10月になって、そろそろお正月のことを考えないと!とか、お歳暮はどうしようかしら?と今から考えている人もおられるでしょう。

30年くらい前までは、年末にはかかりつけ医にお歳暮を届けるのが礼儀というかマナーでした。
しかし近年、「患者さんやご家族からの心づけは、一切お受けできません」「職員に対する謝礼等は、固くお断りいたします」などと表示する医療機関が増えました。

でも感謝の気持ちは伝えたいと、バレンタインデーに感謝チョコを渡す患者さんもいるようです。

あなたは、医師へのお歳暮、どうしていますか?

昔は・・・

今から30年以上前は、おそらくかかりつけ医やお世話になった医師に謝礼をするのは、ほぼ当たり前のことだったと思います。

もう30年以上前の話ですが、私が入院した時、同じ病室の患者さんたちは、付け届けをしていました。

「ウイスキーくらい贈っておいた方が良いわよ」「週刊誌の間に(お金を入れた)封筒を挟んで持ち歩くのよ。そして階段など他に誰もいない所で先生に出くわしたときにそっと先生の白衣のポケットに入れてあげるの」

このような会話がベテラン患者さんから新入り患者さんに受け継がれていました。

もうかれこれ30年以上前の話なので、ぶっちゃけてしまいますが、私の両親も入院中の主治医に謝礼を渡しました。

そして大学病院の勤務医である主治医には、毎年お歳暮を届けていました。
5000円ほどのお酒やウイスキーでしたが。

昭和62年に手術を受けた時は、公立病院だったので「職員への謝礼は固くお断りします」と、入院パンフレットにも廊下にもナースステーション前にも書いてありました。

でも、両親は「何かしないと!」という気持ちが強かったようです。

今までに例のない手術で、執刀医は新幹線に乗って片道2時間ほどかけて来てくださり、外科医全員が泊まり込み、執刀医と担当医、看護師長さんは2~3日の泊まり込みでした。

そこで、ちょうどバレンタインだからということで、私が執刀医と担当医に1000円ほどのハート形の小さな瓶に入ったウイスキーを渡したところ、執刀医は「僕なんかじゃなくて、ちゃんと渡せる人、早く見つけなさい!」と笑いながら受け取っていただけました。

担当医も「なんか照れるなぁ」と頭を掻きながらも、受け取って下さいました。

夜勤中のナースに「みんなで食べて~」と300円ほどのチョコの詰め合わせを持って行ったら、これも受け取ってくださいました。

しかし、母がナースステーションに持って行った3000円ほどのクッキーの詰め合わせは、母が帰った後で私の所に「これは受け取れないから、●●さん(私の名字)がおやつに食べ!」と返しに来られました

今は禁止している病院が多い

「医師」へのお歳暮と一口に言っても、大きな病院に勤務する医師にお世話になっておられる人もいれば、1人で診療している開業医の医師にお世話になている人、週1回だけ大学病院から診療に来ている外勤医にお世話になっている人、と色々でしょう。

どのような医師にお世話になっているかで、お歳暮をするorしないも変わってくると思います。

また、1年に2~3回風邪を引いたり体調不良になったときだけお世話になっている人と、慢性疾患で定期的に長年通院して今後一生お付き合いになる人でも、考えは違ってくるでしょう。

まず、大学病院や大きな病院の医師へは、お歳暮は止めた方が無難です。
患者さんから贈り物や金銭を受け取ったことが発覚した場合、首が飛んだり処罰の対象となることもあります

母が2年前に入院していた時、認知症の母が「ナースステーションの机に置いてあったお菓子を夜中に盗み食いしてやった」と話していて、看護師さんに確認したら笑いながら「盗られてしまった~!」と言われたので、お詫びに軽い気持ちで200円ほどのお菓子を渡したら、看護師長さんが「受け取れないから、お母さんのおやつということにします」と言われました。

友人も、バレンタインだからと3個入りか4個入りのチロルチョコを男性看護師さんに渡したら、「●●さん、チョコレート好きでしょ!僕はいいから●●さんが食べ!」とその日の昼食に添えられていた、という話も聞きました。

今は100円程度のものでも、厳しいのですね。

置き手紙

私は、退院するときはいつも、ベッドの横の床頭台に置き手紙を残していきます。

スタッフ全員が出勤しているわけではないし、退院時にお礼を言えないスタッフもいますから。

麻酔科の先生は、手術後は全然お会いできないし。
だから、いつも置き手紙を残して退院します。

3年前に子宮と卵巣を摘出した時は、試験外出時に可愛いレターセットを買って帰り、それに「ありがとうございました」のメッセージを書きました。

感謝の気持ちは伝えたい

凄くお世話になっていることを実感している場合、感謝の気持ちは伝えたい!と思うでしょう。

闘病中のかたのブログを読むと、バレンタインデーには主治医の先生にチョコを渡したという人も少なくないようです。

「こういうのは、禁止されてるからダメかなあ?」と聞いたら「本当はダメなんだけど頂きます」と受け取って下さった、と書かれたブログもいくつか見ました。

私は迷いましたが、現在3週間ごとに通院中のいつもお世話になっている&一生お世話になるであろうクリニックには、バレンタインカードにスタッフ全員へのメッセージを書きました。

いつもありがとうございます。というメッセージと
チョコレートの写真を貼って、ダイエット中の人もいるでしょうから、これで・・・(笑)と、ちょっとお茶目に!?誤魔化しました。

夏は血圧記録の空きスペースに、暑中見舞いのメッセージを書きました。

今はチーム医療の時代、担当医だけにありがとう?

ある病院の婦人科医は謝礼について、ご自身のブログに「感謝するということ」というタイトルで記事を書かれています。

病院名が書かれていたので、リンクは貼りませんが、そのブログの内容に私の気持ちを織り交ぜて紹介します。

❝手術は一人でできるものではありません。手術室内では術者の他、助手や麻酔科医、直接介助ナース、間接介助ナースと最低5名が手術に携わっています。

また内科へコンサルトすることもあるし、病棟や外来のナース、臨床検査技師、放射線技師、薬剤師、管理栄養士、事務・・・etc 多くのスタッフに支えられてやっと業務を遂行することができます。

だから私に感謝する暇があったら、病院に感謝してください。
それでもまだ足りません。

内視鏡を開発発展させた人、医療機器メーカー、製薬会社の人、さらには病院に電気やガスや水道を供給している会社や団体、職員を安全に送り届けてくれた交通機関など、きりがありません。

もし、私が江戸時代にタイムスリップすれば、ただのおっさんです。❞
と書かれてありました。

「ラパロスコピストの夢」2011年7月8日付けブログ、タイトル「感謝するということ」より 内容が変わらない程度に一部表現を変えて引用しています。

疲れた時に、患者さんからの手紙を読む医師

以前NHKの「プロフェッショナル」と言う番組で、あちこちの病院で匙を投げられた胃がんの患者さんが、最後の砦として全国から手術を受けに来られるという外科医が紹介されていました。

患者さんから貰った手紙やメッセージカードはすべて、箱や缶に入れられて大切に取っておられました。
そして、一人になった時や疲れた時に、その箱や缶をロッカーから取り出してその中の手紙やカードを見るそうです。

番組の中では、その中の1枚を取り出し読みながら泣かれていました。
結構長い時間嗚咽されていました。
助けることができなかった患者さんの奥様からいただいた感謝の気持ちが綴られた手紙でした。

こうやって、元気な顔見せてくれたら最高!それが僕の生きがいや!!

これはかっての私の主治医が仰ったセリフです。

術後1年経った時だったか2年経った時だったか忘れましたが、何かのついでに担当医に顔を見せに行ったら、満面の笑顔でそう言われました。

患者さんの笑顔を見ると医師も笑顔になれるのではないでしょうか?
いろいろあるけど、頑張ろう!と思えるのはやはり患者さんの元気な顔や笑顔を見た時でしょう。

心づけをすることで、信頼関係が壊れることも・・・

医療ドラマの『白い巨塔』に出てくる財前教授のような医師は、今はもうたぶん、いないだろうと思います。

医師の中には、患者さんから心づけを渡されたら、すごくショックだという人もおられます。「僕も財前教授のような医者だと思われたのか、僕はそんな安っぽい医者じゃないぞ・・・」「信用されていないのか・・・」と落ち込んだそうです。

健康情報番組でも、謝礼はいらない」とすべての医師が言っていました
お礼を渡さなかったから何か損するとか、渡した方が得するとかは、ないとのことです。

ありがとうで十分伝わります、患者さんの元気な笑顔が一番のプレゼントです、と言われていました。

また、 「元気にしています。赤ちゃんができましたよ~」「結婚しました!」などと、子を教えてくれると凄くうれしい! 
一番困る患者さんは「治す気、あるの?」と思える、指示を守ってくれない患者さんだそうです。

「お大事に」
「はい、ありがとうございました。先生も無理しないでね。」
そういったちょっとした心遣いも、良いのではないでしょうか。

<まとめ>

かっては当たり前のように行われていた、医師へのお歳暮や心づけも、今は貰った医師の首が飛ぶ原因となることすら、あるようです

何のために心づけをするのか?と考えた時、感謝の気持ちを伝えたいという理由ではなく、他の患者さんよりも良く診てほしいから、(言葉は悪いかもしれませんが、エコ贔屓してもらいたいといった理由では信頼関係を壊すことになるかもしれません

感謝の気持ちを伝える方法は色々とありますが、やはり医師の指示を守ることがまずは第一でしょう。

医師や医療スタッフとの信頼関係がないと、良い医療はできません。
治療は医師をはじめとした医療チームと患者さんが、二人三脚で行うものです。

だから、私の結論としては
お歳暮や心づけの物品は不要。でも感謝の気持ちは忘れずに!

信頼できる良い医師や医療チームに巡り合えたということは、考え方によっては、奇跡かもしれないのだから・・・

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患者からの目線と元医療従事者としての目線とで、医療や健康に関する記事をメインに書いています。
4度の手術に膠原病でバツイチで・・・と波乱万丈の人生ですが、”人生に喜びや笑いを添付したら結果は出るはず!”という「喜笑添結」で毎日を過ごしています。

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