ・バランスや産業保健(過重労働・メンタルヘルスなど)の問題を精力的に取材。働き方や生き方の変革を訴える。
2012年7月 NPO法人ファザーリング・ジャパン代表理事(~14年6月)
2015年4月 鴻巣市立コミュニティふれあいセンター・センター長
2015年4月 グリーンパパプロジェクト設立

<これまでの公職(現職含む)>
・内閣府「子ども・子育て会議」委員
・厚生労働省「子どもの預かりサービスの在り方に関する専門委員会」委員
・厚生労働省「イクメンプロジェクト推進委員会」メンバー
・鴻巣市「男女共同参画審議会」委員
・経済財政諮問会議「今後の経済財政動向等についての点検会合」有識者

著書に「パパの働き方が社会を変える!」(労働調査会)

3児(03年長男、06年長女、08年次男)のシングルファーザー

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