動物愛護先進国、ペット先進国と言われる英国。
かの国で犬は社会の一部であり、さぞや大切に扱われているであろうと、多くの人々が信じています。
しかし、あろうことかその英国で今、沢山の犬たちが不要になってしまったそうです。

その理由はというと、パリス・ヒルトンをはじめとしたセレブたちが、”ある” ブームを作り出してしまったから……、という笑えないお話です。

一味違う、セレブの愛情

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パリス・ヒルトンの犬好きは良く知られているところ。

庭に愛犬のための家を建てるほどの愛犬家ぶりで、先日も生後3か月で体重200gにも満たない、超小型のポメラニアンを購入したばかり。『Princess Paris Jr.』と名付けて溺愛しているそうです。

しかも仕事で多忙を極めるパリスは、この『Princess Paris Jr.』のために、専属の乳母を雇うことさえ検討しているという徹底ぶり。
さすがにセレブは、犬の愛し方さえも違います。

そのブームとは、『ハンドバッグ・ドッグ』

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パリスはいつも『Princess Paris Jr.』と一緒です。
何故ならば『Princess Paris Jr.』は ”持ち歩く” にはほどよい大きさで、軽く、ハンドバッグの中にすっぽりと収まってしまうのですから。

パリスは『Princess Paris Jr.』以外にも沢山の犬を飼っています。今年4月に他界してしまったチワワの『Tinkerbell』はその代表格。
レッドカーペットやインタビューで、パリスとコーディネートされた衣服をまとい、腕に抱かれている姿がたびたび撮影されていました。

もちろん、小型犬を連れ歩くセレブは、パリス以外にも大勢います。ブリトニー・スピアーズ、ヒラリー・ダフ、マドンナ、サイモン・コーエル……。数え上げればきりがありません。

これら影響力の強いセレブたちのライフスタイルに触発された若い女性の間に、犬をファッションアイテムとして ”持ち歩く” 、歪んだ愛犬ブームが巻き起こってしまったのです。

不要になる小型犬たち

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小型犬はその外見から想像する以上に、多くの運動量を必要とします。要するに、思った以上に手間が掛かる動物なのです。飼ってしまってからそれに気付いても、時既に遅し。

ハンドバッグに入れられたり、飼い主の腕の中で一日の大半を過ごす小型犬には、問題も発生しているようです。長距離を歩けない、或いは歩くことを放棄して、犬としての普通の振る舞いができなくなった個体が保護されているのです。

英国最大の犬の保護団体であるドッグトラストは、単にクールだというだけで『ハンドバッグドッグ』を手に入れる、ティーンエイジャーのトレンドに懸念を示しています。

2009年にドッグトラストの17の施設に持ち込まれた小型犬は、285匹。
昨年は409匹の小型犬が飼育を放棄されています。
その犬たちの大半は、2歳以下です。

出典 http://www.dailymail.co.uk

どんな犬が不要になるのか?

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イングランド、ウェールズ、スコットランドで活動する動物慈善団体、ブルークロス・リホーミングセンターは、保護施設に引き渡された『ハンドバッグ・ドッグ』(大きめのトートバッグに丁度入るような、小さな犬種)は、過去5年間で120%増加しているとしており、昨年、同団体が引き取った『ハンドバッグ・ドッグ』のトップ5を公表しています。

2014年に預けられた『ハンドバッグ・ドッグ』のトップ5

 1.ヨークシャーテリア 92頭 (2009年には65頭)
 2.チワワ       53頭 (2009年には0頭)
 3.キャバリエ     36頭 (2009年には14頭)
 4.ビション・フリーゼ 28頭 (2009年には13頭)
 5.シーズー      31頭 (2009年には17頭)

出典 http://www.telegraph.co.uk

※4位と5位の数字が逆転しているのは5位の中に、同団体に直接持ち込まれた個体以外も含まれているからだと思われます。
※上記の数字は、ブルークロス・リホーミングセンターだけの集計です。

騒ぎは波紋を呼び

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バッグの高級ブランドとして知られるコーチ社は、今年、レディー・ガガ、アリアナ・グランデ、ミランダ・カーの愛犬をモデルとして起用し、キャンペーン “コーチ・パップス”を実施しています。

恐らくは英国での騒ぎに配慮してのことでしょうが、このキャンペーンはチャリティーとして展開されており、コーチ社はレディー・ガガ、およびその愛犬のミス・アジア・キニーの代理として、フレンチブルドッグの保護団体「Chicago French Bulldog Rescue」への寄付を行うとしています。
アリアナ・グランデ、ミランダ・カーの場合も同様です。

しかしながら、ミス・アジア・キニー専用に作られたインスタグラムアカウント「@missasiakinney」には、レディー・ガガを非難する書き込みも寄せられ、英国での騒動は思わぬところに波及をしているようです。

犬って何? 愛犬家って何?

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犬を愛する人を等しく愛犬家と呼ぶのならば、その愛し方が人それぞれであるように、愛犬家も様々で良いはずです。
可愛い愛犬をいつも側に置いておきたい。沢山の人たちに見てもらいたい。そんな思いで愛犬をバッグに入れる行為は、決して間違っているとは思えません。
もちろん、愛犬の健康に十分に配慮した上でのことですが……

問題は犬をファッションの一部として考え、生き物として愛していない人々が犬を飼うことにあるのでしょう。

可哀そうなことに、犬は飼い主を愛します。余程の虐待でもしない限り、いつも側にいる飼い主を愛してしまうのです。それがどんな飼い方であっても。
狭いバッグの中や、飼い主の腕の中で自由を奪われて日々を過ごす犬たち。
そんな境遇の中にあっても、恐らく犬は、その飼い主を愛しています。
それはとても切ない事実です。

飼主だけを見つめて純粋に生きる犬たち。
どうか幸せな一生を送って欲しいと願うだけです。

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某大学工学部を卒業後、当時黎明期だったビデオゲーム業界に。エンジニアを希望するが、配属先は企画。結局在籍中はデザイナーとして過ごす。退職後はデザインツールの開発、CGの技術開発、TVアニメの企画など。目下の興味の中心は”犬との生活”。14歳のミニチュア・ブルテリア、ピーチーが相棒。

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