自分自身の体や目の前にある物体が、実際の大きさよりも大きく感じたり、逆に小さく感じたり、といった経験はありませんか?個人の主観に異常が生じて起こる「不思議の国のアリス症候群」という病気である可能性があります。ルイス・キャロルの児童文学「不思議の国のアリスでは、主人公のアリスが薬を飲んで大きくなったり、小さくなったりしますが、そのアリスと同じような感覚に陥ってしまう病気なのです。詳しい症状や原因、治療法についてご紹介しましょう。

■ 不思議の国のアリス症候群とは?

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この「不思議の国のアリス症候群」という病気ですが、多くの人に見られる症状ではなく、また主観的なものであるため、言葉で説明するのが非常に難しいのですが、子供がかかりやすい病気であることが知られています。また、大人でも芸術家などがこの症状に悩まされるケースが多いそうです。

例えば、目の前にハエや蚊が飛んできたとします。実際には1cmにも満たないこうした虫が数十cmの大きさに見え、怯えてしまう、といった事例が報告されています。また、寝ている時に天井が次第に自分の方に迫ってきて、「天井が落ちてくるのでは?」と恐怖感を抱くケースもあります。

逆に天井や壁が異常なほど遠くに見えて、部屋が広く感じることもあるのだとか。子供の頃、風邪などが原因で高熱でうなされている時にそんな経験をしたことがありませんか。当時は「怖い夢を見ているのだろう」と思ったかもしれませんが、実は夢ではなかった可能性もあるのです。

視覚だけではなく、他の感覚にも異常が現れることがあります。例えば、周囲の音が異常に速かったり、逆に遅く感じることがあったり、といったケースや、体や頭がフワフワと浮いているような感覚に陥ったり、という事例も報告されています。

自らの感覚が常識ではあり得ないものになっていたり、その感覚のおかしさを周囲の人に指摘されたりした時は、この「不思議の国のアリス症候群」になっている可能性を疑うべきではないでしょうか。

■芥川龍之介やルイス・キャロルもアリス症候群だった!?

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芥川龍之介

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ルイス・キャロル

歴史に残る芸術家の生涯を調べると、「他の人には見えないものが見える」といった経験をしているケースがよくあります。

例えば、芥川龍之介が「自らのドッペルゲンガー(自らの姿をした分身)を見たことがある」と語っていた、という話はよく知られています。常識的にはあり得ないものが見える人だったから、後世に残る数多くの名作を書き残すことができたのかもしれませんが、その芥川龍之介が語る「ドッペルゲンガーを見た」という経験は、彼自身がこの「不思議の国のアリス症候群」と同じ症状に蝕まれていたからではないか、という説もあるそうです。

この「ドッペルゲンガーを見た」という体験はゲーテなどといった世界的な作家の生涯を紐解いてもよく見られるもので、現代医学で「不思議の国のアリス症候群」と呼ばれるものとも関連性があるのかもしれません。

実は「不思議の国のアリス」を書いたルイス・キャロル自身もこの症状に悩まされていた、という話もあります。今でも世界中で多くの子供たちが読んでいる「不思議の国のアリス」は、彼自身の体験を元に書かれた小説なのかもしれません。

■原因は偏頭痛?

「不思議の国のアリス」を書いたルイス・キャロルですが、偏頭痛に悩まされていた、という話があります。まだ医学的な原因が判明しているとは言えない「不思議の国のアリス症候群」ですが、この偏頭痛との関係を指摘する声が多く挙がっています。一方で、てんかんや脳炎、総合失調症、脳腫瘍の患者から見られる、という事例も報告されています。脳に関する病気がこうした症状につながっているのかもしれません。

今、この「不思議の国のアリス症候群」に悩まされている、という方は、こうした偏頭痛をはじめとする脳に関する病気を疑うべきかもしれません。もちろん、まだ原因を突き止めることが出来ていない病気ですので決め付けるべきではありませんが、治療法の糸口となる可能性は十分にある、と言っていいでしょう。

■不思議の国のアリス症候群の治療法はあるの?

まだ治療法が確立していない「不思議の国のアリス症候群」ですが、前述した通り、偏頭痛をはじめとする脳に関する病気を疑い、その病気の治療をするのが、現状における最善策ではないでしょうか。こうした症状に悩まされている方は、神経内科、脳神経外科、精神科などで医師の診断を受けてみることをオススメします。

昨今、医療の世界では「セカンドオピニオン」という言葉がよく聞かれますが、こうした治療法が確立していない病気では複数の病院で診察を受けてみる、ということも非常に大切です。

「芥川龍之介が不思議の国のアリス症候群だった」という説があることには驚かされますが、美術や文学などの世界でその名を残す人は、一方で他の人にはない悩みを抱えていたのではないか、という点にも気付かされます。

一方で、この症状は日常生活にも大きな支障をきたす可能性があります。思い当たるフシがある方は医療機関の力を借りて、不安の解消に努めるべきではないでしょうか。こうした病気は周囲にはなかなか理解されないものでもあります。家族など、身近にそんな悩みを抱える方を見かけた時は、医療機関への相談をアドバイスしてあげるといいでしょう。

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