はじめに

私には 学習障害(LD)の中のディスグラフィア(書字障害)を困難に抱えている小学生の息子と 幼稚園の娘を育てている母親です。
(今の息子の主な困難は学習障害ーディスグラフィアに関連する事ですが 小さい頃は 発語や社会性も遅れていた為 広汎性発達障害 中度の精神遅滞 自閉傾向ありと診断がついていた時期がありました。)
spotlightでは 学習障害や発達障害 ローカルエリア情報などについての記事を書かせて頂いております。

今回は 重度自閉症など障害のあるお子さんを育てる お母さん達によって1993年に大阪に設立された アトリエコナースについてその設立までの軌跡に大変 感銘を受けましたので ぜひ 関心を寄せて下さる皆様と シェア出来たらと願い 投稿させて頂きます。



アトリエコーナスについて知る事になったきっかけ

大阪にある アトリエコナースを知る事になったきっかけは 偶然飲食店で順番待ちをしている時 手に取った女性週刊誌の記事でした。女性週刊誌と言うと 何となく芸能人の近況などが書いてあるイメージでパラパラと ページをめくっていたのですが ある記事で目が釘付けになってしまいました。そして その1文、1文に共感し 涙が溢れて来てしまったのです。

最近は、例えば 発達障害=天才、とか才能があるなどの情報が溢れていますが その記事は 成功だけに光を当てている美談ではなく もっと現実的な鬼気迫る話でした。

そこには 重度の自閉症など障害を持つ方のアート作品が 海外で高く評価され 海を渡っている事が書かれていました。それだけでも 本当に 素晴らしいニュースだと思いますが 私が コーナスの取り組みに強く心をひかれたのは この様な活動に至るまでのプロセスや自分にとっては育児の大先輩にあたるお母さん達の言葉でした。

あるお子さんは 地域の中で育って行きましたが 20歳過ぎてから 遅くやってきた思春期の様な状態になり 荒れだして 親御さんが愛するわが子と辛い選択を考えなければならない程 切迫した場面になってしまったこと・・・。

私は これを読んで 息子が小さい頃 1日中 体から湧き出るかのように酷い癇癪ばかり起こしていて まともな日常が困難で 疲労がピークになり息子に手をかけてこのまま2人で死のうか?と何度も考えた時期の事を思い出しました。あの頃は 子どもの体はとても小さかったですが 成人してからとなると体もより大きくなる事から ご家族の心労は想像を絶する様な状態ではないかと思いました。

コーナスという名前に込められた思いとは?

コーナスとは 英語の(CORANERS STONE=隅の頭石)を略したもので 家造りの大工さんが不要として捨てた石が新しい家を造る時の基礎の石となったという聖書の言葉に由来しているそうです。障害者があたり前に暮らし行ける社会を作る事は誰もが暮らしやすい社会を作って行く事であり 障害者がこの社会を支える隅の頭石でもあるという深い意味が込められているそうです。注※アトリエコーナスHP コーナスの由来より引用

内職作業をやめてアート活動へと施設を転換させた理由

今では コーナスのアーティストの皆さんの作品が 海を渡って海外で評価される様にまでなりましたが もともとは 障害のあるお子さん達を育てるお母さん達によって1993年に設立された知的障害者の介護施設だったそうです。日々の作業の内容は 低賃金な傘釘などの組み立て作業が中心だったそうです。

そして設立から10年が経過した時 他の施設で生まれる絵画作品を目にして コーナスのお母さん達は こう思ったそうです。

「今の様な 内職作業では 彼らの本来の個性、感性が発揮出来ない。」注※アトリエコーナスHPより引用あり

「興味のない内職を無理強いされるまま やっていていいのかな。」と思った事は 私がコーナスを知る事になった雑誌にその頃のお母さん達の思いとして書かれていました。

そして2005年に内職活動をやめて コーナスはアート活動を中心にする事を決めたそうです。

お子さん達に自由に選択させることで 変ったこと

自由な雰囲気の中で アート活動をする事にして コーナスの様子は次第に変わって行ったそうです。アトリエに町の人たちが訪れる様になったり 中でも驚いた事は それまで じっと座っている事が困難だったメンバーがアート活動を通して 静かに自分の世界に集中する姿が見られる様になったそうです。※コーナスHPより一文引用

コーナスでは 例えば 〇はこう書かねばいけません、などとアート作品を作るにあたり 何か支援者が思う正解を教えているのではなく 自由にメンバーのそれぞれ発想を尊重しているそうで だからこそ 世界で1つの作品が生まれるのだろうなぁと 思いました。

障害があるから 彼らにできるわけがないと思っていた壁を超えて・・・

コーナスのHPでは 小さい頃から 多大なる苦労をしながら ここまでお子さんを育ててきたお母さんの メッセージが載っており はっとされられました。

愛情という名のもとに 彼らの自由を奪って来たのは、私たち親、家族、社会であること。「彼らにできるわけがない。」と私たちは つねに彼らの行動・表現・選択を制限してきました。だから、彼らはアートによって、生きる自由、生きる力を取り戻しているのかもしれません。注※アトリエコーナスHP ABOUT コナースってこんなとこ 主宰 白岩さんの言葉より引用

おわりにー「自由を尊重する」か「教える」か子育てを悩む日々の中で

こうして 偶然知ったアトリエコーナスのお母さん達の活動 メンバーさん達の活躍を通して わが子の事に重ね合わせたりしながら深く考えています。私は息子と家庭で療育に取り組んで来て6年半が過ぎました。この記事を読んで下さっている方の中には 私が息子との家庭療育について手記としてまとめ出版させて頂いた「ママと呼んでくれてありがとう。」と言う本を 読んで下さっている方も 多数いらっしゃるかもしれません。

小さい頃は 教えよう、どんなきっかけも逃すまいと 息子を観察し教えていた日々は大きな効果を上げました。
しかし、全てが「教えること。」で解決出来たのではありません。就学後 出来る事は もう教えなくてもどんどん 大人顔負けに 深く知識を自分から得る様になる一方で 逆に興味のない事はやりたくない、苦手な事は本当に苦手と言う事も くっきり 見えて来ています。
その1つとして 私の息子は小さい頃から 普通のお子さんの様に絵が描けないという困難を抱えて来ました。「困難」と今、言えるのは本人が 言葉を何でも話せる様になり自分の口で「描ければみんなのように 描いてみたいものだけれど 自分には 興味もなく頭に思い浮かばないものは 描けない。」と言ってくれたからです。
通常であれば 目の前にある物を見て それを描けと言われれば スキルに個人差はありつつも その物を描く事は 簡単だ、と考える方も多いかもしれません。
しかし、息子によると 目の前にある物は正確に見える。むしろ正面から見ただけで 3Dの様に他の角度から見た時の様子も感じる事が簡単にできる。でもそれを描けるか?と言うと いざ描こうとすると自分には 見たままを描く事がどうしても出来ない・・・と・・・。
いつしか 体調も崩しがちになったので 絵の部分の療育まで手も回らなくなり 半ば その部分は 放置したままになって行きました。すると・・・8歳になる頃 絵があんなに嫌いだった息子が「頭の中に描きたい物が どんどん浮かんでくる。」と言い 少しずつ彼なりの絵を描きだしたのです。それは 図面の様なものだったり カタログの様でもあり ディスグラフィア(書字障害)と言っても文字も沢山書かれており かなり 独特ですが 息子が考えた面白いストーリー付きでした。何より 一心不乱に描いている姿は 何とか頑張って私と 「これが絵と言う物だ。」とマスターしようとして描こうとしていた時とは 全く違う楽し気な姿でした。
人として生まれ 生きて行く上で 守らねばならないルールは確かに存在します。それは 障害があっても 最初から諦めるのではなく もし スモールステップでも時間をかけて教えて行って実践できる様になれば 越した事はないかもしれません。例えば 障害が重度で トイレトレーニングに時間がかかったとしても マスター出来れば 排泄の自由という人としての尊厳にかかわる大切なスキルを得る事が出来ると思います。
障害のある子どもを育てるにあたり 「自由を尊重するのが良いか。」「きっちり 正しい事を目指し教える。」のが良いか きっと小さい頃から 療育に熱心に取り組まれている親御さんでも 悩む時期が来るかもしれません。この自由を尊重するか、社会にとにかく適応させようと健常者のやり方の方に合せて教えるかは 一人一人の特性も発達段階も違う中で 大変悩ましい部分もありますが アトリエコーナスのお母さん達の活動、メンバーさん達の活躍を通して気が付いた部分があります。

障害があるからと言っても その重さに関わらず
「どうせ 何も出来ない。」「やっても無駄。」などと考える事は 大きな誤りであり 出来ない事だけに目を向け その全てをトレーニングして普通のやり方に矯正していくだけではなく 子ども達が どうやったら 幸せに 輝いて その子らしく生きていけるか その内面にある物を探して 引き出してあげる事も 療育に励むのと 同じ位 親として 今後 子ども達が 社会に参加して行く大人になるために とても大切な事ではないか…と強く感じました。
子育ての大先輩でもある コーナスのお母さん達の取り組みの事を知って 何かご自身の子育てのヒントになる方が 私の他にもいたらいいなぁという願いを込めて この記事を書きました。
最後まで お読み頂き 本当にありがとうございました。

なお、本記事のトップ画面は spotlightの投稿の規約により 出典を明らかにしているイメージアートです。著作権の問題がございますので コーナスのメンバーさんのアートをご覧になりたい方はぜひ アトリエコーナスのHPで ご覧になってみてくださいませ。
アトリエコーナスHPは下記です。

http://corners-net.com/

この記事を書いたユーザー

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小学生の息子と幼稚園生の2児の母です。長男が2歳の時、発達障害を診断されたのをきっかけに 家庭でABA(応用行動分析)を 中心とした療育を始め6年半が過ぎました。息子が療育手帳を 卒業したのを機に 2012年に家庭療育の手記をまとめ 学研教育出版より「ママと呼んでくれてありがとう。」自閉症の息子と歩んだABA早期療育の軌跡が出版されました。2014年には 韓国にて同手記が「엄마라고 불러줘서 고마워」というタイトルで翻訳出版され多くの方に読んで頂き 幸せに思っております。その後 長男は 社会性、認知面など大きく成長し 付添なしで普通学級に就学しました。 友達も出来 楽しい小学校生活を過ごしていたのですが、1年生の後半に視覚認知不良と 先天性の書字障害(ディスグラフィア)と第二の診断が下されました。 息子と家族ともに 新たな困難と向き合い 将来への 自立の 方向性を探しながら 家庭療育を続けています。日々の事は HAPPY DAYS-ABA早期療育を家庭でやってきたママのつぶやき♪南の島編http://ameblo.jp/emy-taro-happydays/というブログに 時々 書いております。

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  • 育児

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