「自分の不幸を人にふる17歳の天才少年エスの物語」


2015年11月28日(土)テーマ:小説2


 秋風は16歳の少女でエスは17歳の天才少年だ。

秋風はエスの指導の元ギターの弾き語りを始めて忠実に指導を守って行き、あっと言う間に旨くなり、ドサ周りの一員になった。

エスも秋風も進学校の生徒だったがエスは奇怪な天才少年で生徒会長だった。


修行を始めて三か月が経ち演奏がうまくなった秋風には自信がついてきた。

言われるがままに知らない場所にいく。


お客は真っ暗で見えなかった。


季節は初夏で秋風は半そでのシャツに制服のスカートだった。


「秋風!靴を脱いで裸足でいけ」とエスは言った。

いつも言われるがままであったため秋風は疑問もなく従う。裸足の演奏はわりと涼しいし、演奏しやすいなと秋風は思った。


ある日秋風は好奇の眼で見てくる4.5人の青年に囲まれた。

秋風はそれを怖く思った。

「何怖がってるんだよ」とエスは嬉しそうだった。

ふたりきりになると、「みんな秋風が好きってことだろ?!!湯川くんなんかやめてはやく誰かと付き合ってみろよ!」とエスはチラシをよこした。


・・そのチラシには秋風の写真が白黒でみすぼらしく印刷されていて裸足でギターを弾いてた。

真っ暗な場所で歌ってる自分は客席からはこんなに惨めに映っていることに秋風はショックを受けた。


「やだよ!こんなの!それにもっとやだよ!あんな気持ち悪い奴ら・・・」秋風には今のところ救いはエスだけになった。


エスは不気味に笑うだけだ。


「秋風?世の中は9割の頭が悪くて気持ち悪い人間で満ちているんだ」とエスは言った。

「人を馬鹿にすることはとてもよくないことだろ?!」とエスはいうが好奇の眼で見られたことが秋風はいやだったのだ。


ふたりで言葉もないままエスの部屋にいつものように上がった。

秋風に渡されたエスの楽譜は音符が棒で読みにくく字は譜面に沿ってひらがなだったため歌を短期間で仕上げるのに必死で、何を歌っているのか?気づかないまま時が流れていたのだ。


「みんながわたしを可愛そうっていう同情の眼でみたよ」秋風はギターをおいてエスに言った。

「普通あれだけの人に囲まれて人気が出たと歓ぶところだ」とエスは言った。


秋風にはそれがまったく嬉しくなかった。一枚一枚エスに歌わされた楽曲のひらがなが何を表現してるのか?と考えて読み進めて行った。漢字にして情景を浮かべたのだ。秋風は気がつぃた!これはおそらくエスの事だ。

「これは自分の事だろ!自分で歌えよ!」と秋風は言った。

「いや!僕のことではない。僕は親に捨てられてひとりで生きるためにそれを隠してヒーローになるために空き缶は拾わないから」と内容が一番よくわかる部分を瞬時に出して来た。


「ほら自分のことじゃないか?まさにそこだよ!じゃ~!なんで?すぐわかんだよ!」と秋風がいうとエスはまだ不気味に笑ってる。


「僕のことじゃないよ!!だって秋風が歌ってくれたじゃないか?」とエスは言う。

秋風は怖くなって固唾をのんだ。

「エス!わたしもう歌わないよ!こんな歌は歌いたくない」と秋風は言った。


「言っとくけど秋風の童謡みたいなつまんない曲じゃ誰も歌わせてはくれないからな!」とエスは秋風に顔を近づけて笑っている。

秋風は怖がるのをやめた。

東大に受かるためにセコセコ人参を食べるうさぎにされた佐々木の気持ちがやっと!わかった。

「卑怯者!!自分の歌のくせに!!いっとくけどわたしには親はいる!お金もある・・それにあんな奴らに好かれたくない・・・・わたしは湯川くんと結婚するんだ」と秋風は言った。

「湯川くん・・・・・・」エスはその時だけ穏やかに笑った。

「エスは自分の不幸を人に背負わせて気持ちよくなっていい気なもんだな!!国男が言ってた!人を売るってこういうことかよ!よくわかったわ!!」

と秋風がいうとエスは白い歯をむき出しにして笑うが髪の毛が不健康に起毛するのが秋風には分かった。

「ひょっとして東大に行きたくてうさぎみたいにニンジンかじってキョロキョロキョロキョロして人を突き落そうとしてるのはエスなんじゃないのか?佐々木はそんな奴じゃないよ!」と秋風がエスから視線を反らさずに言うと。

「もう秋風は明日からは歌えないよ!!!!ただのお客だ!」とエスは言った。お客はつまらないが、同情される歌も歌いたくはないと秋風は思った。

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