中年男のような17歳の天才少年エスの物語

2015年11月27日(金)テーマ:小説2

17歳の少年湯川くんは最近元気がない。

秋風16歳と付き合い始めたがその交際は天才少年エスに仕組まれたものだった。

秋風はエスに告白しろとしつこく言われて告白したのだ。

16歳の秋風はエスの指導でドサ周りを始めた。

秋風はそれが嫌ではなかった。

時々は皆川さんという中年の車で電車の時もあったし秋風はいつも後部座席の窓際に座った。


ただついて行って言われた通り出て行って演奏して帰るだけだったし、会場がまっ暗なのでお客がほとんど見えなかった。

しかし暫くすると秋風は見知らぬ街に辟易してきた。

「ね~エス?ここどこだよ?!」秋風がそう聞くと

「ここは熊谷だよ!」とエスはいう!熊谷ってどの辺なんだろう?と秋風は思った。

「その先は高崎だよ!」とエスは言い。

「群馬?埼玉?どっち?」と秋風が聞くと

「そんなの地理のテストにでねぇよ!交通費自分で出してないんだから関係ねぇだろ!言われた通り演奏してればいいんだよ!」とエスは言った。


「ねえ?エス?ここはどこ!」

「川口だよ!」「川口じゃないよ!川口からだいぶきたよ!!」と秋風はエスにいうがエスはそのうち詳しくは答えなくなった。


オートレース場があってその付近にエスの知り合いがいるのだが「ここは鳩ケ谷だよ」とエスは言う。

さっき川口って言っただろ!と思ったが鳩ケ谷はどうやら豆粒ほどの場所らしいのだ。

秋風にとっては、川口はどこまで行っても川口だった。

そして時折、鳩ケ谷なのだ。

鳩ケ谷には青いチェックのズボンを履いた高校生がいつもいて髪が金髪だった。

その高校生がいつもエスのところにくるようになり年は秋風と同じ年だった。

「国男っていうんだ!!ロサンゼルスから戻ったばかりで頭が悪いから行くところがないんだ!」と

エスは爆笑してたがその少年はエスをまったく怒らない。

秋風にはエスにバカにされて激怒する佐々木の方が普通の人間に見えた。

それにロサンゼルス帰りなのに国男って変だなと秋風は思った。

「ロサンゼルスから帰ったせめてマイケルくらいにはならないと」というと国男は嘘か本当か?


「僕は国田国男です!」と言って、秋風は爆笑した。



この国男はこの数年後エスのお金を奪って再びアメリカに逃亡した。

「エスさん?この子をまたどこかに売り飛ばす気ですか?」と青いチェックの金髪の国男は言った。

エスは歯の隙間からツバをタラして笑っている。

「うるせぇな!!これでも大事にしてるんだ。まだBGM程度の歌しか歌えねぇけどな!」とエスは笑っていた。

秋風は力みすぎるエスの歌をうまいとは思わなかったがエスのおかげでこうして演奏できるのでまだ逆らうのはやめようと思った。

歌いたくなくなったらエスから逃げればいいのだ。

もう少し歌おうと秋風は思った。

秋風はハンマーリングやアルペジオの16連符をピックで弾けるまでに成長していた。

最後はエスを抜いてやる!このクソ!ジジい!と思ったのでまったく頭にこなかったのだ!

それにこうしていられるのもエスのおかげであるということを秋風が忘れてはいなかったのだ。


季節は春から夏にもうすぐ変わろうとしていた。

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