今回は、初回で公開した記事の中身をもう少し深く、書きたいと思います。内容が以前のものと重複しているかもしれませんがご理解頂きたいと思います。

太陽系外惑星天文学発展の歴史

太陽以外の星を周回する惑星を対象とする学問分野:太陽系外惑星天文学(以下、系外惑星天文学)は、1995年にペガサス座51番星(51Peg)を周回する惑星(51Peg b)を発見してからヒートアップしました。その惑星は木星型の巨大ガス惑星で、ホットジュピターと呼ばれています。また星から0.02AUしか離れていない軌道をたった4.2日で周回するという想像を絶する姿でした。

これをきっかけにして、ドップラー法と呼ばれる観測手法での発見ラッシュが続き、研究者同士でも驚きが隠せなかったようです。1999年にはトランジット法と呼ばれる、惑星の前面通過時の星の減光現象を検出して惑星の存在を調べる方法でも惑星を捕えることに成功しました。

2000年代に入り、ドップラー法とトランジット法の「併用」によって相次いで惑星が発見されるようになりました。惑星大気の観測から「分光」することで大気の成分や温度まで調べることができます。惑星の質量や半径を推定できるので、惑星の内部構造を調べることもできます。惑星の海洋についても、筆者が独自で見出しました。(参考サイト:個人研究事業 町田系外惑星天文学研究所 http://ieam4358.f5.si/)

2004年にはマイクロレンズ法と呼ばれる、重力の影響による光の屈折を利用した観測手法も導入されました。

一方で、直接撮像でも2013年8月には「第二の木星」を捉えることに成功し、世界を揺るがせました。

ハビタブルゾーンと惑星

筆者は太陽系外惑星天文学の中でも特に、ハビタブル惑星や海洋惑星について研究しています。ハビタブル惑星の説明に入る前に、ハビタブルゾーンについて説明します。

ハビタブルゾーンとは、水が液体で存在し得る星周の領域のことです。具体的には、寒い野外で過ごすことを想像してください。たき火をした場合、無意識的に「暖かい」と感じる場所に集まります。その火元の周りの「温暖な領域」がハビタブルゾーンなのです。

図から分かるように、星の種類によってハビタブルゾーンの位置や範囲も変化します。

一番強調したいことは、「ハビタブルゾーン内の惑星全てが必然的に、海を持っているということではない」のです。太陽のような恒星はたき火の火元(熱源)です。細かく言うと、温度によって水の状態「相」も変わります。水という物質の姿が、気体、液体、固体のいずれかの形として存在するのです。

ハビタブル惑星は、このハビタブルゾーン内を公転し具体的には地球のような液体の水を持った惑星を指しています。自身の研究から、地球以上にハビタブルな惑星は、このハビタブルゾーンの中心付近に存在すると予想されます。

海洋惑星には陸上の生物は存在しない!

観測ではハビタブル惑星や海洋惑星を検出するには技術的に困難であると、早くも予想されています。
海洋惑星は、完全に液体の水で表面が覆われた、「海洋のみの惑星」というイメージです。実は一番調べやすいケプラー衛星のデータを用いた筆者の研究でもその海洋惑星は唯一、あったんです!

専門家の間では現時点では厳密な定義はないですが、自身の研究から、海洋惑星であるためには半径が地球の30倍以上、かつ海洋保有率も402.3倍以上必要であるというとても厳しい条件を満たさないと海洋惑星として認められないのです。

また、海洋惑星には磁場が存在しない、つまり磁場強度が0だと主張している専門家もいます。つまり、磁場があることで外部からの宇宙線などの放射から生物は守られ、結果として陸上へ生物が進出していくという歴史があるのですが、海洋惑星では磁場がないので地球上の生物の進化の過程と真逆の運命を辿ることとなります。

その意味では、「地球が海洋惑星だったら」と思うと、我々がこうして生活できていることもその価値が身に染みるほど分かることでしょう。

おわりに

いかがでしたか?今回は、以前公開した記事をもう少し肉付けして更新しました。

ハビタブル惑星でも、さらなる「海洋」に満ち溢れた海洋惑星でも、共通するのは「水」という宇宙最古の物質です。

一度でも、海洋惑星で泳いでみたいですね!アニメや映画を見るとそう考えてしまいます。我々が水に浸かると心地いいのはまさに、水でできているからなのです。

系外の海を持つ惑星を「天文学」として調べ、「惑星科学」として解釈することが我々の研究です。

惑星表面に「水」が無いか希少でもダメ、逆に多すぎても我々陸上の生物は生活できないのです。そういう意味で、水の量、磁場の問題を含めた惑星環境、本当に地球ばかりがこの宇宙にあるのかという質問にも、正直答えにくい状況でもあります。

今回はやや深く議論してみました。次回をご期待ください。

この記事を書いたユーザー

ちゃき このユーザーの他の記事を見る

天文学者(系外惑星)・理論系外惑星物理者/個人研究事業 町田系外惑星天文学研究所(IEAM)・事業代表責任者(理学修士)。大学院時代の2年間、国立天文台太陽系外惑星探査プロジェクト室に所属。大学院修了後もフリーで研究活動を継続中。得意分野は天文学、特に太陽系外惑星天文学におけるハビタブル惑星及び海洋惑星の研究(研究テーマ:惑星海洋保有関数論)を「惑星と水」をキーワードにして進めている。
参考サイト(個人研究事業 町田系外惑星天文学研究所):http://ieam4358.f5.si/

権利侵害申告はこちら

Spotlightのライターなら1記事最大3000円もらえる!日本最大級メディアでライターデビューのチャンス