人には過去という物がつきものだ。


16歳の少女秋風にはエスは無礼な天才少年でも昔は町で有名な


超人だったりして。


そうそう17歳の天才少年エスのお話。


秋風はエスの住む工場街にもすっかり慣れて


エスは秋風の日常になっていた。


するとある日の学校での午後、物凄く怖い顔の女が秋風の前に現れた。球形の玉子というあだ名の少女だった。


しょっぱなから文句を言われるのは何年振りだろうか?

いや初めてかも知れないと秋風は思った。


「オイ!!てめぇ!!エス先輩は中学の時


頭いいしかっこいいし有名だったんだぞ!!覚えておけ


この野郎!!」と秋風にケリを入れて玉子は帰った。


秋風は呆然とした。


頭よくてかっこい~???????まさかエスがと秋風は思った。頭が可笑しくて変態だろ?と秋風はエスの事を思った。

女とは怖い生き物だ。秋風は十分に知っていた。


しかし、秋風はもう工場街の一員になっていて


その女の怒鳴り込みをあまり気にしてはいなかった。

工場街が秋風を癒してくれたのだ。


怒鳴り込まれたことはエスには言わなかったが


やっぱり中学の時は特別な存在だったのだろうな?という目で


秋風はエスをしみじみみた。エスはいつもと変わらない。


秋風はエスの中学時代を一生懸命想像したがどうしても頭良くてかっこい~は想像ができなかった。


ある土曜日の夜遅くまでエスの家にいるとエスの父親らしき人が


帰ってきた。秋風は玉子に怒鳴り込まれた事で聊か落ち込んでいて


エスの家にいた方が落ち着いたのだ。


エスの父親は、わりと洒落たジャケットを着ていて


エスよりも数段いい男だった。

エスは帰って来た父親に得意気な顔をした。


父親は秋風に少し驚いた顔をした。


「お父さん?!!咲子じゃないよ!!この子は」エスは笑った。


「あ~わかってる!でも一瞬びっくりしたよ!!」父親はとても淋しそうな顔をして笑った。


「咲子は僕の妹ね」とエスは秋風に説明した。


秋風はこの父親は気の毒だなと思った。


「いつもエスさんにはお世話になってます。中川路秋風です」と秋風は挨拶した。


エスの妹は離婚した母親と表参道で暮らしている。

この父親は何年娘に会ってないのだろうか?と秋風は思った。


秋風はエスの家族を見て会わないならこんな風にずっと会わない方が幸せな気がした。


中途半端に会って親父づらされる方がよっぽど迷惑な話じゃないかと


秋風は思ったのだ。エスの父親は東大の工学部を出て土方をやってるらしい。

前にエスが教えてくれたのだ。



「東大を出て土方?」エスに秋風は聞いた。

エスの家にはいつもドカジャンがあるけど


父親はドカジャンは着ていなかった。秋風は世の中にはいろんな仕事があるもんだなと思った。

こうして親が現れるとエスは普通の少年で


普通の優等生に見える。


父親も秋風をエスの恋人には見なかった。


「なんだ!エス!妹ができたのか?よかったな!!」エスの父親はそう言って笑った。


父親が出てくるとエスは頭がよくてかっこよく見える。まったく得体の知れない可笑しな人間ではなくて普通の少年なのだ。昔はこの家族は幸せだったんだろうなと秋風は思った。


だから地元の少女玉子には頭がよくてかっこよく見えたのだ!秋風は確信した。


人にはいろんな過去があるもんだなと秋風は思った。

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