世界的に日本食ブームですが、本当の国際化というのはどういうことでしょうか? その1つの解として料理の母国以外の料理人がたくさん生まれるということではないでしょうか? 香港にある「Sushi Mori Tomoaki」は店主が日本人と香港人のハーフが経営している店です。

出典筆者撮影

店内の様子

 「純粋な日本人がやっていない日本料理店? それって日本食じゃない」と考えている人はまさに”井の中の蛙”の人。それを言ってしまったら日本にある日本人が経営するイタリアンもフレンチも中華料理もすべて否定しなければなりません。これらの料理が世界中で受け入れられているのは、イタリア人、フランス人や中国人以外の料理人が世界中にたくさんいるからです。日本食はまだそのレベルには達していませんが、その第1歩みたいな店、あえて言うなら保守的な日本人でも受け入れやすいのが今回紹介する店でしょう。
 店主の森智昭さんは、父親が日本人、母親が香港人生まれのハーフで、香港で生まれ育った人です。森マスターの父親は日本食料理人で長く香港で活躍。香港にある有名すし店と父親が知り合いということもあり、森さんは高校卒業と同時に修行を始めました。 
 独立して現在の店をオープンするに際し、店頭には暖簾を掲げるだけで店名をいれていないほか、メディアに広告も出していません。ただ、その実力から口コミだけで噂が広がり、今では香港の政財界の有力者や芸能人が来る店としての地位を確立しています。「この前、あるトップ歌手の方がプライベートな誕生会を開いてくれました」
 広告などを使わない理由は、広告などを入れると有名になりますが、忙しくなって客1人ひとりに質の高い味を提供できない可能性がある…と考えたからだそうです。職人としての責任感が感じられますね。

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シンプルな店の外観。ほとんど土壁で店名は掲げていません

 食材はすべて日本から輸入しています。電話や電子メールで卸入れ業者に希望する魚を早朝に築地で仕入れてもらい、すぐに飛行機で運んでもらえればその日の夕方にはお店に到着。夜には日本人が銀座や赤坂で食べるネタと同じものが香港で食べられます。
 普通ににぎるだけではなく、しゃりに赤酢を使ってみたり、熟成肉ならぬ「熟成魚」ができないか挑戦するなど日々料理の改善に努めているそうです。
 ランチは9貫300ドル、12貫で400香港ドル、15貫で500ドル。ネタはその時の旬なものが提供されるそうです。ほかにも海鮮バラちらし丼380ドルなどがあります。ディナーはお造り、椀物、和食、すし、デザートのセットで1200ドルから。試食してみましたが、赤酢もほどよい感じで、ネタが大きい。全体的に繊細さを感じさせてくれるすしでした。日本酒も20種類弱用意するなどそこは完全に日本の世界です。

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ネタの上には違う薬味をあえて乗せて、味わう楽しみを増やすようにしています

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鍋料理もあります

 日本語、広東語、北京語、英語を駆使して香港中においしい寿司を提供している森さん。こういう人が日本食を理解してもらうのに貢献しているのは間違いありませんし、森さんをきっかけに香港人のすし職人が増えるのを期待しましょう。

★Sushi Moritomoaki
所在地:Shop D, G/F.,Seabright Plaza, 9-23 Shell Street, Fortress Hill, Hong Kong
電話:+852 2979 5877
営業時間:12:00~14:30(ランチ)、18:30~22:30(ディナー)。日曜定休

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「すしだけは探求心が強いです。それが意外は飽きっぽいんですけどね(笑)」と話す森さん

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メディア業界で約20年の経験を持つフリーランス・ジャーナリストです。政治経済からスポーツ、グルメ、エンタメまで広くカバー。香港との関わりは2001年から。10年前からライフスタイル・ブランドLiucia(www.liucia.com)を共同で立ち上げ、経営もしています。

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