吃音で悩んでいる方の中には、吃音が恥ずかしくて、隠し続けている方が少なくないと思います。吃音は外見からでは分からないし、本人が隠そうと思えば不可能ではないからです。

私も、不完全ながらも今まで吃音を誤魔化して過ごしてきました。隠すことで自分が普通の人に紛れて楽しく会話をしている気分になれるし、何より友人などに自分が吃音だということを知られるのが恥ずかしかったからです。

しかし、吃音を隠すあまり、相談する相手が一人もいないという状況は、必要以上に心に負担がかかっています。そのことに気付かされた話をしようと思います。

吃音による劣等感

吃音、どもり、それが私の悩みになったのは小学生の頃です。今思い返せば、まだ幼いながらに自分は会話が得意ではないという感情を持っていたように思いますが、特に友人に「言葉がつっかえるよね」と指摘されたことから、私は吃音を意識するようになりました。

自分でも言葉がつっかえることは分かっていましたが、いざ友人に指摘されると途端にとても恥ずかしくなったのです。

自分は人とは違う、変、そう思うと言いようのない劣等感に襲われました。

幸い、小学生の頃の私は活発で友達もそれなりに多くて明るいキャラクターだったので、吃音が原因でいじめられたり悪口を言われたりすることはありませんでした。

小学生の頃は、自分の吃音を理解しながらも、まだ思考が追いつかないせいかそんなに卑屈になることはありませんでした。

しかし、中学生になる頃には自分とみんなの違いを意識するようになり、自分がみんなと違って上手く喋れないということを、はっきりコンプレックスだと認識しました。

どもる自分への怒り

私は早口で喋る癖があり、ずっと親に「ゆっくり喋りなさい」と言われてきました。早口が吃音を引き起こしやすいからです。しかし今でも早口で喋る癖は治らず、ゆっくり喋ろうと思っていても、感情が高ぶっている時などはつい早口になってしまいます。

どれだけ興奮していてもまずは落ち着いて喋ろう、と心がけてはいました。しかし、心がけてはいたものの、自分を抑えきれなかったことも多々あります。

私はバスケットボール部に所属していたのですが、試合で興奮して、友人に伝えようとした時に、とても早口で

「あ、あ、あ、あのパスが」

と、誰が聞いても明らかなくらいどもってしまいました。

私は、しまった..と思いました。

私の話を聞いていたチームメイトたちは苦笑いで顔を見合わせていました。とてもとても恥ずかしかったです。私は、失敗したと思いました。

どうして自分のことなのに自分でコントロールできないんだろう、と落ち込みました。落ち込むと同時に、つい我を忘れて落ち着かないまま喋り始めてしまった自分への怒りも生まれました。

それまでは失敗しちゃったな、と落ち込むだけだったのですが、失敗する自分に対してイライラしてしまうようになりました。

感情の高ぶりが原因の早口での失敗は多くありますが、この時がきっと一番恥ずかしかったのだと思います。本当に恥ずかしくて、その時のショックは今でも鮮明に覚えているくらいです。

吃音によるストレス

吃音のせいで恥ずかしい思いをした経験はとても多くて、恥ずかしい思いをする度に、次はどもる前に言葉を言い換えよう、落ち着いて喋ろう、と心に決めます。しかしどれだけ気をつけても吃音は出てしまいます。

特に言い換えのきかない固有名詞をつっかかった喉から無理矢理声に出そうとすると100%どもります。

友達と会話をしていて「あれって何だっけ?」と聞かれた時に、その答えが頭で分かっていても声に出すとつっかかってしまうと思った時は、「私も忘れちゃった」と言って誤魔化したりします。

自分から話し始めておいて物の名前や人物の名前などが上手く言えない時は「あれなんだっけ?」と言い、忘れてしまったふりをします。

大したことないことのように思えますが、これが積み重なると結構なストレスになり、なんで私はスラスラ喋れないの?思ったことが言えないの?と卑屈になってしまったこともあります。

こうした経験から、あまり自分から喋ろうとしなくなりました。面白い体験をしたことを伝えようとしても、一番伝えたいオチで言葉が出てこないからです。

頭の中では話の組み立てができていてあとは声に出すだけなのに、それができません。吃音のせいで話すことが苦手だと自覚があるから、必ずしも発言する必要のない場面で余計なことを言ってどもりたくないと思い、口数が減ってしまいました。

また、ずっとこのままなのかと思うと余計に気持ちが暗くなりました。社会人になると、初対面の相手や目上の人と話さなければならないことが多くなると思います。そんな時に緊張してしまって話せなくなってしまったらどうしよう、などと考えると不安でたまらなくなりました。

吃音と接客業

私は高校一年生の頃からアルバイトを始めました。働かなければならないわけではなかったのですが、自分の趣味のために使うお金を稼ぎたかったのです。

そのアルバイト選びでも色々と悩みました。やはり高校生のアルバイトは飲食店での接客業がメジャーだと思ったのですが、吃音持ちとして、接客業は出来るだけ避けたかったのです。

しかし、もっと内職的な仕事を探したのですが見つからず、結局は自宅から自転車で10分もかからないところにある飲食店で働くことになりました。

面接はとても緊張しました。面接の緊張ではなく、言葉が自然に出るかの緊張です。実際、言葉が出てこなくなる場面もありましたが、何とか上手く凌ぐことができました。

飲食店で働いてみて、初めて気がついたことがあります。「いらっしゃいませ」や「ご注文はお決まりですか?」など決まり文句がとても多いのですが、その決まり文句が自然に口から出るようになったのです。

お客さんが来たら「いらっしゃいませ」。呼ばれたら「失礼します」。メニューの提供時には「お待たせいたしました」。

驚くことに、条件反射のようになりました。とても衝撃的でした。おかげで、それなりに飲食店の接客業は勤まりました。しかし、いつもマニュアル通りなわけではありません。ちょっと変則的な対応を迫られると、やはり上手く喋れないこともありました。

こんなこともあり、時々心が折れそうになりましたが、せっかく慣れた仕事なので高校生の間はその仕事を続けました。

written by riorin.

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