これは、ある有名なSNSに投稿されていた実話です。匿名の方が経験された出来事を、短いストーリーとして語られていました。英文を少しアレンジして翻訳しています。

出典 http://www.slrlounge.com

写真はストーリーとは無関係です。

去年のことでした。長年連れ添った妻が、病気で私1人を残して逝ったのは。亡くなる一週間ほど前には、病院のベッドに起き上がることも出来ず、食事も喉を通らず、ただ点滴だけで生かされているような状態でした。

数度に渡り手術を受けたのですが、結果は芳しく無く、医者は彼女の苦痛を和らげることだけに尽力していたようです。彼女は、私に看護されることを嬉しく思っておらず、自宅に戻ることを拒否し病院で最後を迎えることに決めていました。

その日、彼女の病室を訪れた私は、いつになく明るく振る舞う彼女が傷ましく思え、何か出来ることはないかと訊いていました。痛み止めの効果もそれほどではなく、ときおり苦痛に顔をしかめる彼女でしたが、私が訊くと嬉しそうにこう言いました。「ベラに会いたいわ。最後に一目、彼女に会いたい」

20年の間一緒に暮らしてきましたが、私達は子供に恵まれませんでした。結婚後数年が経った頃、彼女は子宮頸癌を発症し子宮を摘出していたのです。ベルというのは私達が飼っている犬の名前で、今年で5歳になる女の子です。妻は、死ぬ前にベルに会うことを願ったのです。

出典 http://dogssbreeds.blogspot.jp

オーストラリアン・シェパード。これはベルではありません。

妻を自宅に戻すこともかなわず、かといって病院に犬を連れてくることも出来ません。散々考えた挙句に、私はある賭けに出ました。ベルは、25キロはあるオーストラリアン・シェパードです。どう隠しても見付かるのは明らかでした。そこで、彼女をスーツケースに入れて忍び込ませることにしたのです。

スーツケースは、ベルを隠すのにぴったりの大きさでした。中に入ったベルは、さも行き先が分かっているかのように、一つも吠えなければ暴れもしませんでした。ナースステーションの前を通った時も、看護師は何ら不信感を抱かず、呼び止められることもありませんでした。

病室に着いてスーツケースを開けると、ベルは真っ先に妻のベッドに向かいました。色々なチューブや線が彼女の腕や足から伸びていたにもかかわらず、そのどれにも引っかからずに妻の横に体を伏せたのです。妻は薬を投与された直後らしく、ベルが来たのも分からずに眠っていました。

それから20分が過ぎた頃でした。ようやく妻が目を覚まし、ベルがベッドにいるのに気付きました。妻が弱々しい声で愛犬を呼ぶと、ベルは自分の頭を上げて彼女を見ました。妻の目と犬の目が出会った時でした。妻の目からは大粒の涙が溢れ出しました。ベルは、その涙を止めるかのように、彼女の顔をなめ始めました。

「よく来てくれたわね、ベル。これでもう思い残すことはないわ。あなた、ありがとう」妻の顔は安堵の表情で満たされていました。その後、犬を病室に連れ込んだのが看護師にばれて、私は大変怒られました。しかし、なぜか退去はさせられず、ベル共々、彼女の側でその日一日を過ごすことが許されたのです。

ベルが彼女を見たのは、それが最後でした。それから2日後、妻は静かに息を引き取りました。薬のおかげで痛みを感じずに逝ったようです。ベルは、家に帰ってからも、あのスーツケースを見る度に悲しそうな顔をしています。時々スーツケースを出して開けておくと、いつの間にかその中に入ってうずくまっています。私は、新しいカバンを買おうかどうか、今も思案にくれています。

匿名投稿者の奥様の冥福をお祈りします。オーストラリアン・シェパードは、人懐っこく、知性とエネルギーに溢れた犬種です。牧羊犬として有名ですが、様々な芸当をする利口な犬としても知られています。少し切なく、気になる文章だったので載せておきます。

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今季おススメのアニメは「うしおととら」。海外ドラマでは「ブラックリスト」。これまでに見た映画の中では、個人的トップ10の常連である、「フィッシャー・キング」です。

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