みなさん、笑い話の『おバカな太郎君』を知っていますか?
筆者は小学生の頃お友達から聞いたのですが、どうやらタイトルも話の内容も微妙に違いはあれど、本筋は同じ太郎君の話は小噺として結構有名なようです。

ここでは筆者の知っている太郎君のお話を紹介しますね。

『おバカな太郎くん』

あるところにとてもおバカな太郎君という小学生の男の子がいました。
太郎くんは、本当にバカなので、毎日先生に怒られていました。
今日も帰りの会で先生が怒りながら太郎君にこう言いました。
「太郎くん、明日も宿題をやってこなかったら、お仕置きですよ!必ずやってきなさい!」

太郎君は今日こそ宿題をやろうと思い、家に帰ってさっそく宿題を開きました。
しかし、太郎君はやはりバカなので、さっそく1問目からわかりませんでした。

そこで太郎君はお母さんに聞くことにしました。
ところが、お母さんは家事に忙しく、

「うるさいわね!」

と言いました。
太郎くんはそのまま宿題に「うるさいわね」と書きました。

次に太郎君はお兄さんに聞きに行きました。
お兄さんはお友達とキャンプに行く話を電話でしていたので、太郎君を無視していました。そして「バイクで行くぜ!」と言いました。
太郎君は宿題に「バイクで行くぜ」と書きました。

次に太郎君はバカなので、自分よりも年下の妹に聞きに行きました。
妹も絵本に夢中で太郎君を無視していました。そしてはしゃいで「お城だー!と言いました。
太郎君は同じく宿題に「お城だ」と書きました。

次に太郎君はおばあちゃんに聞きに行きました。
おばあちゃんは耳が遠いので、本当は太郎君が何を言っているのか全くわかっていませんでしたが、テキトーに「そうですねぇ。そうですねぇ。」と言いました。


次の日・・・

太郎君は自信満々で宿題を学校へ持っていきました。
先生が、「太郎君宿題はやってきましたか?」ときくので、太郎君は元気よく、一問目の答えを言いました。

太郎君:「うるさいわね」

怒った先生は「なんですか、その態度は!出ていきなさい!」といいました。

太郎君:「バイクで行くぜ」

先生:「あなたここをどこだと思ってるんですか!」

太郎君:「お城だ」

先生:「あなた・・・バカなんじゃないの?」

太郎君:「そうですねえ。そうですねえ。」

【終わり】

笑い話はこれで終わりです。

この話を聞いた当時、筆者は小学生でしたので、「バカ」というフレーズや「無視されている」等聞くと、大爆笑でした。

たしかに面白い話ですね。

ですが折角今教育者として大人になったのですから、教育者の視点で分析してみますね。

太郎君はなぜおバカと認定されてしまう小学生になってしまったのか

この話では太郎君が何年生で何の教科の宿題を出されたのかわかりませんでしたが、太郎君がある一定の期間、「お勉強が出来ない子」というイメージを持たれるほど、宿題をやっていないことがわかります。しかし、先生に注意されて、太郎君は宿題をやろうと決意し、実際にやってきたのですから、怠け者ではないことがわかります。

太郎君は勉強ができないのか?
宿題をやろうとして、1問目からわからなかったとありました。
しかしそこであきらめたり、サボろうとせずに、お母さんに聞いたところが偉いですね。

ただ、お母さんが『忙しそうだ』と悟れない所や、「うるさいわね」という言葉を宿題の答えだと思ってしまうところは、そうとう学習能力に問題があると思われます。
もしかしたら、本当に元からお勉強が苦手かもしれません。

しかしながら、忙しかったとはいえ、息子が宿題について質問してきた時に「今忙しいからあとでね」と返答したり、時間ができたときに「さっきの宿題できたの?」と確認しない母親には問題があります。また、お兄さん、妹、おばあさんまでもが太郎君を無視しているところをみると、家族全員が太郎君をテキトーにあしらう事を日常的に行っていると思われます。

無視、または放っておかれると子供はどうなるのでしょう?
様々な反応はありますが、大まかに分けると下記のように育つ場合が多いです。

①自分でよく周りを観察し、周りがやっている事を真似て、大概のことは一人でできるようになる。
②孤独を感じやすくなり、幼稚で癇癪もちになる
③何も考えず、常にぼーっと自分の独特の世界に入り込んでしまう。

①の子供のように自分から自然と色々学んでくれるとありがたいですが、このタイプは一人っ子、友達がたくさんいる、年の離れた幼い兄弟がいる、または親以外の人を信頼しているパターンが多いです。

放っておかれている理由をちゃんと理解していて、孤独を感じていない場合は稀に①のように育ちます。例えば両親が仕事で忙しいが、仕事にかまけているわけではないことをわかっていたり、一人っ子なので他に自分と比較してひがんだりする要素がなかったり、年のはなれた弟を世話することで孤独を感じる暇がなかったり、親自体を好きではなく早く独立したいとおもっている場合です。

②は孤独を感じ、もっと注目してもらいたいという欲求をおさえられず、爆発してしまうような子ですね。ですからとにかく問題をおこします。物を壊したり、お友達をいじめたり、注目を集めたくてしょうがありません。

③は面倒くさがりの子が多いです。自分が何かするととにかく周りが怒るので、何もしない、考えないことが楽になり、現実世界で楽しいことがないので、自分の世界を作り上げ、常に心はそっちの世界に入っています。親が話を聞いてくれず、親から頭ごなしに怒られたりするパターンの子が多いです。

太郎君は元々おっとりタイプのようですが、③の子にあてはまるように思います。

先生は正しい指導者か

残念ながら、教育者としてこの先生は失格です。
まず太郎君が長い間宿題をやってこない事の理由を聞いたり、お母さんに事情を聞いたりしていれば、お母さんが宿題について太郎君から質問された時に「うるさいわね」とは発言していないはずです。(普通のお母さんであればの話ですが)また、太郎君に個人的に宿題をやるように注意しているのではなくクラスみんなの前で頭ごなしに叱っています。

クラスの皆が太郎君についてからかったりしたような記述がないところをみると、もしかしたら先生が日常的に生徒が引くぐらい個人をさらしものにして叱っているのかもしれません。また、宿題をやってきたか確かめた時に「うるさいわね」といわれて、すぐに怒り出したところにこの先生の問題がみえます。

太郎君は男の子です。「うるさいわね」という女性のような言葉遣いにまず違和感をおぼえるか、疑問を感じてほしかったです。そして、すぐに「出ていきなさい」という対処をしたのは太郎君に何がいけなかったのかを全く理解させようとしていません。

ずいぶんとヒステリックな先生ではないかと思ってしまいます。そしてここからは怒りに任せてどんどんヒートアップしてしまっていますね。最後には生徒にむかって「バカ」と発言してしまいました。もうこれでは信頼関係は二度と築けません。

授業の最初に太郎君に宿題をやってきたかをみんなの前で聞くところをみても、この先生は太郎君を嫌っているのではないかと思います。もしかしたら、日常的に皆の前で彼を辱める事が楽しくなっているかもしれません。彼をいじめることしか頭にないので、彼の普段の性格や良い所を把握していないのでしょう。太郎君の事を理解している先生であれば「うるさいわね」と言われた時に「太郎君は何かを勘違いしているかもしれない」とすぐにわかるはずです。そして、彼のやってきた宿題を手にとり、彼の勘違いに気づいたことでしょう。

太郎君はどうしたらお勉強が出来るようになるのか

前述の通りならば、太郎君が抱えている問題は山ほどあります。
ここで、塾長を務める筆者ならばどうするかを考えてみました。
(この場合はあくまで筆者が塾長ではなく学校の先生の立場でかつ、今の学力の太郎君の担任になったと想定して提案するアイデアではありますが)

家庭環境を把握する

最近ソーシャルワーカーやカウンセラーを常駐している学校も多いようなので、一度その方達と家庭訪問をします。自分一人では絶対に訪問しません。そのほうが客観視できますし、色々な意見を参考にできるからです。百聞は一見にしかず。そして家族構成や、家での太郎君の様子を把握するように努めます。
もし太郎君が家でも一人でぼーっとしていたり、ご家族から無視をされているような状況であれば、その問題点をご家族と相談したり、保護者の反応をみます。

ご家族が児童虐待をおこなっているような場合はもう児童保護施設への連絡をするしかありませんが、ご家族に特別問題が無いようであれば、宿題をみてあげたり、もうちょっと太郎君に注意を払うようにお願いします。今のままでは中学生になった時にもっと大きな問題を抱えることになることをしっかり家族に知らせて、学校と一緒に連携して学力を取り戻すように促します。

次に学校での対処としては、太郎君と沢山話をして、性格を把握します。彼と話をせずに距離を保って観察した時の自分の分析が、実際に話をした時の彼の印象と合っているか考えます。アニメ、ゲーム、食べ物、お笑い、スポーツ等なんでも話題をふって彼がどんな反応をするか観察します。なにが好きかだいたいわかったら、今度はその好きなものについて彼にたくさん質問して、答えてもらいます。

子供が何か問題を抱えているときは8割が孤独を感じていることが原因です。人は一方的に話を聞かされるよりも、自分がたくさん話した方が喜びを感じるようなので、聞き役に徹し、相槌はなるべく太郎君を笑わせるようにします。

例えば太郎君が「サッカーが好き」といったら、「え?サッカ?作家さんが好きなの?又吉?」ぐらいのボケをします。(子供が知っている人やネタでないとだめですよ)

すると、子供は「ちがうよー!」といって笑ってくれますし、今度は本気で「サッカーっていうのはね・・・」とサッカーについて教えてくれようとします。これが大事なんです。

このやりとりで「先生はおもしろい」と思い、警戒心を解いてくれます。そして、先生がボケることで、いい意味で先生を少し見下してくれるんです。自分はお勉強が出来ない、苦手だと信じている子供の多くは、「やればできる」などと先生からいわれると「先生はできるかもしれないけど自分は無理だ」「先生は完璧だから」と思ってしまうので、一切励ましが耳に入りません。少し不完全な先生を見せることで心を許し、自信をつけます。
そしてサッカーについて先生に教えようとする行為は、彼の頭をフルに動かしてくれます。自分の言葉で説明するということはとても難しいので、国語力が養われます。

とにかくボケたおす
サッカーについて説明してくれている間もとにかくボケたおすことが大事です。
太郎君「サッカーっていうのはね、ボールをつかってね・・・」
先生「え?チョコボール?とけちゃうじゃん」
太郎「ちがうよー!」
先生「道具はボールだけでいいの?」
太郎「うん」
先生「じゃあボールだけだから洋服いらないんだ。スッポンポンなの?いやあ~だあ~」
太郎「ちがうよー!服は着るんだよー!」

となります。くだらないでしょう?
これがいいんですよ!テンション的には高田純次さんかザキヤマさんを目指すといいでしょう。筆者は女性なので、こういうことを言い出すと、生徒が余計にビックリして笑ってくれます。ただし、行き過ぎた下品な言動はいけませんよ!

先生と太郎君がこうやって盛り上がっていると、クラスのみんなも加わってきます。そして友達ができます。
「大人や先生は完璧なものなのだ」とおもっている子供達にはテキトーな事ばかりいっている大人が新鮮で、楽しくうつります。そして真似をします。家や塾のお友達等に話して、笑いをとれれば、もっと面白いことを言おうと思い、どんどん頭を使います。

人を笑わせることはかなり頭を使います。

信頼関係ができたら
信頼関係ができたら、太郎君は先生のいうことを受け止めてくれます。
なぜなら太郎君はちょっと先生に憧れだしているからです。
いつも皆を笑わせるような大人になれたらいいな~なんて感じくれているはずです。

高田純次さんやザキヤマさんに憧れる時ありませんか?
本人にはなりたくないけれども、あんな風に生きられたらなーなんてちょっと思いません?

信頼関係ができたら、すこし真面目モードになって、太郎君に正直に今の学力のままでは大変だということを伝えます。そして一緒に頑張ろうと真正面から言います。突然真剣な先生に、子供は自分のことを思ってくれていると、嬉しくなります。
ですから言われた問題をちゃんと解いてこようとがんばってくれます。

そしてやってきた問題の答えが
「うるさいわね」
だったら、笑ってあげましょう。「オカマか!」と突っ込んであげて、そのあとの解説は全部オネエ言葉でしてあげます。

2問目以降も、どういういきさつで「バイクで行くぜ」になったのか爆笑しながら聞いてあげます。お兄さんの事もわかりますし、先生と笑いながら勉強した内容は、笑い話と同じでよく記憶に残ります。

だんだん勉強が好きになって、楽しく取り組んでくれますし、教えるこちら側も叱ったり怒ったりしないで済むので、ストレスがたまりません。

ほめて伸ばす作戦
子供は褒めてあげないと満足感が得られません。例えばテストが60点だったとします。
親は「なんで60点なんだ!」と叱ります。
でも子供は「半分以上も正解した」と思っています。以前からずっと同じ問題を間違えている場合は褒める必要はないですが、(私なら「さすが抜群の安定感だね~」といいますが)初めてチャレンジして間違えた問題は叱らないでください。出来た問題を褒めてあげてください。

簡単な問題しか正解してなくても褒めるところはたくさんあります。「こういう基本の問題を確実に正解することが大事なんだよ。太郎君はそれができてるから先生嬉しいな」と言ってあげます。

その場でほめないといけません。後でほめても子供は覚えていません。褒められた、評価されたという満足感が次へつながる大事なエネルギーなんです。次は先生の為にがんばろうとしてくれますよ。

太郎君に未来はあるのか
あなたは小噺の中に太郎君の良い所をいくつ発見できましたか?

とにかく太郎君は素直です
先生に叱られてふてくされる訳でもなく、自分に失望する訳でもなく、言われた通り宿題をやろうとしました。
お母さんに「うるさいわね」といわれた時に素直にそのセリフを答えとして書きました。
とても素直で良い性格だと思います。

彼は平等です
お母さん、お兄さん、妹、おばあちゃん、皆に一回ずつ聞きました。全部お母さんに聞いて、答えが「うるさいわね」「何度言ったらわかるの」「後にして」「いい加減にしなさい!」になった可能性もあります。でも皆に1回ずつ聞きました。優しいですね。

柔軟です
お母さんの答えやお兄さんの答えを「なにそれ?」「変なの」と思わずに、受け入れてますね。色々な意見を先入観なしに受け止められるピュアな考え方の持ち主なのかもしれません。

堂々としている
太郎君は答えに疑問をもっていなかったかもしれませんが、いつも先生に怒られている子が次の日一番先に答えを言うのは勇気がいります。彼は臆せず、堂々と答えを言いました。緊張して失敗するということがない有利な性格です。

いかがでしょう?もっと探せば彼の良い所はたくさんあるのだと思います。

太郎君に未来はあるのか?その答えは
周りの大人がいかに彼の良い所を見つけて、そこを伸ばしていけるかによると思います

私は彼には万人に平等であるべき心理カウンセラーや、神父様、お坊さん等になってほしいなと思います。太郎君のような人柄の人に「心配ないですよ」と堂々と言われたら安心しそうな気がします。
芸術家もいいですね。彼の感受性からどんな作品が作り出されるのか見てみたいです。
でも案外学校の先生が一番向いているのではないかと想像を膨らせてみたりして☆

長々語ってしまいましたが、この記事が少しでも皆さんの考えるきっかけになれれば嬉しいです。


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猫漫画ブログを掲載していますが、学習塾塾長でもありますのでアート、教育、ペット、等々様々なジャンルに対して執筆していきたいです。

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