「ブルジョア階級を勘違いしていた16歳の少女秋風の物語」

2015年11月30日(月)テーマ:小説2


秋風は16歳の少女で石原は17歳の進学校のエースだ。

石原は医者を目指していてその未来も確約された少年だった。

秋風は天才少年エスの住む工場街の暮らしと演奏のドサ周りを終えて聊か疲れが溜まっていたが、

いつでもどこでもギターさえあれば人前で歌える技術と自信を身につけて一回り成長していた。

石原に誘われて家に行ったが秋風は度重なる大道芸ですっかり怖気づかない人間になっている。

怖気づくというのは時間に余裕のある人間ができることだと秋風は思った。

エスについていくのに必死で状況を見まわす余裕がなかったのだ。

最近の秋風は自信に満ち溢れている。

石原の豪華な白い部屋で秋風は石原と向き合った。ふたり切りになるのは初めてだった。


高級なティーカップで紅茶が出てケーキが用意されていた・・。

石原が買っておいてくれたのかな?と思い、秋風はラグジュアリーな気分になった。

石原は高層マンションの15階に5歳年上の姉と暮らしていた。

ついこの間まで工場街のエスの家でふりかけご飯や即席ラーメンを食べていた日々が嘘のようで

おまけに裸足でステージに出され貧乏少女にされた日々が嘘のようで秋風はいつも石原に注意されていたように背筋を伸ばした。

確かに石原は姿勢がいいと秋風は思った。

「どーぞ」 石原は紳士的にケーキを秋風に出して自分の分もおいた。

テーブルは白い大理石でできている。

その美しいテーブルの前にいる石原はいつもと違って貴公子に秋風からは見えた。

銀色の洒落たランプが輝いている。

石原はふたりきりだととても優しいので秋風は安心してきた。

石原はエスが学校にこなくなったことはまったく気にしておらずとても幸せそうだった。

「え~と以前わたしは石原さんにうちのことを聞かれて、ブルジョアです!!と

言ったんだけど金持ちっていう意味ではなくフランスでいうところの中産階級って意味だったんですよね!!」と

秋風は気にしてたことを述べた。

「あ~わかってるよ!たぶんそういう意味で言ったと僕は思ったから!つまり日本が間違えた使い方をしてるんだよね?例えばゴールデンウィークみたいに・・そんなウィークはアメリカにはないから」と石原は言い、

秋風はよかったなと思った。

「そうか!!それならいいけど!!」秋風はなるたけ上品に紅茶を飲みながら石原に微笑んだ。


自分はこの場にふさわしく清楚でありたいと秋風は思った。

「僕は秋風の言おうとしてる事とか実は湯川くんよりわかってると思うよ」と石原は言った。

「それに毎日、エスに描いてくる日記が僕にはなにより楽しみだったからさ!!すごく面白いと思ったよ!!」と

秋風のエスへの返信の漫画を褒めてくれたので秋風は嬉しくなった。

「エスより数段うまいよな!描いてる物が綺麗だ!!!エスとは違って!!」と石原がいうので秋風は嬉しくなってケーキを食べた。

「美味しい」秋風が笑うと石原もケーキを食べた。

「秋風?・・なんか?困ったことな~ぃ?」石原は聞いた。

困ったこと?困ったこと・・???秋風は考えた。秋風はは置いてあるスヌーピーの白いバックからクリア数学を出した・。

最近の湯川くんには教える気がないのでレベル2がわからないのだ。

この時・・官僚の息子の本山がカバンを地べたに置いてはいけないとアドバイスしてくれたことをありがたく思った。

ここで役に立ったのだ。秋風のカバンはそれから一度も地べたに置かれることはなく
石原の家の綺麗なジュータンを汚す事もなかった。



クリア数学はオレンジと青のツートンだ・・。

教科書の問題で30点、クリア数学の第1関門で、60・70点第2関門で100点取れるテストなのだが・・途中の数式を自分で考えないと点をくれない。

教科書ガイドを丸暗記した回答には10点中5点しかもらえなかった。

「困ったことってクリア数学?湯川くんはいないの?」と石原は言った。

「湯川くんは最近、数学どころじゃないんですよね。気になることがあるみたいで」と

秋風がいうと「エスのことじゃないのかな?」と石原は言った。

「え~と!これとこれだけでいいです!たぶんここが出るから」と秋風がいうと、

石原はルーズリーフをすっと出してとても綺麗な字でスラスラと分かりやすく、問題を解いてる・・凄く分かりやすく数字が並んでる。

「ありがとーございます」秋風がいうと石原はとてもわかりやすく解説してくれた。

「じゃ~自分でできるか?解いてみて!」と石原はルーズリーフの向きを変えて秋風が考えながら解説して仕上げるという方法を取っており、凄くわかりやすかった。

クリア数学2問はあっという間に終わった。「あ~助かりましたぁー」秋風はクリア数学とルーズリーフをスヌーピーのカバンにしまった。

「それで本当に困ったことわ??」と石原はまた聞いた。

いつもより優しい顔だった。

「ん~ないですね!!他は困ってないですもん」と秋風は笑った。


心は充実感で満ちていた。せっかくうまくなったのに!歌もギターも一生懸命やったのに今度は充実感で締め括りたい!!エスの手を離れてと秋風は思った。

「じゃーいくつか僕から質問があるから」と石原は秋風をソファーに誘導した。

「これから質問する事に僕の目は見ないでいいからハイか?イイエで答えてね!!満点取ってよ」と石原は秋風を軽く抱きしめた。


「いい?聞くよ!!」「エスのことが好き?」


「いいえ!」秋風は石原の胸の中で答えた。


「湯川くんのことが好き?」


「ハイ!!」秋風は答えた。


石原は大きくため息をついた。


「じゃ~僕のことが好き?」


「ハイ!!」秋風は素直に答えた。


「全問正解!!」石原は秋風を放してとても優しく笑った。


「エスは間違ってるよな!!」と石原は誰にともなく言った。


「湯川くんのどこが好きなの?」と石原は聞いた。


秋風は湯川くんの事を考えてニヤけて来た。「う~ん!!かわい~!!」秋風は首を傾げて石原を見た。

「湯川くん?かわい~!!???」石原は噴出した!


「じゃ~僕は?」


と秋風の真似をして石原が同じように首を傾げたので秋風は可笑しくなってゲラゲラ笑った。


「かわい~!!!」


秋風はゲラゲラ笑いながら答えた。


「あ~そう!!どうもありがと~!佐々木はどうでもいいや!!」


そう言って、石原も笑った。


秋風の頭の中には分かりやすく並べられた数式と物凄くよく理解できた満足感が、リズムをつけて踊っていた。

世の中には優しい人しかいないよね!!とその数式が音符になった。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




ブルジョア1.資本家階級の人。俗に、金持。2.ヨーロッパ中世都市の市民のうち、僧・貴族と下層の人民との間の階級をなした、商人・手工業者など。▷ フランス bourgeois

この記事を書いたユーザー

愛世界 このユーザーの他の記事を見る

こんにちわ 愛世界です。心に止まった事をお届けできたらと思っています。
誰かを忘れられない貴方へというブログをやってます。
http://ameblo.jp/aisekai25/

得意ジャンル
  • おでかけ
  • 育児
  • 料理
  • テレビ
  • エンタメ
  • コラム
  • おもしろ

権利侵害申告はこちら