20代女子、元看護師の筆者。
日本一の歓楽街とよばれる街の病院に勤めていました。
周りを見渡せば居酒屋、キャバクラ、ラブホテル、風俗が並ぶ夜の街。
そんな街の病院で出会った患者さん達は、愉快でモンスターな人たちばかりでした。

心は若いまま。認知症のおじいちゃんの一言。

認知症とは、年齢などによる脳の機能の低下から思考や記憶に障害を与える病気です。
昔は「痴呆」とか「ボケる。」といった言葉が使われていましたが、現在は「認知症」と言われています。

筆者が出会ったおじいちゃんも認知症があり、自分一人では生活が困難なため施設に入っているような方でした。

歩く、食べるなどの動作は自分でできるものの、点滴をしていたり年齢による指先の感覚の低下があり、手を上手く動かせないため着替えなどは看護師がお手伝いしていました。

パジャマのボタンをとめてあげると「ありがとうなぁ。」などと微笑んで、手招きをするのです。なんだろうと思って口元に耳を近づけると、

「おっぱい見せて。」と一言。

うーん、お若い頃は色々やんちゃしていたのかしら?
「だめです。」と真顔で答えました。

外出させてくれー!ホストの悲痛な叫び

お酒を飲み過ぎて膵臓を悪くしてしまったホストのお兄さん。

このような場合、しばらく食事をやめ膵臓を休ませ、炎症を抑えるための薬を飲んだり点滴をして安静にしてもらいます。

しかし、朝から何故かそわそわと落ち着かない様子のホストさん。
そして、深刻そうな顔で

「看護師さん、外出したいんですが…。」と一言。

食事をしないかわりに24時間点滴を流し続け、身体を休めることが重要なため基本的には外出できません。
こんな状態で何を言ってるのだろうかと、一瞬固まってしまった筆者。

よくよく話を聞いてみると、入院したことでお店に出勤できず、これ以上休んでしまうと職を失ってしまうので一度お店に相談に行きたいとのことなのです。

とはいえ、点滴台をガラガラ押しながら街をウロウロはできませんし、外で飲み食いして更に身体を悪くしたりする場合もありますので、簡単には許可できません。

「お願いしますよ。これ頼めるの、けいじゅさん(筆者)しかいないんですよ!ほかの看護師さんには、だめって言われるし。ほんとに困るんです!!」とホストさん。

ホストのお兄さんに捕まってしまい、ほかの患者さんの検温にいくこともできなかったため、半分呆れながらドクターに相談。

外で飲み食いはせず外出時間も2-3時間以内、帰ってきたら点滴を再開することを条件に外出許可となりました。

そして、なんとかお仕事は続けられることになったそうです。
お酒飲み過ぎちゃだめだよー。

退院前日の夜。お別れの挨拶でびっくりな一言!

糖尿病によって血糖値が上がってしまったために入院をした男性。
糖尿病とは膵臓から分泌されるインスリンが減ってしまうことで、血糖値のコントロールができなくなり、様々な合併症を引き起こす病気です。

入院当初から担当になることが多く、よく世間話をしたり、時には入院中の不満や不安を聞くこともある患者さんでした。

食事療法や薬によって血糖値も下がり経過も良好であったため、退院することになりました。

退院前日の夜、消灯前にお別れの挨拶をしにいきました。
元気になって良かったですね、お大事にしてくださいね、などと話していたら

「けいじゅさん(筆者)、お世話になったしこの後飲みにいきましょう!なんとかごまかして、俺外に出ますから!!」と言いだしたのです。

一瞬ぽかーんな筆者。
しかし、せっかく食事療法などで血糖値が落ち着いたのに、夜に無断外出して飲みに行って血糖値が高くなったら、退院は延期になるでしょう。

しばらく丁重にお断りし続けましたが、「そんなこと言わないで、食事にいきましょう!」と言い続ける患者さん。最初はやんわりお断りしましたが、あまりの押しに耐えきれず、

「血糖値が上がるし、外で具合悪くなっても困るのでやめてください!」と強く言ってしまいました。

看護師として良く思って頂けるのはありがたいのですが、ご自身の体は大事にしてくださいね…。

誰にも言えない不安。帰り際に見せた涙。

心臓の検査のために二泊三日の入院をした男性。
病院に来た時はピシッとしたスーツで表情もかたく、気難しい方なのかしら?と思っていました。

病室まで一緒に歩きながら病棟の中を案内していると、「あれはなんですか?」「デイルームのテレビは使ってもいいんですか?」など、どうやらあまり入院慣れしていないような反応が返ってきます。

お部屋に到着してもかたい表情は変わらず。
病室内の説明をしていると、「昼間はパジャマじゃなくてもいいですか?」と聞かれました。

検査や手術の際は指定のものを着てもらいますが、基本的に服装は自由なのでパジャマでなくてもOKです。

患者さんは「では、昼間はこのままの格好でいます。それと、昼食の時間まで下の階に行ってもいいですか?病室にいると気が滅入りそうで…。」と言っていました。

「院内であれば下の階に降りても大丈夫ですよ。12時にお昼ごはんなので、それまでには戻ってきてくださいね。明日の検査に向けた準備をしたいため、午後はなるべくお部屋ににいていただきたいです。」と伝えました。

「わかりました。では、ちょっと下までいってきます。」という男性の顔を見ると、
すこし表情が柔らかくなったような気がしました。

検査が無事に終わり、男性は退院することになりました。

あれからすこし表情は変わったかな?とすこし気にしていたので、帰る前に病室を訪ねてみました。

そこにはかたい表情はなく、笑顔で座ってる患者さんがいました。
「退院おめでとうございます。」と伝えると、

「私、今回が初めての入院で、すごく不安で不安で仕方なかったんです。でも気にかけてくれたので、本当に嬉しかった。ありがとう。」と握手しながらポロポロ泣き始めたのです。

きっとここまでくるのに不安なことがたくさんあったことでしょう。
しかし、誰にも言えず入院当日を迎えたのではないかと思います。

患者さんの役に立てたことが本当に嬉しかった瞬間で、これからも優しい看護をしようと心に強く決めた日でした。

いかがでしたか?

十人十色とはいいますが、ほんとうに様々な方がいらっしゃいます。
優しい方もいれば、なかなか性格が合わない方もいます。

しかし、柔軟に対応できる看護師こそ、患者さんに優しい看護ができるのではないかと思います。

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看護師兼クラブでのパフォーマーとして活動していたが、一大決心をして看護師を退職。接客業、パフォーマー、バーテンダーとして活動中。医療のあれこれ、エンターテイメントについて執筆中。

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